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内閣支持率/小川栄太郎
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    昨日、日経新聞の一面トップに「内閣支持率急落 49%に」とあるのを見て、申し訳ないが笑つてしまつた。49%といふのは歴代内閣が発足時を除き殆ど達成できない数字である。急落といふ言葉と全くそぐはない。戦後最長の佐藤内閣は最初から大して人気がなかつたが中盤から30%前半を中心に推移し続けた。
    菅直人内閣とか鳩山由紀夫内閣なら、「内閣支持率驚異的回復 29%に」といふ風に20%台後半に伸びても驚異的な支持率回復になるやうな有様だつた。まして背伸びしても逆立ちしても切腹しても49%など狙ふこともできなかつた。
    ただし。
    10%内外落ちた事については安倍政権の対応や与党の突破力に大きな問題があつたからであり、猛省を促したい。

    支持率が軒並み大きく落ちたのには、国民からみて「明らかに些細な問題なのに、なんでこんなに対応にもたつくんだ」といふ政権の対応能力へのいら立ちと呆れである。森友や加計に深刻な疑惑や総理の違法な関与があつたとは国民は思つてゐない。もし国民がさう感じてゐたらこんな微小な支持率低下では済まない。本当はどうでもいいことだとは分つてゐるのである。要するに虫けらに翻弄されてだらしないぞ、さつさと決められる政治、堂々たる政治に戻つてくれといふ事だ。
    そもそも加計学園「問題」は存在しない。
    存在しない問題に足を取られてゐる段階で政権の対応能力に問題があるとされても仕方ない。
    内部文書なるものの流出で一々政治が遅滞してゐたら誰も内部メモを作ることさへできなくなる。内部文書は外部に出た段階で「怪文書」なのである。裏での話し合ひのテープがいつ流出していいか分らないとなれば、何一つ打合せはできなくなる。民主主義政治では、重大な犯罪が伏在してゐると見込まれた段階までは、正規のプロセスのみが全てで、内輪で何があつたかを一々問題視するのは恐怖政治に他ならない。
    そもそも...、行政の決定に総理や官邸の意向が示されるのは当然だ。「政治主導」は30年来の日本政治の鍵概念だつた筈だらう。官僚主導を批判し続けてきたのは民進党であり野党だ。問題は、意向の範囲、程度、方針、具体性……要するに利益誘導や政治の私物化の問題だけだ。
    私の知る限り、ちよつとした口頭のやり取りでさへ安倍総理は権限に関する事になると具体的な事案の指示には極端に慎重な人で、まして知人の学校になれば後で問題になるやうな指示どころかほのめかしがあつたとさへ考へられない。
    だが、それもこの際どうでもいい。
    内部文書などといふ内容の信憑性、決定プロセスでの位置付け、権限や決定への影響など全て不明な紙つぴらの真偽で騒動を起こす反国民プロパガンダを徹底して潰さずして日本の正常化はなし。
    もし、私が共産党に入党し(して悪い理由はあるまい)内部に食ひ込み、会議の備忘録を取り、それを然るべき仕込みの後に内部文書として公開したとする。私の恣意や創作と事実の区別は永久に誰にも分らない。そんなものを元に共謀罪を構成していいのか。
    今の森友、加計「問題」はまさに、左翼陣営が政党とマスコミとグルになつて、日本を暗黒社会化する内乱だと言つていい。
    本来なら、客観的な決定プロセスを別の委員会で検証させて、国会の争点から外せばいいだけの話である。
    そして、本来国会で論ずべき安全保障を中心とした課題、内政上の人口問題に端を発する高度海外人材の問題、都知事不作為による東京五輪スキャンダル、幾らでも与党が攻めて逆転する主題は転がつてゐた。
    相手の攻め方が理不尽でも、こちらが逆転できなければ現実社会では負けである。政権も与党もトンデモな相手をきちんと処理できる力を付け直してほしい。

    posted by: samu | 政治認識 | 09:11 | - | - | - | - |
    日本射程の北朝鮮ミサイル、国家存亡の危機/加瀬英明
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      硫黄島は本土から1300キロ離れている。栗林忠道中将が率いる小笠原兵団が、アメリカ軍に対して健闘して玉砕したが、アメリカ軍にわが軍の戦死者よりも多い出血を強いた。

      だが、日本は硫黄島を奪われた時に、命運が盡きた。硫黄島から飛来するP51戦闘機が小学生にまで、機銃掃射を加えた。

      東京から朝鮮半島の日本海側の南北軍事境界線(DMZ)まで1000キロ、ピョンヤンまで1300キロ、九州から黄海側のDMZまで500キロしか、離れていない。

      このままゆけば、朝鮮半島で戦争が始まる可能性が、高まっている。日本は戦後最大の窮地に、立っている。

      アメリカ鷲と中国龍が、4月6、7日に、フロリダのトランプ別荘で対決した。

      初日の午後8時40分(フロリダ時間)に、地中海に浮ぶアメリカの2隻の駆逐艦から、ミサイルがシリア空軍基地に撃ち込まれた。

      私たちはテレビの映像で、夜闇のなかをアメリカの駆逐艦から巡航ミサイルが閃光に包まれて、発射されるのを見た。

      トランプ大統領が習主席に「いま、シリアへミサイル攻撃を加えた」と告げて、支持するように求めた。習主席は一瞬、呆然としたが、「多くの赤ん坊が殺されたから、仕方がない」と力なく答えた。習主席に随行した幹部のうち何人か、唖然としたにちがいない。

      この数時間後に、ロシアがアメリカのシリアに対するミサイル攻撃は侵略行為だと、激しく非難した。

      中国は2ヶ月前に国連安保理事会で、シリアのアサド政権が2013年から化学兵器を用いたという化学兵器禁止機関(OPCW)の調査結果にもとづいて、シリアへ制裁を加える決議案が提出されたのを、ロシアとともに拒否権を行使して、葬ったばかりだった。

      習主席は自分と、プチン大統領の顔に泥を塗ったのだった。

      習主席は今秋の第19回共産党大会で、中国13億人の「核心」である最高指導者として、もう1期5年選出されるために、アメリカとできるだけ波風をたてたくなかったから、トランプ大統領にとっさに媚びたのだった。

      トランプ大統領は習主席に北朝鮮の核ミサイル開発を阻むために、中国がよそ見せずに、真剣に協力するように求めた。それでなければ、アメリカが「ゴー・イット・アローン」(単独で行動する)といって、凄んだ。

      北朝鮮に龍をけしかけたのだが、ここしばらくは中国の出方を見守ろう。

      アメリカは原子力空母『カール・ビンソン』を中核とする機動打撃群を、朝鮮近海へ急行させた。北朝鮮は怯んで、予定していた6回目の核実験を半年か1年か、延期したにちがいない。

      アメリカはシリアへミサイル攻撃を加える2時間前に、ロシア軍要員を殺傷することがないように、ロシアへ通告した。シリアへのミサイル攻撃は、あきらかに北朝鮮に対する警告だった。

      トランプ大統領は、オバマ政権が中国という暴れ龍を仕付けることを怠り、北朝鮮の核・ミサイル開発を放置していたツケを、支払うことを強いられている。

      私はトランプが大統領選に勝ったのを、喜んだ。もしヒラリー夫人が勝っていたら、オバマ政権の8年間の対外政策の無策が続くことになって、世界がいっそう安定を失うことになったろう。

      トランプは予測不能だ。それに選挙事務所にレーガン大統領とジョン・ウェインの等身大の写真を飾って、「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」と叫んでいたが、「メイク・アメリカ・タフ・アゲイン」と聞こえた。

      トランプ大統領は、北朝鮮がアメリカまで届く核ミサイルを完成することを、「絶対に許さない」といって、北朝鮮が核実験を強行したら、核施設を攻撃することになろう。

      いったい、北朝鮮は何を求めているのだろうか?

      北朝鮮は何よりもアメリカと交渉して、アメリカが北朝鮮を核保有国として認めさせ、米朝間に国交関係を結ぶことによって、金王朝の存続を保証することを、強く望んでいる。
      ところが、トランプ政権は「北朝鮮が核開発を放棄しないかぎり、話し合いに応じない」と、繰り返し言明している。

      3月6日に、北朝鮮が4発のミサイルを発射して、3発が秋田県沖合に弾着した直後に、北朝鮮は「在日米軍基地を狙った演習だった」と声明した。日本の沖合に4発とも落すつもりだったが、1発が外れたにちがいない。

      4発のミサイル発射は、北朝鮮のアメリカへの熱烈な“ラブコール”だった。

      その7日後にマレーシア空港で、異母兄の金正男氏を、VXガスを用いて暗殺した。なぜ、他の毒物をいくらでも使うことができたのに、そうしなかったのか。VXガスを大量に貯蔵していることを、示したかったのだ。

      おそらく、安倍首相がアメリカの袖に縋って、北朝鮮と話し合うように哀願することを、期待したにちがいない。

      4月13日に米大手テレビが、「トランプ政権が北朝鮮が核実験を行う確証をえたら、先制攻撃を加えることを決定した」と、報じた。北朝鮮は「最高指導部が判断した時に、いつでも核実験を実施する」と反発した。

      朝鮮半島は一触即発だ。トランプ大統領と、金正恩朝鮮労働党委員長の予測不能の2人が、朝鮮半島と日本に戦火を招こうとしている。

      ところが、日本の国会は朝鮮半島の危機が刻々と募っていたのをわきに、米国に任せておけばよいと、与野党ともに属国根性を丸出しにして、4月に入ってからもわずらわされることなく、森友学園問題におもしろおかしく没頭していた。

      5月3日には、日本国憲法が70周年を迎える。アメリカが70年前に日本を属国とすることをはかって、押し付けたものだ。

      私は「平和無抵抗憲法」と、呼んでいる。きっと護憲派が全国にわたって、属国憲法の記念日を祝う集会を催すことだろう。属国根性で国民の生命を守れない。私は日本国憲法や、森友学園の籠池夫妻と心中したくない。

      4月15日は、金王朝の創始者の金日成主席の生誕105周年を祝う「太陽節(テャンチョル)」だった。ピョンヤンで新型のミサイルが次々と登場し、“虎の子”の部隊が行進した。

      雛壇から朝鮮労働党副委員長が、「核戦争には、核攻撃で応える!」と、叫んだ。

      大型のミサイルが登場すると、世界でもっとも若い、33歳の最高指導者である金正恩委員長が、お気に入りのオモチャ箱の兵隊を見るように笑顔となった。

      この夕方、岸田文雄外相が記者団に、「いかなる事態にも対応できるように、万全の態勢を整えている」と、語った。

      トランプ大統領は北朝鮮が核実験の準備に取り組むか、アメリカまで届くICBM(大陸間弾道弾)の試射をはかる場合に、先制攻撃を加えると、繰り返し警告している。

      アメリカが北朝鮮の核施設とミサイル基地を摘出する、限定的なサージカル・ストライク(外科的攻撃)を加えたら、北朝鮮は体制の威信を賭けて、南北軍事境界線から45キロしか離れていないソウルを砲撃を開始し、日本へ向けてミサイルを発射しよう。韓国にある多数の原発が被弾したら、偏西風に乗って、日本全国が放射能によって覆われる。

      1950年から3年にわたった朝鮮戦争の再演には、ならない。北朝鮮は全面戦争を戦ったら国家的自殺になるから、開戦5、6日以内に国際世論を背景にして、国連、中国、ロシアが間に入って、停戦が成立することを見込もう。

      北朝鮮が日本へ多数のミサイルを、同時に撃ってきたら、日本は迎撃して全て破壊する能力がないから、ひたすら耐えるほかない。

      岸田外相が「万全の態勢を備えている」と述べたが、前大戦で米国が日本全土を空襲する前に、軍部が「来るなら来い! 我に鉄壁の備えあり」と、豪語したのと変わらない。

      トランプ大統領は核実験を強行するか、アメリカまで届くICBMを試射する確証をえたら、先制攻撃を加えると警告している。「アメリカ・ファースト」――「アメリカの安全(アメリカン・セイフティ)ファースト」なのだ。

      日本が頭から火の粉をかぶることになるが、トランプ政権は、剣道でいえば「肉を斬らせて、骨を斬る」ことになる。肉は日本だ。

      いつ、朝鮮半島に火の手があがることになるのだろうか。私は時間的な余裕が、まだ1年か、2年あまりあると思う。

      中国の習近平主席は「偉大な5000年の中華文明の復興」、英訳すれば「メイク・チャイナ・グレイト・アゲイン」と叫んで、中国国民の人気を博してきたのに、北朝鮮のおかげでアメリカに対して威張れなくなった。

      といって、米国のいうままになって、北朝鮮に核開発を放棄するように、真剣になって迫ることはしまい。

      北朝鮮が核開発を放棄することはありえない。核やミサイル実験を行わなくても、性能を高めることができる。このまま進んでゆけば、アメリカはいずれ北朝鮮を攻撃することとなろう。

      国会は与野党が一致して、ミサイル迎撃システムを強化し、北朝鮮のミサイル基地を攻撃する能力を保有するために、防衛費を画期的に増額することを、集中審議すべきだ。

      72年前に、朝日新聞と狂気に取り憑かれた軍人たちが、日本精神さえあれば「神州不滅」だと叫んで、「一億総特攻」をあおった。護憲派が「平和憲法」さえあれば、「日本は不滅」だと説いているが、72年前に「一億玉砕」の道を突き進んでいた亡霊が、さまよっているとしか思えない。

      戦後の日本は弱いことがよいという風潮によって覆われてきたが、一刻も早く改めよう。
       

      posted by: samu | 政治認識 | 08:58 | - | - | - | - |
      「 白村江の戦い、歴史が示す日本の気概 」櫻井よしこ
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        『週刊新潮』 2017年6月8日号
        日本ルネッサンス 第756回

        少し古い本だが、夜久正雄氏の『白村江の戦』(国文研叢書15)が非常に面白い。
         
        昭和49(1974)年に出版された同書を、夜久氏が執筆していた最中、日本と中華人民共和国との間に国交が樹立された。中華民国(台湾)との国交断絶を、日本政府が北京で宣言する異常事態を、氏は「これは私には国辱と思へた」と書いている。72年の田中角栄氏らによる対中外交と較べて、「七世紀の日本が情誼にもとづいて百済を援けた白村江の戦は、不幸、敗れはしたが、筋を通した義戦だった」と、夜久氏はいうのだ。

        「その結果、日本の独立は承認され、新羅も唐と戦って半島の独立をかちとるに至った」とする白村江の戦いを、なぜいま振りかえるのか。言うまでもない。日本周辺の状況が100年に1度といってよい大きな変化を見せており、中国、朝鮮半島との歴史を、私たちが再び、きっちりと理解し、心に刻んでおくべき時が来たからだ。
         
        かつて中華思想を振りかざし、中国は周囲の国々を南蛮東夷西戎北狄などとして支配した。21世紀の現在、彼らは再び、中華大帝国を築こうという野望を隠さない。中華人民共和国の野望は習近平主席の野望と言い換えて差しつかえない。
         
        習氏は昨年10月、自らを「党の核心」と位置づけた。毛沢東、小平ら中国の偉大な指導者に、自らを伍したのだ。まず、秋の全国代表大会でその地位を確定するために、党長老を集めて行われる夏の北戴河会議で、自身の威信を認めてほしいと、習氏は願っている。そのために、いまアメリカのトランプ政権と問題を起こす余裕は全くない。習政権が低姿勢を保つゆえんである。
         
        アメリカという超大国に対しては低姿勢だが、逆に朝鮮半島は、彼らにとって支配すべき対象以外の何ものでもない。その延長線上に日本がある。日本もまた、中国の視線の中では支配すべき対象なのである。

        百済救済のために
         
        663年の白村江の戦いを振りかえれば、日本にとってこれが如何に重要な意味を持つかが見えてくる。アメリカのトランプ政権が如何なる意味でも、西側諸国の安定や繁栄につながる価値観の擁護者になり得ないであろう中で、白村江の戦いでわが国が何を得たのか、何を確立したのかを知っておくことが大事である。
         
        白村江の戦いは663年、日本が、すでに滅びた百済救済のために立ち上がった戦いである。その前段として、隋の皇帝煬帝(ようだい)の高句麗(こうくり)遠征がある。
         
        隋の第2代皇帝煬帝は612年から614年まで毎年、高句麗遠征に大軍を投入した。夜久氏はこう書いている。

        「進発基地には涿郡(たくぐん)(河北省)が指定され、全国から一一三万八千の兵があつめられた。山東半島では三〇〇隻の船を急造し、河南・淮南・江南は兵車五万台の供出(きょうしゅつ)の命(めい)をうけた。兵以外の軍役労務者の徴発は二三〇万という数にのぼった。その大半は地理上の関係から山東地区から徴発された」
         
        煬帝の治政は残酷極まることで悪名高い。夜久氏は、「多数の労働力をとられた農地に明日の不作荒廃がくるのは必然であった」と書いている。

        「山東東萊(とうらい)の海辺で行なわれた造船工人は悲惨のきわみであった。昼夜兼行の水中作業で腰から下が腐爛(ふらん)して蛆(うじ)が生じ、一〇人に三、四人も死んでいった。陸上運輸労務者もこれにおとらず悲惨であった。旧暦五月六月の炎暑の輸送に休養も与えられず、人も牛馬もつぎつぎに路上にたおれた。『死者相枕(あいまくら)し、臭穢(しゅうあい)路にみつ』と書かれている」
         
        このようにして612年、煬帝の高句麗親征軍は出発した。100万の大軍の進行はその倍以上の輜重(しちょう)部隊(糧食、被服、武器弾薬などの軍需品を運ぶ部隊)を伴い、行軍の列は長さ1000里を越えたという。1里は約400辰箸靴董隊列は400舛砲皹笋咾討い燭箸いΔ海箸澄G鯣瓜粟蘊罎涼羚颪任△襪ら話半分としても200舛猟垢気任△襦
         
        現在のように、命令伝達の手段が発達している時代ではない。部隊命令は当然末端までは届かない。そこで途中で行方不明になる部隊、行き先を間違える部隊が続出した。高句麗軍はピョンヤン近くまで、わざと敵を侵入させ、隋軍の退路を断って四方から襲ったと書いている。こうしてピョンヤンに侵攻した部隊、30万5000の兵は、引き揚げたときわずか2700に減っていたという。
         
        この大失敗にも懲りず、隋は613年、614年と続けて討伐を企てた。しかし、軍は飢餓と疫病に見舞われ、煬帝の力は急速に衰えた。
         
        隋の朝鮮遠征を夜久氏は「文字が出来てからこのかた、今にいたるまで、宇宙崩離(ほうり)し、生霊塗炭、身を喪ひ国を滅す、未だかくのごとく甚しきものあらざるなり」と描いた。

        中国と対等に戦い
         
        隋はこうして滅び、唐の高祖が台頭して中国を治めた。唐の2代皇帝、太宗は文字通り、大唐帝国を築き上げた。
         
        そして再び、中国(唐)は朝鮮半島を攻めるのである。日本は前述のように百済救援におもむき、唐と戦い敗北する。敗北はしたが、日本はその後、唐・新羅連合軍の日本侵攻に備えて国内の体制固めを進めた。国防の気概を強める日本の姿を見て、最も刺激を受けたのが前述の新羅だった。彼らが如何に日本の在り様に発奮させられたかは、唐と共に日本に迫るべきときに、逆に唐に反攻したことからも明らかだ。新羅はこのとき、日本を蔑称の「倭国」と記さず、「日本」と記したのである。夜久氏はこれを「七世紀後半の東アジアの大事件」と形容した。
         
        日本は中国と対等に戦い、敗れても尚、「和を請わず、自ら防備を厳にして三十余年間唐と対峙し続けた」「我々今日の日本人は当時の日本人の剛毅なる気魄を讃嘆すると共に、自ら顧みて愧(は)ずる所なきを得ません」という滝川政次郎氏の言葉を夜久氏は引用している。
         
        日本が思い出すべきは、このときの日本の、国家としての矜恃であろう。敗れても独立国家としての気概を保ち続け、朝鮮半島にも大きな影響を及ぼしたのが、日本だった。
         
        中国が再び、強大な力を有し、時代に逆行する中華大帝国の再来を目指し、周辺国への圧力を強めるいま、日本は、歴史を振りかえり、独立国として、先人たちがどのような誇りと勇気を持ち続けたかを思い出さなければならない。
         
        トランプ政権はいま、先進国首脳会議(G7)に中国とロシアを入れる考えさえ提示している。世界の秩序は基盤が崩れ、大きくかわろうとしているのである。このときに当たって、わが国日本が歴史から学べることは多いはずだ。

        posted by: samu | 政治認識/中国韓国 | 21:22 | - | - | - | - |
        シビリアン・コントロールと拉致被害者奪還/西村眞悟
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          六月十日、午後三時より、
          日本会議世田谷・目黒支部春期時事講演会において、講師として、
          「今こそ拉致被害者を奪還すべし」
          と題した講演をさせていただいた。

          まことに、「今こそ」!
          拉致被害者を「奪還」!
          せねばならない。
          そこで、「シビリアンコントロールと拉致被害者奪還」について話の概要を記したい。
          即ち、拉致被害者奪還は、
          内閣総理大臣の「シビリアンコントロール発動」によって達成されねばならない。
          従って、安倍総理が、四月に拉致被害者救出集会において、
          「私が司令塔になって拉致被害者を取り戻す」
          と挨拶したことは適切だった。
          総理しか司令塔になれないからだ。
          しかし、総理が司令塔になって、「話し合うぞ」、では羊頭狗肉そのものであろう。
          総理がシビリアンコントロールを発動し「奪還」しなければならないのだ。
          それは、つまり、総理が自衛隊の最高指揮官として、
          自衛隊に北朝鮮域内にいる拉致被害者の奪還を命じ、
          自衛隊が、その命令を遂行するということだ。

          従来、我が国では、シビリアンコントロールという言葉を、
          文民が軍隊をコントロールすること、
          具体的には、
          防衛省内局(背広)が自衛隊(軍服)を雁字搦めにすることと理解してきた。
          従って、かつてアフリカで数十万人の難民がでた内戦の終息を目指したPKO活動に
          我が国の自衛隊が参加するに際し、
          政治(細川内閣)が「携行する機関銃は二挺ではだめで一挺にせよ」と指示し、
          自衛隊がその指示に従って機関銃一挺だけを持ってアフリカ現地に赴いたことがあったが、これをシビリアンコントロールであると理解されてきた。
          しかし、これは違う。
          これは、シビリアンコントロールではなく、
          自衛隊のオペレーションに対する軍事の素人の干渉・介入である。
          これは例えば、病院のオペレーション室に入って手術に臨む医師団に対して、
          病院の事務局が、持参するメスは、
          二本ではなく一本にするべしと指示するのと同じだ。
          こんな指示に医師が従えば、手術ができない、患者が死ぬ。
          これと同じだ。

          真のシビリアンコントロールとは、
          国民に対して最高の政治的責任を負う者が
          同時に軍隊の最高指揮官である体制の中で、
          その最高指揮官が軍隊を動かすか動かさないかを決定することである。

          即ち、我が国に於いては内閣総理大臣、アメリカにおいては大統領が、
          軍隊(自衛隊)を動かすか否かを決定し、軍隊に命令を発すること、
          これがシビリアンコントロールである。
          そして、動くとの決定があれば、
          次は、軍(自衛隊)の作戦実施(オペレーション)の領域に入る。
          つまり、医師団が手術室に入るのと同じ段階に入る。
          例えば、我が国の空母機動部隊が真珠湾を奇襲した際に、
          その知らせを受けたF・ルーズベルト大統領が、
          参謀総長を振り返り、
          「問題解決を君の領域に移す」
          と指示したと伝えられている。
          これがシビリアンコントロールが発動された瞬間である。

          つまり、安倍総理は、
          自衛隊を動かして拉致被害者を奪還するか否かを決定する立場にあり、
          朝鮮半島の予想される激動のなかで、
          必ず、その決定を迫られる状況が発生する。
          その状況とは、
          あたかも、昭和五十二年(一九七七年)九月三十日、
          日航機が日本赤軍によってハイジャックされてダッカに着陸させられたうえで、
          ハイジャックした日本赤軍から六百万ドルと服役囚九名の釈放と引き渡しを要求され、
          要求を受け入れなければ乗客の人質を順次殺害すると迫られた福田赳夫総理と
          安倍総理は同じ立場に立つことになるということである。
          その時、福田総理は、人質を救うために、
          「超法規的措置」を決断した。
          従って、安倍総理も、拉致被害者を救うために、
          断固たる「超法規的決断」をしなければならないということだ。

          ところで、この「超法規的」措置や決断とは、何か。
          それは、「法律に書いていない分野」での措置・決断ということである。
          つまり、「ネガリストの領域」での決断ということだ。
          「ネガリスト」とは「法によって禁止されていなければできる」ということであり、
          これは即ち「軍隊を動かす原則」のことにほかならない。
          これに対して、「ポジリスト」とは
          「法律に書いてあるからできる」ということであり、
          これは、「警察が動く原則」である。

          奇しくも、この日航機ハイジャック事件と同時期に
          西ドイツのルフトハンザ機が西ドイツ赤軍によってハイジャックされ、
          日本赤軍と同様の要求を西ドイツ政府に突き付けた。
          この西ドイツ赤軍に対して、
          西ドイツのヘルムート・シュミット首相は、
          軍の特殊部隊をルフトハンザ機に突入させて犯人を射殺して人質全員を救出した。
          西ドイツは、その措置を「超法規的措置」と云わずに、
          「特殊部隊をルフトハンザ機内に突入させてはならないという法律がないからした」
          つまり「ネガリスト」、軍隊を動かす原則によって行動したと説明した。
          実は、福田首相の「超法規的措置」も、
          この西ドイツ政府の説明と同じなのだ。
          即ち、福田首相も、シュミット首相と同じように、
          「犯人の要求に従ってはならないという法律がないからした」のだ。
          福田首相とシュミット首相の違いは、
          一方は、ネガリストの原則によってテロリストの要求を受諾し、
          他方は、ネガリストの原則によってテロリストを射殺したことである。

          この福田首相の措置を先例として、
          安倍総理は、ネガリストの原則によって、
          自衛隊(軍隊)を動かして拉致被害者を救出する決断を迫られているということだ。
          アメリカ軍に動いてもらって自衛隊がそれを見守って待機するのではない、
          もちろん、アメリカ軍の協力を要請するが、
          総理が自衛隊を動かして拉致被害者を救出する
          その決断を迫られているということだ。

          なを、もう一つ、
          福田赳夫内閣に関し、特筆すべきことを記しておかねばならない。
          それは、奇しくも、ダッカハイジャック事件と同時期の昭和五十二年九月、
          福田内閣は、明確に、北朝鮮が日本人を拉致しつつあることを知ったということだ。
          即ち、その時、石川県警は
          能登半島から三鷹市のガードマンであった久米裕を拉致して北朝鮮に連れ去った北朝鮮の工作員を逮捕し、その者から北朝鮮による日本人拉致の事実の供述を得ると共に、
          その工作員の居所から北朝鮮からの日本人拉致の暗号指令を解読する乱数表を押収し、
          その解読に成功した。
          そして、警察庁は、石川県警の乱数表解読の功績を称えて表彰したのである。
          ここにおいて、まさに、この頃、
          日本国政府、福田内閣は、北朝鮮による日本人拉致を明確に知ったのだ。
          従って、日本国政府は、四十五日後の十一月十五日、
          新潟から十三歳の横田めぐみさんが拉致されたことも、その頃、知った。
          日本政府が北朝鮮からの日本人拉致の暗号指令の解読に成功していたこと、
          さらに、横田めぐみさんが拉致された現場を歩いて検分し、
          その時の現場の周辺の状況を総合すれば、
          横田めぐみさん拉致も、その直後に、日本政府は知っていたという結論になる。
          何故、それから二十年以上も、
          日本政府は、
          北朝鮮による日本人拉致を知っていたのに知らぬふりをして放置したのか。
          これこそ、我が国内の闇、暗黒、である。
          その、暗黒は、日本国憲法によって造られ、そして、守られている。

          ところで、
          現在の我が国政府の方針は、
          朝鮮半島の情勢が如何にあろうとも、
          自衛隊を北朝鮮域内に入れるには、
          「北朝鮮政府の同意」がいる、
          というものである、と、思われる。
          つまり、馬鹿馬鹿しいことを大真面目に言っている。
          即ち、強盗に奪われたものを取り戻すには、強盗の同意がいる、と言っているのだ。

          そこで、言っておく。
          私が述べてきたことは、
          「北朝鮮政府の同意が無い場合」もしくは
          「北朝鮮に同意する政府が無い場合」に、
          自衛隊によって拉致被害者を奪還する方策のことである。
          法律には、自衛隊を入れるには、
          相手方政府の同意がいる、
          と書いてあるが、
          日本人を拉致した北朝鮮政府の同意がない場合に自衛隊が入ってはならない、
          北朝鮮政府が崩壊した場合に自衛隊が入ってはならない、
          とは書いていない。
          よって、総理は、
          自衛隊を北朝鮮域内に入れて拉致被害者を奪還するか否かの決断をしなければならない。
          即ち、四六時中、その地位にある限り、
          この決断を迫られているのが総理大臣の地位である。

          最後に、昭和二十二年五月三日に施行された日本国憲法と
          拉致問題について結論を指摘しておく。

          北朝鮮が
          国家の意志として我が国の主権を蹂躙して
          日本国民を拉致し続けることができたのは、
          我が国政府が、その事実を認識していたのに、
          怒りを発することもなく、国民に知らせることもせず、
          何ら防衛行動を実施せず、さらに、
          拉致された国民を断固救出しようとしなかったからである。

          この、我が国家の最も恥ずべき惨めな状況、
          この、拉致された国民への最も冷酷な無視、
          この、体制的および精神的な亡国の状況、
          これを生み出したものこそ、
          日本国憲法そのものである。
          即ち、
          戦後からの脱却、日本を取り戻す、とは、
          昭和二十一年二月四日から十二日の九日間に、
          我が国を軍事占領していた連合軍総司令部(GHQ)民政局二十五人のメンバーによって、「日本を永遠に武装解除されたままにおくこと」(チャールズ・ケーディス)
          を目的として書かれた
          「日本国憲法」
          からの脱却である。

          拉致被害者は、日本国憲法の犠牲者である。
          拉致被害者は、北朝鮮から、日本国憲法からの脱却を訴えている。

          posted by: samu | 政治認識 | 22:07 | - | - | - | - |
          「 市場経済も軍事力も拡大中の北朝鮮 日本は国民守る手立ての早期整備を 」櫻井よしこ
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            『週刊ダイヤモンド』 2017年6月10日号
            新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1185
             

            「北朝鮮はわれわれが考えていた以上に強い国力を有していて、経済は成長を続けています。市場経済が発達して、恐らく、国民の生活水準は過去になかった程、高くなっていると思います」
             
            米国のジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」の編集長兼プロデューサーを務めるジェニー・タウン氏が、都内で開かれた小規模の勉強会で語った。

            「38ノース」もタウン氏も、北朝鮮の核ミサイル開発が進む中で、衛星写真の詳細な分析によって、国際社会の注目を浴びている。氏は、街で見掛ければ「若いOL」にでも間違われそうな佇まいの女性だ。
             
            彼女がジョンズ・ホプキンス大で朝鮮半島研究を始めたのは2006年、「38ノース」の立ち上げは10年だ。氏はさらに次のように語った。

            「多くの市民が携帯電話を持っています。ファッションにも聡いことが服装から見てとれます。多くのビジネスが生まれており、市民の経済活動の幅が広がり、競争の原理が働く市場が生まれているのが見てとれます」
             
            かつて統制経済の下で、ピョンヤンは選ばれた人々の住む特別な地域として、食糧など必要な物資はおよそ全て「金王朝」によって支給された。だが金正日時代の末期から配給が止まり、ピョンヤン市民、即ち、政府・軍の高官までも「自活」を迫られた。タウン氏の指摘する「ビジネス活動の普及」は、その結果である。
             
            北朝鮮全土の市場は約400カ所にふえたと氏は指摘する。朝鮮問題の専門家、麗澤大学客員教授の西岡力氏も、ピョンヤンなどに新たなガソリンスタンドができて繁盛していること、市場経済の中で「金持ち」が生まれていることは事実だと指摘する。タウン氏は、金正恩朝鮮労働党委員長はこうした経済活動を許容し、一連の経済活動から生ずる利益が、金正恩氏の核・ミサイル実験をはじめとする軍事開発コストを賄っているとの見方を示した。
             
            他方、金正恩氏の「金庫」と位置づけられている「39号室」の現金が底をついているとの情報もある。そのため、金正恩氏の野望を満たすためのさまざまな物資の調達は現金ではなく金塊で支払っているとされ、これは脱北者からのかなり確かな情報だ。この件を尋ねるとタウン氏は次のように答えた。

            「判断は難しいが、ハードカレンシー(他国の通貨に交換可能な通貨)は北朝鮮にはかなりある。市場では人々はクレジットカードやデビットカードを使用しています」
             
            北朝鮮経済が行き詰まっているとの見方は間違いだと氏は結論づける。北朝鮮は軍事的にも世界が考えるより遙かに先を行っていると指摘した。

            「核関連施設は約100カ所あると考えられます。その内、われわれが把握しているのは約20カ所です。残りは解明できていません」
             
            北朝鮮の咸鏡北道吉州郡の豊渓里(ブンゲリ)が核実験場であることはすでに確認されている。先月そこで作業員らがバレーボールに興じる様子を、タウン氏はかなり鮮明なVTRで披露した。

            「この画像に込められたメッセージについて、われわれは専門家を交えて分析しました。北朝鮮はいつでも次の実験準備は整っていると伝えたいのだと思います。彼らは核を放棄しないでしょうし、いまは次なる核実験をするための機会を窺っていると思います」
             
            米国が恐れる北朝鮮の大陸間弾道ミサイル技術に関して、北朝鮮は大気圏に再突入する技術の確立にも成功したと見られる点を強調したうえで、タウン氏は、北朝鮮は通常兵器も大幅に増産、改善していることを忘れてはならないと警告する。
             
            切迫した状況が私たちの眼前にあることを見るにつけ、テロ等準備罪や憲法改正など、日本は国民を守る手立てをできるだけ早く整備すべきであろう。

            posted by: samu | 政治認識/中国韓国 | 09:13 | - | - | - | - |
            加計学園問題、 野党マスコミは本質を読み間違え/高橋洋一
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              マスコミはいつまで見誤るのか

              加計学園問題について、本コラムで連続して取り上げてきた。この問題については、国会での追及も含めて、いよいよ最終段階になっている。

              文科省は9日(金)、例の「文書」についてその存否を含めた再調査をするとした。これまで、文科省はあの「文書」について「存在を確認出来なかった」としてきた。さて、この方向転換について、マスコミは予想もしていなかったのか、再調査を行うと決まった瞬間、ニュース速報も流れた。

              では、再調査を指示した官邸の意図はどこにあるのだろうか。

              筆者はこれまで、文科省の「文書」については「存在する」という前提で書いてきている。それが「本物」で、改ざんされていないものだったとしても、あくまで文科省内で出回っていた文書であり、それだけでは獣医学部新設について「総理の意向」があったかどうかの証明にはまったく役に立たない。

              しかも、例の文書が作成されたのは2016年9月後半である。前回コラムでも指摘したように、この文書が作成される以前に、文科省と内閣府が獣医学部の新設について議論し、既に公表されている「国家戦略特区ワーキンググループ議事録」や、閣議決定がある。これらは、文科省も内閣府も合意している文書である。それに対して、文科省の「文書」は単に一方の当事者が作成したメモにすぎない。信用の度合いが違うのだ。

              にもかかわらず、「真相解明が必要」というマスコミ・野党は、

              2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

              2015年6月29日閣議決定(文科省部分、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf

              2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf

              という三つの文書についてはまったく言及しない。はっきり言って、この三つの文書は文科省「文書」よりも真相解明に役立つのに、だ。

              本コラムで既に書いてきたように、実はこれらを見るだけで、真相解明はできてしまう。

               

              文科省のコールド負け

               

              まず,鉢をみれば、内閣府・特区有識者委員vs.文科省(農水省)による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝であることが分かる。野球で例えるならば、前者の10対0、5回コールド勝ちである(疑ってかかる前に、ぜひ読んでほしい)。

              △粒婬跳萃蠅任蓮要求されている獣医学部新設の需要見通しについて、許認可をもち需要見通しの挙証責任がある文科省が、まったくその役割を果たせていないことが分かる。しかも、△任蓮2015年度内(2016年3月までに)に獣医学部の新設の是非について検討するという期限が切られているが、それすら文科省は守れていない。

              これでは、文科省のコールド負けでもしかたない。本件に係る規制緩和の議論は、課長レベルの事務交渉で決着がついてしまっているのだ。だから、この問題で「総理の意向」が出てくる余地はまったくない。

              それでもマスコミは、あの文科省文書が本物かどうかに焦点を当てている。おそらく本物であっても、それらが作成されたのは2016年9月後半であるから、文科省への宿題の期限(2016年3月)の後になり、しかも、が作成された(2016年9月)後でもある。

              はっきりいえば、勝負のついた後に、文科省は言い訳を言っているだけにすぎないのだ。「文書」にある「総理の意向」という文言は、文科省側のでっち上げ・口実の可能性さえあると、本コラムでは前から書いている。

              いずれにしても、官邸としては文書が発見されたところで何の不都合もないのだ。むしろ文書が見つかれば、これらの経緯が明らかになり、文科省がまともな政策議論ができない「三流官庁」であると分かってしまうことになる。 

              これが、官邸が文科省「文書」の再調査を容認した大きな理由だろう。仮に存在しても、安倍首相・官邸にとって痛くもないが、再調査しないことで国民から不信をもたれるのは、7月の都議選への影響も考えると、得策ではないというわけだ。

              ここまでは、 銑を読むだけで直ぐわかることだ。さらに、ちょっと周辺の資料をみれば、加計学園問題の経緯もわかる。官邸は、文科省「文書」の再調査とともに、獣医学部新設の「真相」を一気に説明することもできる。

              根っこにあるのが、50年以上も獣医学部の新設が認められてこなかった事実である。加計学園は、以前から獣医学部の新設希望を出していた。筆者の覚えている限りでも、小泉政権での構造改革特区のときにも要望を出していた。

              この意味で、加計学園は20年近くも新設を要望し続けてきたわけだ。もし加計学園の理事長が安倍首相の長年の友達という関係なら、10年程前に認められていても不思議でない。ただし、獣医学会などが強烈に反対し、麻生太郎氏もこれに反対側であったので、民主党政権以前の自民党時代には実現できなかった。

              実は、民主党政権時代にこの新設については少し議論が進んだ。そして、安倍政権が誕生し、アベノミクスの第三の矢として規制改革があげられるなかで、獣医学部と医学部は「岩盤規制の省庁」として有名になったのだ。

              官邸の「再攻撃」が始まる

              そこで、なにが規制緩和の妨げになっているかの法的根拠を見ると、文科省が告示する時点で全面的に門前払いであることが分かった。これは、官僚であれば、法的にはあり得ない告示であり、即時廃止でも不思議でないと思うほど酷いものだ。文科省が三流官庁と言われるのもやむを得ない。それは、2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループでも議論されている。

              その後、文科省と内閣府の折衝によって、2015年6月30日閣議決定が作られた。ここで、例の「新設についての4条件」が書かれている。そして、ここで議論されたにもかかわらず、文科省が閣議決定の2016年3月の期限までに決断を下せなかったのは、上に書いたとおりだ。

              その時点で前川氏は責任をとってもいいレベルの話なのだ。本当に文科行政に信念があり、官邸の意向でそれが曲げられていたというなら、2016年3月、閣議決定の期限が来たときに、「私は閣議の方針に反対だ」といって、辞任していたら筋が通っているのだが。もしかするとその時、前川・前事務次官は文科官僚への天下り斡旋で忙しかったのだろうか(笑)。

              官邸が「文書」の再調査を認めた第二の理由は、倒閣運動をしている前川氏への再攻撃のためだろう。「出会い系喫茶に通っていた話」での攻撃は、正直言って評判が良くなかった。前川氏の行動も酷いと思うが、官邸からのリークの仕方があまりに露骨だと逆効果になってしまった。そこで、政策論から「再攻撃」を行おうという狙いがあるのだろう。

              天下りと許認可は切っても切れない関係である。天下りは身内の役人という既得権にとっては甘く、それ以外の人にとっては雇用を奪われるものである。新規参入についての許認可も、既に参入している既得権者には有利で、新規参入者を不当に差別する。こうした意味で、天下り斡旋を行うことは、新規参入阻止と整合的である。

              前川氏は天下り斡旋を当然のように行い、新規参入阻止、つまり既得権を擁護し新規参入者への不当差別を行いながら、獣医学部新設については「内閣府が文科省行政に横やりを入れてきた」という。まさに、「既得権擁護」をするだけの役人人生だった、と見ることもできるのだ。

              前川氏の役人人生は、あまり褒められたものではないはずなのに、今は勇気ある告発者としてマスコミで扱われている。これを再び政策論に戻すことで、倒閣運動している前川氏への再攻撃を行うという意図もあるのだろう。

              また空回りする民進党

              第三の理由として、民進党が、7日、国家戦略特区を廃止する法案を参院に提出したことも、「文書」再調査を指示した背景にあるのだろう。

              筆者は6月初めに、民進党が「廃止法案を出す方針だ」と聞いたときに、信じられなかった。これについて筆者はあるマスコミの取材に応じて、

              「特区廃止法案を出すのが事実であれば、『民進党=規制改革に反対』というスタンスが明確になる。特区廃止は、規制緩和による新規参入を認めないということであり、つまり、『天下り容認』と表裏一体だ。旧民主党政権下では、天下りあっせん禁止の運用を骨抜きにしたこともある。論理的に考えると、もしも民進党が特区廃止を言い出したなら、次に天下りあっせん禁止を廃止する法案を出してもおかしくない」

              という、軽口をいってしまったくらいだ。日経新聞も「ここまで的を外した法案は珍しい」と酷評していた。もちろん民進党内には、規制緩和の推進派も少なくない。彼らの党内での居場所もなくなってしまうが、それで本当にいいのだろうか。

              民進党は、6月18日までの国会会期内のできるだけ早期に再調査結果を出せというだろう。国会は1週間程度の小幅延長のようである。

              となると、再調査結果をいつ公表するかどうかは、政府のさじ加減次第である。再調査結果が出てくれば、野党は前川氏の証人喚問などを言うかもしれないが、国会会期後の閉会中審査で、という手もあるので、それだと野党の追及は困難になるだろう。

              結局、無理筋であるはずの「総理の意向」という点にこだわり、思い込みで間違えてしまった民進党は、森友学園問題のときと同じように、何も影響を与えられないまま、またしても空回りして終わるだろう。



              株式日記と経済展望ぶろぐ(私のコメント)

              「株式日記」では加計学園問題も何度も書いてきましたが、法的な問題がないことは民進党も認めており、ただ総理の関与で友人に便宜が図られたことに拘ってきた。しあしこれは国家戦略特区構想で実現したものであり、監督官庁である文科省にとっては既得権益を犯されたものであり、さらに天下り問題で多くの処分者を出した。

              だから文科省次官にとっては面子丸つぶれであり、前川氏はマスコミにリークして総理の恣意的判断で認可されたと朝日新聞にリークした。しかしこの問題は総理の意向以前に決められた問題で有り、高橋氏の記事では総理の意向で認可されたというのは時間的に整合性が取れない。

              規制を緩和するというのは小泉構造改革からの課題であり、監督官庁である省庁では特区で規制の穴を開けられるのは面白くない。少なくとも認可するからには天下りを受け入れろということになる。その天下りで文科省では組織的な天下りを続けていたから前川次官は処分された。

              しかし前川次官が処分されたのは、「出会い系バー」に入り浸っていたからであり、天下り問題が出たのはその後だ。二重の意味でけしからん文科省次官ですが、マスコミでは総理と戦う正義の味方のような扱いで記事にしている。文科省内の機密事項をリークしたのだから公務員機密保護法にも触れる問題であり、メモが本物だとしても総理の意向で法律が歪められて認可されたわけではない。法律を犯したのは前川次官の方だ。

              高橋氏が指摘するのはその点であり、総理の意向なるメモは既に決定された以降の時期であり、専門家会議などと文科省との議論で規制緩和で認可が降りた後の時期であり、総理の意向で認可されたわけではない。しかし新聞やテレビを見てもピンと来ないし高橋氏の指摘を見れば時間的な経過から見ておかしい。

              総理の意向だけで簡単にできることならまさに独裁国家ですが、民進党のご本家の中国や北朝鮮や韓国なら、国のトップの一声があれば何でも実現するが、日本は民主国家だから法令に定めた手続きがなければ実現しない。蓮舫氏が日本人か中国人かわからないような党首では、中国の意向でそう動いているのだろう。

              高橋氏が書いているように、民進党は国家戦略特区を廃止する法案を参院に提出したそうですが、ということは規制緩和に反対するということなのだろう。これは文部科学省の以降であり、他の中央省庁の意向でもあるのだろう。規制があるからこそ役人の天下りもできるのであり、自由化されたら天下りを受け入れてくれるところがなくなる。

              民主党政権時代に、民主党は役人の現役出向を認めたが、出戻りも認めたことで天下りがますますしやすくなった。民主党は政治主導と言って政権を取りましたが、官僚主導でなければ何もできなかった。だから民進党は官僚を味方につけて安倍降ろしを図っているのだろう。しかし今は官邸主導の政治であり、昔の政治とは違ってきている。

              官邸と官僚との政策の主導権をめぐる問題であり、昔は官僚が政策を決めていた。政治家は官僚が書いたメモを読み上げるだけの役割であり、天下りもし放題であり給与も上げ放題で消費税も上げ放題だった。それが官邸主導の政治になると、官僚は天下りもできなくなり消費税も上がらなくなった。それが官僚たちには面白くないからマスコミに材料を流して揺さぶっているのだろう。

              posted by: samu | 政治認識 | 09:06 | - | - | - | - |
              書評/『知の湧水』(ワック)/渡部昇一
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                宮崎正弘/書評

                日本が文化的先進国である一つの象徴は『神学大全』の翻訳である
                英国、仏蘭西、伊太利亜などでしか全訳は出版されていない現実


                渡部昇一『知の湧水』(ワック)
                @@@@@@@@@@@@@@

                「希代の碩学、珠玉のエッセイ」とあって「知の巨人、ラストメッセージ」という文字が本書の帯を飾っている。
                それにしても湧き水のごとく、次々と英知が現れてくるという碩学が世の中にはいるのである。知の湧水とは、じつに適切なタイトルだと思った。
                先日、イグナチオ教会で行われた氏の追悼ミサの入り口に看板があって、仏教でいう氏の戒名は「聖トーマス・アキナス」とあった。
                本書を読んで、その聖名の理由がよくよく理解できた。
                渡部氏は、このなかでドーマス・アキナスに幾多のページを割かれ、とりわけ『神学大全』について詳述されているからである。
                なにしろ、この世界一難解とまでいわれる書物の原書を氏は三回も精読された。「神学大全邦訳完成記念」セレモニーでは、氏がスピーチもされた。

                さて本書を通読したあと、印象的な既述が二ケ所あった。これは個人的な感想であるが、まずはアリストテレスとプラトンの差違である。
                「この二人の大哲人の切り口は全く違った方向に向いていたと言える。つまりプラトンの切り口は『東』に開かれており、アリストテレスの切り口は『西』に開かれていた。プラトンの思想は東洋にも偏在したいたが、アリストテレスは西欧の中世に花開き、実を結び、西洋と特徴付ける哲学となった」(162p)。
                プラトンは「不滅の霊魂とその転生について語っている」のである。『プラトン全集 第1巻』(岩波書店)には次の言葉がある。
                「たしかに、よみがえるという過程があることも、死んでいる者から生きている者が生じるということも、そして死者たちの魂が存在することも、本当なのである」

                なぜこの箇所に評者が惹かれたかといえば、生前の氏との会話(下段追悼文『附録』を参照)に三島由紀夫の転生が話題となったことがあるからだった。

                もう一つは渡部昇一氏が子供三人、孫五人に囲まれた金婚式での感激をさらりと綴ったなかでの、次の文章である。
                そのまま引用すると、
                「子供を育てるということは大変なことである。しかしわれわれはそれをーー当時の大部分の日本人のようにーー当たり前のことと受け止めていた。しいて言えば子供で苦労することは当たり前の人間にとって『人生の手ごたえ』と感じたとでも表現できようか。子供の教育費がなかったらもっと贅沢な生活ができただろうになどとは考えなかったし、子どもがいるので生きる張り合い、働く張り合いができたというべきであろう」(引用止め)
                こんにちの少子高齢化社会への警告的な譬喩である。

                (附録)
                「渡部昇一氏を悼む/宮崎正弘」(拙メルマガ4月19日号より再録)
                (引用開始)
                「渡部昇一氏が4月17日に亡くなった。振り返れば、氏との初対面は四半世紀以上前、竹村健一氏のラジオ番組の控え室だった。文化放送で「竹村健一『世相を斬る』ハロー」とかいう三十分番組があって、竹村さんは一ヶ月分まとめて収録するので、スタジオには30分ごとに四人のゲストが待機するシステム、いかにも超多忙、「電波怪獣」といわれた竹村さんらしい遣り方だった。
                ある日、久しぶりに呼ばれて行くと、控え室で渡部氏と会った。何を喋ったか記憶はないが、英語の原書を読んでいた。僅か十分とかの待機時間を、原書と向き合って過ごす人は、この人の他に村松剛氏しか知らない。学問への取り組みが違うのである。
                そういえば、氏のメインは英語学で、『諸君!』誌上で英語教育論争を展開されていた頃だったか。
                その後、いろいろな場所でお目にかかり、世間話をしたが、つねに鋭角的な問題意識を携え、話題の広がりは世界的であり、歴史的であり現代から中世に、あるいは古代に遡及する、その話術はしかも山形弁訛りなので愛嬌を感じたものだった。
                近年は桜チャンネルの渡部昇一コーナー「大道無門」という番組があって、数回ゲスト出演したが、これも一日で二回分を収録する。休憩時に、氏はネクタイを交換した。意外に、そういうことにも気を遣う人だった。
                そして石平氏との結婚披露宴では、主賓挨拶、ゲストの祝辞の後、歌合戦に移るや、渡部さんは自ら登壇すると言いだし、ドイツ語の歌を(きっとお祝いの歌だったのだろう)を朗々と歌われた。芸達者という側面を知った。情の深い人だった。
                政治にも深い興味を抱かれて、稲田朋美さんを叱咤激励する「ともみ会」の会長を務められ、ここでも毎年一回お目にかかった。稲田代議士がまだ一年生議員のときからの会合で年々、参加人員が増えたことを喜んでいた。
                最後にお目にかかったのは、ことしの山本七平授賞式のパーティだったが、氏は審査委員長で、無理をおして車椅子での出席だった。「おや、具体でも悪いのですか」と、愚かな質問を発してしまった。
                訃報に接して、じつは最も印象的に思い出した氏との会話は、三島由紀夫に関してなのである。
                三島事件のとき、渡部さんはアメリカに滞在中だった。驚天動地の驚きとともに、三島さんがじつに偉大な日本人であったことを自覚した瞬間でもあった、と語り出したのだった。渡部さんが三島に関しての文章を書かれたのを見たことがなかったので、意外な感想に、ちょっと驚いた記憶がふっと蘇った。
                三島論に夢中となって、「憂国忌」への登壇を依頼することを忘れていた。合掌」(引用止め)。

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                あの巨大津波で松島基地に係留されていた戦闘機は塩漬けになった
                奇跡の修復プロジェクトによって13機が前線に復帰した


                小峯隆生著、柿谷哲也撮影『蘇る翼 F2B津波被災からの復活』(並木書房)
                @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

                こういう物語があったこと、知らなかった。
                東日本大震災直後の2011年4月、松島基地を取材で訪れた筆者は、津波で大きく損傷したF2Bを見た。
                塩漬けの無惨な姿で、最新鋭機が転がっていたのだ。
                評者(宮崎)と言えば、あの日、福建省福州にいた。滞在したホテルで胸騒ぎがして、東京に国際電話を申し込んだが一時間通じなかった。災害発生を知り、部屋のテレビを入れると、生々しい被害状況が刻々と映し出されて驚愕した。
                東京も交通が痲痺しており、評者は上海で二日間待機し、帰国したことを思い出した。

                さて被災した戦闘機である。精密機器の塊である戦闘機を完全修復することは不可能だろうと予測された。世界中でも、そんな例はなかった。
                航空自衛隊にとって複座型のF‐2Bは、戦闘機パイロット育成のために、なくてはならない機体だ。しかもF‐2の生産は終了しており、新たに製造することはできない。このままでは日本の国防に大きな空白が生まれてしまう。
                安全保障上、由々しき問題であり、かと言って制約された防衛予算をみれば代替機の購入など夢の物語である。
                塩漬けとなったF‐2Bを復活させることはできないだろうか?
                空幕内に「チーム松島」が結成され、前代未聞の「海水漬け」戦闘機の修復プロジェクトがスタートした。

                男たちの挑戦が始まった。ついに18機のF‐2Bのうち13機が修復され、再建された松島基地に続々と帰還したのだ。
                壮大な戦闘機修復プロジェクトは、いかに実行され、成功したのか? 
                筆者は数か月かけて、航空幕僚監部、松島基地、三菱重工業小牧南工場、IHI瑞穂工場、国会議員など、多くの関係者にインタビューを重ね、このプロジェクトが関係者の熱意や努力ばかりではなく、深い洞察力に裏付けられた判断力と実行力によって成し遂げられたことを知った。
                損傷した航空機や施設、すなわち戦力をどうやって回復させるか、そのためには何をなすべきかを計画・立案した空幕の強力なリーダーシップ、予算措置など政治・財務面のサポート、そして何より損傷機の修復に取り組んだメーカーの熱い「ものづくり魂」がひしひしと伝わる感動のドキュメントが出現した。
                 

                posted by: samu | 書評 | 10:31 | - | - | - | - |
                サウジ、EAE、エジプトなどがカタールと断交。兵糧攻めへ/宮崎正弘
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                  サウジ、EAE、エジプトなどがカタールと断交。兵糧攻めへ
                  背後の米国、カタールに米軍基地があるが、深謀遠慮とは何か?
                  ****************************************

                  6月5日、突然、サウジアラビアが中心となってUAE、エジプト、バーレーン、イエーメンが加わり、カタールとの外交断絶に踏み切った。7日までにモルジブ、モリタニアなども加わった。
                  外交官48時間以内の立ち退き、交通遮断、商業取引停止の挙は、単に断交であるばかりか、兵糧攻めという、最終的な手段を用いている。

                  カタールは砂漠国、水と食料の99%を輸入に頼るため、断交を聞いた市民はスーパーマーケットに長い列を作った。食料は三日間で備蓄が切れる。カタールはケニアで4万ヘクタールの農地を買い付け、10年間で25億ドルの契約を結んでいるが、距離的に輸送の時間がかかる。
                  したがって断交後は、時間とともに干し挙がることになる。

                  おなじくシーア派が多数のバーレーンもサウジ主導の断交に与したのは食料事情に加え、一本の橋でつながるサウジからの軍事的行動というシナリオを加味すれば、とてもイラン寄りの選択は出来ない。

                  ヨルダンも立場は微妙だが外交関係のレベルを下げ、申請のでているアルジャジーラの支局開設を認めないとした。

                  仲介にたったのはトルコとクエートである。
                  クエート首長はただちにサウジアラビアに飛んで、国王と会見した。トルコのエルドアン大統領はプーチン大統領と電話会談を行い、政治的影響力を行使しようとした。

                  アラブのスンニ派諸国が一斉に、カタールを敵視する行動をとった理由は過激派ハマスや、エジプトのイスラム同胞団を支援しているうえ、アルジャジーラの放送内容が、アラブの立場を離れているからである。

                  米国はカタールに空軍基地を展開し中央軍司令部を置いている。駐在は一万人。したがって、サウジの断交に「どちらにも与しない」とした(国務省ならびにティラーソン国務長官は訪問席のニュージーランドで米国の中立的立場を表明した)。
                  それも米国の真意とは思えない。


                  ▲背後の米国はとてつもないパラダイムシフトを狙っている

                  しかし四月にトランプ大統領は初外遊先にサウジを撰び、国王と会見して大歓迎を受けたが、その席でカタールを名指ししないまでも「イスラムの過激イデオロギーにはもう耐えることはない」と発言している。

                  「カタールの孤立化」を示唆したと解釈したサウジはただちに行動に出たが商業行為の断絶についで、金融取引停止のレベルに到ると、国際金融のハブとしても、資金洗浄の舞台としても活用されてきたカタール。また国際航空路のハブとしても、有機的だったがゆえに、日本は多大な影響を受けることになるだろう。カタール経由ヨーロッパ便は日本からも多くのツアー客を運んでいる。
                  LNGガスの多くを日本はカタールに依存している。中国も同様である。

                  このトランプ発言の意味は、イランとオバマ前政権が結んで核合意を見直し、悪化したアラブ諸国との関係改善をはかるものであり、サウジにはインドネシアを含むすべてのイスラム圏から首脳が参加した(イラン、トルコをのぞく)。
                  つまり、トランプ政権は「アラブの春」でおきたドミノの行き着いた先がシリアであり、そのシリアを支援するイランとの敵対関係を確認し、アラブ諸国、それもスンニ派連合の、イランへの挑戦を組織化させたということである。

                  ところが、カタール孤立化とアラブのスンニ派連合のイランとの対決という構図が鮮明となると、もっとも裨益する国がある。
                  イスラエルである。
                  しかもトランプはサウジ外遊の後、テルアビブへ飛んでネタニヤフ首相と懇談したうえ、「嘆きの壁」を訪れ、ユダヤ帽をかぶって祈りを捧げた。女婿のクシュナーの演出とされた。
                  ついでトランプはイタリアを訪問し、G7出席を前に、バチカン法王とも会見した。
                  かくして初外遊にイスラム、ユダヤ、キリストという三大宗教の聖地を訪問したということは、じつに大きな歴史的意味を持つのだが、日本のような無宗教国家には、このところがよく理解できないだろう。

                  パラダイムシフトを自ら演出し、イスラエルの利益も同時に両立させるという離れ業、つまりメディアが伝えるトランプ外交失敗という評価は根本的に間違いであり、大成功を収めたと評価できるのではないのか。
                   

                  posted by: samu | 政治認識 | 10:16 | - | - | - | - |
                  EUが中国と組んで打ち出す、強力な「反トランプ作戦」の中身/川口マーン恵美
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                    EUが中国と組んで打ち出す、強力な「反トランプ作戦」の中身 6月2日 川口マーン恵美

                    ドイツの完全なる方向転換

                    さて、ちょうどその頃、前日はベルリンでオバマ氏とともに上機嫌だったメルケル首相は、シチリアのタオルミーナにいた。トランプ氏との対決と言われていたG7サミットの会場である。

                    サミットは2日にわたって行われたが、ドイツの報道はいつものことながら、トランプ大統領の悪口ばかり。結局、終了後、サミットは大失敗と評価が決まり、失敗の原因はすべてトランプ氏に押し付けられた。サミット後のメルケル首相のコメントも、「非常に不満の残る話し合いだった」と容赦ない。

                    問題としてあげられたのが、ドイツの輸出超過や温暖化防止対策における意見の不一致。とはいえ、アメリカが他国と強調しないのは、何も今に始まったことではない。

                    1980年代、アメリカに日本車が溢れたときは、アメリカは凄まじいジャパンバッシングに熱中したし、1997年の温暖化防止に関する京都議定書は批准せず、挙げ句の果て、離脱。それどころか、2009年のコペンハーゲンの気候変動防止の条約案には、オバマ大統領は署名さえしなかった。

                    ちなみに、現在、問題になっているパリ協定も、目標は立派だが、中身はかなり空疎。アメリカが署名しようが、しまいが、それほど効果に影響はないだろう。ドイツだって、目標の数値はどのみち守れそうにない。しかし、メルケル氏はもちろん、そんなことはおくびにも出さない。

                    ドイツに戻ってすぐ、彼女は、「他国をすっかり信用できた時代は、ある部分では終わった。(略)ヨーロッパ人の運命は、ヨーロッパ人として、我々自身の手で勝ち取っていかなければならない」というセリフを、いつになく苦々しい表情で、吐き捨てるように言った。今までなるべく目立たないように振舞ってきたドイツの完全なる方向転換か?

                    もう一つ、ドイツのG7報道で気になったのは、安倍首相の話題が一切なかったこと。日本のニュースは、初日の昼食会で安倍氏がリードスピーカーだったとか、G7の結束を訴えたなどと報じたが、ドイツで見ている限り、安倍首相の姿は集合写真で認められただけ。やはり同じ境遇だったのがイギリスのメイ首相で、こちらも存在感ゼロ。

                    ドイツメディアは、イギリスや日本がもう重要ではないと言いたいのか、あるいは、安倍首相もメイ首相も、トランプ陣営とみなされて故意に無視されているのか、そこらへんのところはわからない。

                    今回のサミットの前、安倍首相は、トランプ大統領とEUの橋渡し役を自認していたが、ヨーロッパの首脳たちはわざとトランプ大統領との不仲を演出した。橋渡し役など、最初から誰も必要としていなかったのだろう。羽田に降り立った安倍首相、および昭恵夫人の表情がいつになく硬かったのが気になった。

                    中国、ロシア、インドを巻き込んで

                    いずれにしても明らかになったのは、EUが今、強烈な反トランプ作戦を打ち出したこと。作戦の最終目的はおそらく、中国と結んで英米に対抗する新たな覇権を構築することだ。先頭に立っているのは、もちろんドイツ。

                    EUはその覇権下にロシアとインドも引き入れるつもりなのか、30日、マクロン仏大統領はプーチン大統領をベルサイユ宮殿に招いて「率直な意見交換」をし、メルケル首相はモディ首相をベルリンに招き、これから毎年、インドに10億ユーロの援助をすることを決めた。両方ともわざとらしいほどの友好ムード。さらに翌31日は、李克強総理がベルリンを訪れた。

                    どの首脳も海千山千。トランプ大統領にかけられた網が、どんどん縮まっていく。

                    G7サミットの険悪な雰囲気や列強のヘゲモニー争いとは無関係に、29日、ヴィッテンブルクでは素晴らしい夏日の下、教会デー最後の野外礼拝で、満面の笑みを湛え、高揚した人々が世界平和を祈っていた。ドイツの二つの異なった風景。

                    それにしてもメルケル氏は、EUをどこへ引っ張っていこうとしているのだろう?



                    (私のコメント)

                    戦略的に見て一番大雑把な分け方としては、大陸国家と海洋国家の利害対立だ。大陸国家としてはロシア・中国・EUなどのユーラシア大陸国家であり、海洋国家としてはアメリカ・カナダ・イギリス・日本などの島国国家がそれにあたる。アメリカ・カナダは北米大陸国家だが、太平洋と大西洋に囲まれた島国と見ればいい。

                    大陸国家と海洋国家では、考え方も異なるし文化も経済構造も異なってくる。イギリスはヨーロッパに属しているが、大陸とは隔てられており大西洋に浮かぶ島国国家だ。日本もアジアに属していいるが太平洋に浮かぶ島国国家であり、軍備などもアメリカ・日本・イギリスは海軍国家であり、ロシア・中国・EUは陸軍国家である。

                    経済においても海洋国家では海運が輸送の主力であり、大陸国家では鉄道やトラックが輸送手段になる。海運を守るためには大海軍力が必要になるし、鉄道やトラック輸送を守るには大陸軍が必要だ。だから経済構造も軍事構造も異なってくる。それに伴って考え方にも違いが出てくる。

                    古代から近世にかけては陸運が主力であり、海運は木造船しかなく風まかせで輸送能力が限られていた。アメリカという大海洋国家の台頭は船舶の飛躍的な進歩によるものであり、鋼鉄製の船体にタービンエンジンを搭載して、巨大タンカーや巨大コンテナ船もできて、飛躍的な輸送力増大が可能になったからだろう。

                    大陸国家では、大陸に豊富な資源が埋蔵されているから領土の拡大は不可欠であり、食料も広大な農地を確保することが必要になる。それにたいして海洋国家は必要な物資を海上輸送すればよく、世界で一番安い物を買い付けて輸入すればいいと考える。日本などは鉱物資源も食料資源もないが、世界から輸入して成り立っている。

                    戦前の日本の間違いは、海洋国家でありながら自前で鉱物資源や食料を確保しようとしたことであり、それに伴って大陸に進出して大陸軍を作ってしまったことだ。そのために国防予算を陸軍に取られて、アメリカとの海軍同士の戦争で敗れてしまった。海洋国家の海軍が敗れてしまえば物資が入らず万事休すだ。

                    ソ連が滅亡したのも、大陸国家でありながら大海軍を作ろうとしたためであり、経済的に破綻してソ連は自滅した。G7も最初から日米英加の海洋国と独仏伊欧の大陸国で構成されており、これに影の主役としてロシアや中国がある。ドイツのメルケル首相の考えていることは、ユーラシア大陸国家が主導権をとることであり、アメリカは弾かれることになる。

                    トランプ大統領は、アメリカが覇権国家の座を降りてアメリカの利益を優先することですが、国際協調体制からの離脱を目指している。パリ協定からの離脱もその一環ですが、そのことがアメリカの影響力の低下に直結することになる。アメリカの影響力の低下はアメリカの利益にプラスになるのだろうか?

                    中国が世界第二位の経済力を生かして、アメリカの覇権国家の座を虎視眈々と狙っている。AIIBや一帯一路構想も、中国が主導権を持って推進していますが、いわばユーラシア大陸同盟であり、アメリカと日本は加わってはいない。それにたいして積極的なのがドイツであり、ユーラシア大陸諸国からアメリカの影響力を排除しようとするものだ。

                    このようなメルケルの構想に相乗りしてアメリカの影響力を排除しようと中国がドイツに接近している。トランプは何も知らないからTPPからいち早く離脱しましたが、TPPこそ海洋国家同盟の主軸になるはずだった。まさにトランプ大統領はメルケルから見れば飛んで火に入る夏の虫なのだ。

                    アメリカがこのような状態だからこそ、日本の安倍総理が海洋国家を主導してまとめあげる機会なのですが、安倍総理はアメリカとEUとの仲介役として行動してしまった。むしろメルケルの構想をぶち壊すくらいの策を練るべきであり、中国とEUとの分断を図らなければならない。でなければ中国に主導権が行ってしまうだろう。

                    トランプも外交戦略の誤りに早く気がついて欲しいものですが、メルケルの構想にはまるだけだ。アメリカはユーラシア大陸に築いた橋頭堡を次々と失いつつある。大英帝国の没落もシンガポールや香港などのリムランドの橋頭堡を失ったことが原因であり、アメリカはEUを失い、中東を失い、ASEANを失い、韓国も失うだろう。

                    トランプ大統領はまさに暗愚の帝王であり、アメリカの没落を早めるものになるだろう。その片鱗は今回のサミットでも見られましたが、レーガン大統領とは真逆の大統領になりアメリカを滅ぼす大統領になりかねない。トランプ大統領にはこれといった外交スタッフがおらず、娘婿が大統領首席補佐官になっている。

                    posted by: samu | 政治認識 | 10:05 | - | - | - | - |
                    書評『中国と韓国は息を吐くように嘘をつく』(徳間書店)高山正之
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                      書評/宮崎正弘

                       

                      『正論』の巻頭言を纏めた最新版だから、殆どの文章は読んだ記事もあるが、基軸は朝日新聞批判である。
                      絶望的な馬鹿新聞を、いまさら俎上の載せて斬っても、馬鹿が治る可能性は薄いが、保守陣営のなかでさえ、記事を疑いながらも騙されているお人好しが多い。だから、本書の役割はやはり大きい。
                      戦後、GHQがやらかした日本精神壊滅施策は予測以上の功を奏し、馬鹿を大量生産した。その世代は『あほー世代』として後世の歴史家が書くことになるだろう。
                      そのGHQに便乗し、ときに権力に媚びて、ますます日本を貶めた朝日新聞が、こんにちまだ日本に存在していること自体が奇々怪々である。聞くところに拠れば、最近東大生の朝日就職希望組が激減したとも言うのだが。。。。

                      さて本書で採り上げられている話題は全方位で、ヒラリーの陰謀から韓国のダメさ加減まで、国内的には三浦和義から少年の猟奇殺人まで。あまり詳細をここで紹介してしまうと読者が本を買わない、営業妨害になると言われそうなので、一つだけに留める。
                      それはアイリス・チャンの妄言、誹謗批判の続きである。

                      評者(宮崎)の経験でも南京に鳴り物入りで解説されたフェイク記念館(ダイギャクサツ記念館)の中庭に、金ぴかの像が聳えているが、これ、アイリスチャンである。
                      その周りに市民がピクニックがてら弁当を拡げて「この女、誰?」と言っていたのには別な驚きもあったが、そのことは措く。
                      彼女が死んだとき、香港のメディアまで、彼女を『中華民族のヒロイン』と書いた。すでに彼女のペンギンブックス「レイプオブナンキン」は、すべてがフェイクであることは、120%証明されており、いまさら、その出鱈目を指摘する積もりはない。

                      問題はその後に起きた。彼女の人生が暗転したのだ。
                      増長し、ハイになった彼女はクーリーの悲劇の歴史ドキュメントに挑んだのだ。アメリカの西部開拓史とはインディアンを虐殺、殲滅し、ついでにバッファローを殲滅したことだが、カリフォルニアに達して、西部まで鉄道が繋がっても、鉱山労働者不足に陥った。そこでアメリカ人は、奴隷を清国から大量にいれることにした。これがクーリー貿易である。

                      おりからのゴールドラッシュ。中国人労働者は奴隷とも知らず、また使役されたあと、ダイナマイトで殺されることも知らず新大陸にやってきた。
                      アイリスは、この真実を暴いた。
                      フェイクの『南京虐殺』を高く高く評価して止まなかった米国ジャーナリズムが、この作品には戦慄し、そして罵倒を始める。
                      百八十度の評価変えが起きたのだ。
                      「あ、これがアメリカ人を怒らせたな、だからノイローゼになって拳銃で自殺したのだ」と考えていたが、高山氏も、そう結論した。
                      評者は『TIME』書評欄で、信じられないほどの悪罵に満ちたアイリスへの酷評と罵倒を読んだ。
                      「『歴史の裏付けもない』、『『軽率な駄作』とこき下ろした』(28p)
                      高山氏は、その後日譚を綴る。
                      「落ち込む彼女にこんどは米国の出版社が再起のチャンスを与えてきた。『パターン死の行進』を書いてみろ、日本の悪口をもっともらしく書くのがおまえの仕事だと。(しかし)アイリス・チャンには支那人には珍しく良心があった。調べれば歩いたのはたったの60キロ。日本軍は食事も休息も与えていた。米国人の嘘に呆れた。でも嘘はもう書きたくない。悩んで鬱になって、その果てに彼女はサンノゼ市の自宅近くで拳銃自殺した」

                      posted by: samu | 書評 | 22:58 | - | - | - | - |