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元駐日イスラエル大使、コーヘン氏が諭す「神の国 日本」葛城奈海
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    元駐日イスラエル大使、エリ・コーヘン氏が『神国日本』を上梓(じょうし)した。居合五段、空手は流派最高位という同氏と出版記念講演会で対談し、日本への造詣の深さに感じ入るとともに「イスラエル建国の父」ヨセフ・トランペルドールの逸話に心打たれた。

     帝政ロシアに生まれたトランペルドールは学位がありながら、あえて一兵卒としてロシア軍に従軍。ユダヤ人として差別を受けるも勇敢さと国への忠誠を証明しようと最前線での戦いを志願し、日露戦争で左腕を失った。退院後、片腕だけで使える軍刀とピストルを手に再び前線に舞い戻り、敗戦。捕虜として大阪の浜寺収容所に送られた。

     日本では宗教や民族を理由に迫害されることはなく、母国ロシアで味わえなかった自由を初めて経験した。持ち前の積極性を発揮し「ユダヤ人捕虜組織」を設立、収容所の中に学校、工場、図書館、劇場まで造ったというから驚きだ。ちなみに彼は、明治天皇から義手を賜っている。

     戦場で死をも恐れず戦う日本兵を目の当たりにし、日本での捕虜生活を通して大和魂、武士道精神を体感したトランペルドールは主権を持つことの大切さに目覚め、ユダヤ人国家再興を使命として自覚するに至った。「その意味でイスラエル建国の礎となったのは、日本の武士道精神」とコーヘン氏は語る。日本人としては光栄だが、では肝心の日本人は今、どうなのか。

     初代天皇の名にも表れているように、日本は元来、神と武を尊ぶ国であった。神話の時代から連綿とつづく日本らしさ、国体の中心におられるのは、歴代の天皇陛下だ。と同時に、一木一草にも神は宿り、恵みを与えてくれる八百万(やおよろず)の神々への感謝と畏敬の念を抱きながら、日本人は生きてきた。その意味で、日本は神の国であろう。

     唯一絶対神と混同され、数々の誤解を招いてきたが、それをあえて堂々と著書のタイトルに冠したコーヘン氏に敬意を表するとともに、本家本元の日本人が日本の国柄とそれを守るための武の精神を取り戻すことこそ、先人たちの志を継ぐことなのではとの思いを強くした。

    posted by: samu | 歴史認識 | 18:14 | - | - | - | - |
    対馬にて、朝鮮半島とマレーシアを観る/西村眞吾
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      対馬は、天智天皇二年(663年)、
      百済救援の日本軍4万2000と13万以上の唐軍が、
      朝鮮半島西部の白村江で激突した、当時の世界における空前の規模の戦闘以来、
      万葉集に絶唱を遺した防人達が駐屯して城を築き、
      その残された妻達が、夫の身を遙か東国から思った、国境の島であったが、
      現在は、さらに国境の最前線の島となっている。
      何故なら、
      38度線は、既に対馬と朝鮮半島の幅50キロの海峡に南下しているからだ。
      明治維新以来大東亜戦争までに、
      対馬には、三十を越える砲台が造られた。
      ナバロンの要塞を越える世界一の砲台も造られた。
      対馬は、島自体が巨大砲台群であった。
      そして今、再び、対馬は、
      直接侵略と間接侵略の脅威に備える時期に入ったのだ。
      直接侵略に加えて、
      間接侵略を強調する根拠は、
      対馬の人口約三万に対して、
      一年間の外国人(主に韓国)入島数は十倍の三十万人
      であることを指摘するだけで十分であろう。
      対馬と海峡・玄界灘そして日本海の防衛体制強化は、
      我が国政府の急務である。
      森友と加計と日報にかかりきりの国会は、
      「国防に無関心」と言う「不作為の売国」という国家反逆罪を、
      まさに現在、犯し続けている現行犯である。
      戦前なら、帝都の歩兵第一、第三聯隊の将校が間違いなく逮捕している。

      この対馬の北の殿崎の丘で、
      五月二十七日の海軍記念日に
      対馬駐屯陸海空自衛隊幹部、対馬市そして地元の人々が行う
      日露・対馬沖海戦追悼慰霊祭が行われたので
      大阪・東京・京都・四国・九州の仲間三十数名とともに参加し
      東方の海戦海域に向かって「海ゆかば」を二回歌った。

      対馬滞在中の二十六日から二十七日、
      指呼の間の朝鮮半島では、
      三代目が、中共の習近平と二回会談をして気が大きくなり、
      アメリカに悪態をついたら、即座にトランプ大統領から、
      「米朝会談中止、そのかわり何が起こるか覚悟しとけよ」、
      と、凄まれ、震え上がって、
      熱い鉄板の上に乗った豚のように、南北首脳会談をしていた。
      この三代目、後ろ盾が欲しくて、中共のみならずロシアの気も引いている。
      本日、ロシア外相が北朝鮮入りと報じられた。
      やっぱり、血は争えん。
      スイス遊学など無駄の無駄。飢える人民を見下す特権意識を育てただけだ。
      この三代目は、
      唐に頼んで我が国と戦ってもらった白村江以来の朝鮮、
      明に入ってもらって朝鮮という国号と旗をもらい李氏朝鮮となって以来の朝鮮、
      明治三年、我が国外務省の佐田白茅と森山茂が
      「固陋傲頑、これを覚ますも覚めず」と報告した通りの
      「朝鮮をしている」のだ。
      そのうち、朝鮮から、必ず、我が国に、乗り遅れまっせー、と言ってくるから、
      この動きに、一切、関わっては駄目だ。
      我が国は、厳然と動かず、
      拉致した全ての被害者を解放せよ、
      拉致被害者を解放しない金正恩に未来はない、
      この人類共通の人道上当然の事を実施しない如何なる会談も無意味である、
      と、アメリカを始め全世界に主張し続けねばならない。

      目を南に転じる。
      マレーシアのマハティール首相は、就任早々、前首相が引き入れた
      中共の「一帯一路」戦略に基づく
      シンガポールからマレーシアへの高速鉄道計画を中止すると発表し、
      日本とインドの首脳との会談を行う決定をした。
      中共の「高速鉄道建設・高速道路建設・港湾建設・空港建設」と「一帯一路」は、
      かつての帝国主義国によるアジア・アフリカ侵略の現代中共版のツールである。

      昭和三十年代から四十年代(1950年〜60年代)、
      中共の毛沢東と周恩来による東南アジアへの共産主義勢力の浸透を、
      当地では「南下問題」と呼んだ。
      この中共の南下に対抗しようとしたのが、
      マレー語圏のインドネシアとマレーシアだった。
      周恩来の指令によるインドネシア共産党のクーデターと続く熾烈な内戦を克服し、
      スカルノの次に四十二歳でインドネシア大統領となったスハルトは、
      マレーシアとともに東南アジアの共産化を阻止するための国家連合
      ASEAN
      を設立した。
      そのインドネシアは、今、中共による高速鉄道建設を選んでえらい目にあっているが、
      マハティールのマレーシアとともに、
      また日本とともに、
      中共の「一帯一路」という現在版「南下問題」に対抗して欲しい。

      以上の通り、対馬から朝鮮半島と中共とASEANに思いを巡らせた。
      対馬は、有意義だった。
      来年の対馬沖の日本海海戦の日の五月二十七日には、
      大人数でテントをもって対馬に行きましょう。
      テントをもつ理由は、韓国人が殆どの宿泊施設に泊まっていて宿泊の容量が無くなっているおそれがあるからです。

      なお、この頃、時事通信の発信が為されていないので、
      体調が悪いのかとの問い合わせを受けたのですが、体調、極めて良好です。
      ご心配、ありがとうございます。
      ただ、私のワープロが、
      Enterを叩くと原因不明の暴走を始め、
      瞬く間に、せっかく書いた数十字を消去してしまうので、
      けったくそがわるく、敬遠していたのです。
      何時間もかかって、例えば原稿用紙五枚分を書いていたのに、
      エンターを押して気がつけば皆消えていたら、どっと疲れますでぇ。

      posted by: samu | 政治認識 | 17:56 | - | - | - | - |
      書評『メディアは死んでいた』(産経新聞出版)/阿部雅美
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        宮崎正弘/書評
        四十年前、最初の拉致報道は「捏造」、「虚報」と批判された
        この産経記者がいなければ、拉致事件は『失踪事件』として闇に葬られていた

        そうだ、メディアは目的と使命を忘れて、死んでいたのだ。
        いや、いま現在もメディアは死んでいる。日本だけではない、世界中の主要メディアに共通の病理である。本書はその問題点を抉り出した。
        十日ほど欧州を旅行し、帰ってきた成田のキオスクでみた新聞に仰天した。まだモリカケをやっている。福田恒存が言ったように「末期的」である。
        メディアは表面のあぶくしか観察する能力がないかのように、裏に潜む真実を伝えず、しかもファクトを意図的にねじ曲げ、イデオロギーに支配された記者や『論説委員』とかが、まったく主観的で、そのうえ検証もしない記事を垂れ流し、フェイクの責任を取らず、読者を騙してきたし、いまも洗脳しようとしている。
        このような世論工作を通じて、有利な印象操作を繰り返し、政治利用の武器としている。いうまでもないがモリカケは安倍首相をなんとしても政権の座から引きずり降ろうそうとする左翼の陰謀的な世論誘導工作であり、トランプにロシアゲート疑惑をふっかけているのも、米国のリベラル左派の印象操作、つまりは世論操作の陰謀である。
        かようにして、メディアは死んでしまったのだ。
        評者(宮崎)は本書をドイツへ向かう機内で読むつもりで鞄に入れたのだが、機中では疲れがでて眠りに落ち、結局ベルリンの宿で、一気呵成に読んだ。
        日本人拉致被害にあった家族会が連帯し救出活動に乗り出したのは、本書の作者、阿部氏の拉致疑惑記事が発端となった。家族会が結成され、全国民が注目し、北朝鮮への怒りが爆発した。
        それまでメディアは「北朝鮮」とは呼称せず「朝鮮民主主義人民共和国」だとか、まるで金日成の宣伝文句「地上の楽園」であるかのような印象操作に加担していた。拉致疑惑は証拠が揃わないためにメディアは報道せず、黙殺してきた。
        1988年3月26日、国会の予算委員会で、梶山静六国家公安委員長(当時)が、「一連の拉致事件は北朝鮮の疑いが濃厚だ」と答弁した。じつは日本政府がはじめて、北朝鮮の犯行に言及したのである。
        ところが、この梶山答弁を報じたのは「産経新聞」だけだった。NHKも朝日も無視した。産経にしても夕刊のベタ記事だった。
        そして万景峯号は自由に新潟港に出入りし、闇ルートで資金を運び続け、朝鮮総連系の銀行が経営破綻したときは、預金者への対応のため日本政府は1兆4000億円近い公的資金を投入した。沙汰の限りである。
        NHKや朝日さえ、拉致を大々的に報道し始めたのは、北の首領様が、拉致を認めたからだった。すなわち2002年9月17日、訪朝した小泉首相に対して、金正日は拉致事件を認め、謝罪した。
        日本のメディアはひっくり返った。
        拉致「疑惑」が、ようやくにして『事実』とわかって、日本のメディアは突如として拉致報道に血道をあげた。
        四十年前、最初の拉致報道は「捏造」、「虚報」と批判された。この産経記者がいなければ、拉致事件は『失踪事件』として闇に葬られるところだったのだ。要するに産経以外のメディアは、これほど無責任なのである。
        蛇足だが、評者は、北朝鮮が認定する前の状況で、収集可能な情報を元に、拉致事件をテーマとする書籍を刊行しようとした。ところが新聞社に所属する身分でもなく、検証が不可能、裏取りが出来ないので、あえて小説として世に問うた(『金正日の核弾頭』、98年。以後『拉致』と改題して徳間文庫)。
        しかし、その時点でも関心が薄く、メディアはさっぱりと拙著を黙殺したのだった。
        ともかく本書は過去四十年にわたっての拉致報道を検証した労作であり、歴史的資料としての価値が大きいとともに、メディアの死角を衝いた、その苦労の汗と努力が行間から湧き出ている。

        posted by: samu | 書評 | 14:04 | - | - | - | - |
        志の人・伊能忠敬没後200年と、明治維新150周年/加瀬英明
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          今年4月21日に、東京千代田区神田の学士会館で、『忠敬没後200年記念・伊能測量協力者顕彰大会』が催された。

           忠敬は寛政12(1800)年に深川・富岡八幡宮に成功祈願を行ったうえで、徒歩による全国海岸線の実測に出発したが、17年後の文政元(1818)年に、測量続行中に、73歳で病没し、その3年後に、門弟たちによって、『大日本沿岸輿地全図』が完成した。

           伊能図協力者子孫への感謝状

           学士会館のホールには、伊能忠敬研究会の努力によって、全国にわたって忠敬の測量に協力した、名主や、庄屋、本陣、代官、目付などの子孫が特定されて、そのなかの76人が、研究会、イノペディアをつくる会、伊能忠敬子孫一同から、「功績感謝状」が贈られた。

           忠敬の測量は、蝦夷地から始まり、伊豆七島まで9次にわたった。忠敬の『日本全図』は「伊能図」とも呼ばれるが、今日、埋め立てによって海岸線が大きく変わっているものの、誤差がほとんどなく、きわめて正確なものだった。

           協力者の子孫の名が呼ばれるたびに、「駿河国沼津領野村名主」とか、「陸奥国」、「出羽国」、「越後国」、「遠江国」、「佐渡国」、「播磨国」、「若狭国」、「豊後国」というように、当時の地名が用いられたので、そのあいだ、江戸時代に生きているような錯覚にとらわれた。

           忠敬の子孫の代表

           忠敬の多くの子孫が招かれたが、私を含む5人が代表して登壇した。

           私は忠敬の孫の孫の子である玄孫(やしゃご)に当たるが、忠敬の次女のしのが、銚子の隣にある旭村(現・旭市)の加瀬佐兵衛に嫁いだことによる。

           忠敬は九十九里浜の貧しい漁村に生まれ、幼年時代は恵まれなかったが、向学心が高く、漁具を収める浜小屋の番をしながら、勉学に励んだ。佐原の家運が傾いた庄屋の伊能家に、養子として迎えられたことが、人生の転機となった。酒造業を建て直すかたわら、暦学、和算、天文学、測量学を学んだ。

           今年は、明治維新150年に当たる。日本は明治に入ると、近代化に短時間で成功し、西洋列強と肩を並べるようになったが、これは江戸期の庶民の力によるものだった。私は庶民の血を受け継いでいることに、大きな誇りをいだいている。

           忠敬の測量に協力した人々は、大部分が庶民だった。幕府から藩に、忠敬の測量隊がいつ到着するか連絡があると、藩から村へ伝えられ、村民が総出で測量に協力した。

           明治3年の初の国勢調査 

           武家は明治3年に初めて行われた、国勢調査によれば、人口の8%弱にしか、当たらなかった。人口の90%が民庶とも呼ばれた、庶民だった。

           江戸時代は近代日本を創った、輝かしい助走期だった。日本は世界に誇るべき社会を、形成していた。

           今年は、政府が「明治維新150年」を祝う式典を行うことになっている。

           50年前に100周年が巡ってきたが、当時の政府は「維新」という言葉を省いて、「明治100年記念式典」を催した。

           時の佐藤栄作首相が挨拶したが、「維新」という言葉に触れることが、まったくなかった。維新を語らずに、明治100年を語っても意味がない。

           昭和天皇のお言葉「明治維新以来の先人の英知と勇気」

           この時の式典に、昭和天皇の御幸を仰いだが、お言葉のなかで、「明治維新以来の先人が、英知と勇気で成し遂げた業績」と、仰せられた。

           明治維新が「革命」だったと、物識り顔をしていう学者がいるが、まったく筋違いだ。「革命」は断絶をもたらす。維新は古来の日本へ復古する、御一新だった。

           今年の「明治維新150年記念式典」において、今上天皇から聡明なお言葉を賜ることになるが、朝鮮半島危機が募るなかで、明治維新を称讃されて、国民をお励まし下さることと思う。

           だが、日本国民がどうして150年前と較べて劣化して、かつての気概を失い、不甲斐なくなってしまったのだろうか。

           幕末から明治にかけた日本国民は、「英知と勇気」が汪溢していた。今日の日本人のような、意気地(いくじじ)なしではなかった。

           伊能忠敬の偉業は日本の社会の力そのもの

           それにしても、忠敬が全国を徒歩によって実測した、17年間の日本の社会が安定し、豊かで、よくまとまっていたことに、感心せざるをえない。それでなければ、忠敬の偉業が多くの人々によって支えられて、成し遂げられることがなかった。

           忠敬が測量のために、全国を巡っていた時に、対岸の朝鮮王国では、国王純祖(スンゾ)(在位1800年〜39年)の代に当たった。

           悪政のために、飢饉、悪疫、天災によって、農民や、奴婢(奴隷)の流亡と、不平両班(ヤンバン)や、農民、奴婢による反乱が、各地であいついだ。なかでも、純祖11(1812)年に起った、平安道の洪景来(ホンギョンレ)の乱が大きなものだった。

           当時の韓国の状況

           そのわきで、朝廷では士禍(サファ)と呼ばれたが、儒教の些細な礼法などをめぐって、凄惨な党争(ダンチョン)に明け暮れ、国の態(てい)をなしていなかった。

           権力者が王権を代行して、政治を専横する勢道政治(セドチョンチ)のもとで、役人の綱紀が乱れ、下級官吏まで賄賂が横行した。朝鮮王国は、亡国が避けられなかった。

           今日、朝鮮半島で危機的な状況が続いているのをよそに、日本で国会がモリトモ問題、セクハラを巡って党派抗争に耽って、空転しているのと、よく似ている。

           今日の日韓関係に目を転じると、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が北に秋波を送るかたわら、ことあるごとに日本を蔑んで、足蹴にするのに忙しい。

           そのために、日本では嫌韓感情が日増しに強まっている。いまや、全国民が韓国を蔑み、哀れむようになっている。

           だが、私たちにいったい、韓国を蔑む資格があるものだろうか。

           韓国は日本統治が終わって、すでに73年になるのに、いまでも「日帝時代」が悪かったと非難して、自立できないでいる。日韓併合は73年の半分の、36年でしかなかった。

           日本でも、アメリカによる占領が65年前に終わったというのに、東京裁判をはじめ、アメリカの占領政策が悪かったからといって、占領時代を非難するのに忙しく、いまだに自立することができない。韓国によく似ていると思う。

           韓国では、李氏朝鮮が日韓併合まで、500年にわたって続いた。李朝は高麗朝の将軍だった李成桂(イ・ソンゲ)が、クーデターによって高麗朝を倒して、自らの王朝をたてた。

           李朝は、軍がクーデターを起す危険な存在だとして嫌って、軍を軽んじ、国防に役に立たない必要最小限の兵備しか、持たなかった。宗主国の中国による保護に依存して、外敵の侵略を蒙るたびに、中国に救援を求めた。そのために、国土が何回にもわたって、蹂躙された。

           今日の日本は、中国をアメリカに置き換えると、李氏朝鮮と変わらない。

           日本の国会議員や、大手のマスコミ人、学者たちには、朝鮮服が似合うのではないかと思う。

           明治新政府の開港の決断こそ、日本を救った

           明治維新に戻ると、幕府が開港に傾いたのに対して、国学者や武士の大多数が、日本が神国であると唱え、攘夷を頑くなに主張した。もし、攘夷を貫いていたとすれば、西洋列強の侵略を蒙って、本土決戦が戦われたことだった。

           明治新政府が開港に踏み切ったことによって、日本が救われた。

           今日、「平和憲法」を「神国思想」にいい替えて、神聖視する護憲派は、幕末の狂信的な「攘夷派」に当たる。「専守防衛」を頑くなに主張しているが、敵が国土を侵すまで戦えないのだから、焦土をもたらす本土決戦を望んでいるにちがいない。

           

          posted by: samu | 歴史認識 | 14:10 | - | - | - | - |
          北朝鮮の軍事脅威は今も変わらない/小森義久
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            米朝首脳会談の展望をめぐり、北朝鮮情勢に関しての熱い議論がかわされている。つい最近までは世界で最も危険な存在とみられていた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、今では平和の使者のように振る舞っている。そんな北朝鮮を、米国のトランプ政権はどうみているのか。米国に対する北朝鮮の軍事脅威は変わったのか。

             それらに関する米国側の認識を知るには、今年3月15日に、太平洋統合軍ハリー・ハリス司令官が上院軍事委員会で証言した内容が有力な指針となるだろう。

             ハリス海軍大将はそれまでの3年間、インド太平洋の広大な陸海空を管轄する米軍全体の最高司令官を務めた。この統合軍の陸軍、海軍、空軍そして海兵隊は、日本や韓国もその守備範囲とする。とくに在韓米軍は長年、北朝鮮の軍事脅威とは正面から対峙してきた。ハリス司令官が指揮する太平洋統合軍には、その在韓米軍も含まれる。

             ハリス司令官はすでに退役と転進が決まっており、太平洋統合軍司令官として議会で証言するのはこれが最後となる。ハリス司令官は上院軍事委員会の席で、アジア太平洋の域内での軍事情勢、とくに米国とその同盟諸国にとっての脅威や危機の現状を議会に向けて報告し、米軍側がその現状に対してどのような抑止や防衛の態勢をとっているかを説明した。そのなかでも北朝鮮についてはきわめて詳細かつ具体的にその軍事動向を報告していた。このハリス証言は、現在の米国側の北朝鮮への総合的な認識だといえるだろう。

             

            強大な「非核の通常戦力」も脅威

             ハリス司令官は北朝鮮の動向の総括として、以下のようなことを述べた。

            「金正恩は長年にわたって、国際的な規則や責任、そして抑制された言動に対する侮蔑を数えきれないほど示してきた」

             この表現を分かりやすく言い換えれば、金正恩という人物は国際的な無法者だということである。ハリス氏がこの厳しい評価を述べた3月中旬といえば、金委員長がすでに米韓両国への唐突な微笑外交を始めた後である。だがハリス氏は次のようにも証言していた。

            「私は昨年(2017年)、朝鮮民主主義人民共和国こそ私たちにとって最も切迫した脅威だと証言した。その脅威の水準は、この1年でさらに高まった。北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器の能力が、広範な国際的抗議や国連安保理の制裁追加にもかかわらず、高まったのだ」

             そのうえでハリス司令官は、北朝鮮の核兵器や長距離ミサイルの開発の最近の軌跡を細かく報告した。米国や韓国や日本を脅しつける好戦的な言明の数々も紹介していた。とくに日本や韓国への北朝鮮の軍事脅威についてハリス氏は警鐘を鳴らした。

            「北朝鮮は世界で第4の規模の120万もの軍隊を維持し、長距離ロケット、火砲、短距離弾道ミサイルを多数備え、通常戦力でも韓国や日本への脅威となっている。これらのロケット類は化学兵器や生物兵器も発射することが可能だ。高度に訓練された特殊作戦部北朝鮮は、米国が最大の懸念の対象とする核兵器だけでなく、非核の通常戦力でも異様なほどの規模の軍隊や武器を保有し、いつでも大規模な攻撃をかけられる態勢を整えているというのだ。

            核兵器や弾道ミサイルは今もそのまま

             ハリス氏のこの報告はトランプ政権の見解であると同時に、米国官民の全体の懸念だともいえる。この懸念がハリス氏によって改めて表明された後、北朝鮮は平和や和解をそれまで以上に大きく打ち出すようになった。

             その結果、米国、日本、韓国などの北朝鮮の脅威への認識が変わってきたことは事実だろう。ところが北朝鮮は、いくら平和や和解を説いても、この懸念を減らすための実効措置をとっていない。

             核実験やミサイル発射実験の凍結、核実験施設の爆破といった措置は、大々的に宣伝してみせた。だが、核兵器や弾道ミサイルの破棄は実施していない。核施設の爆破というのも、もうすでに老朽化して使われていない施設の入口を破壊しただけである。実体のある核兵器や弾道ミサイルの削減や破棄はなにも行われていないのだ。

             そうなると、ハリス司令官が3月中旬に指摘した北朝鮮の軍事脅威は、基本的には現在もまったく変わらない、ということになる。

             熱心に米朝会談を求める金委員長の背後には、こんな現実が揺らがないまま厳存する。だから、いまこそ北朝鮮の軍事脅威の現状をしっかりと認識しておくことが重要なのである。

            隊は金正恩のさらなる奇習攻撃の手段である」

             

            中国メディアはハリス氏の「出自」を取り沙汰

             その北朝鮮は、中国との距離を縮めようとしている。金正恩政権は非核化をめぐる米国との駆け引きのために、中国への依存を強め、あるいは中国を利用しようとする動きも表面化してきた。

             ハリス司令官は同じ議会証言で、インド太平洋地域では、中国も長期的には最大の脅威だとする認識を率直に述べていた。

            「中国は近隣諸国を脅して屈服させ、自由で開かれた現在の国際秩序を崩すために軍事力と経済力を行使している。米国は、中国の軍事力や強制力の行使に断固反対する」

             ハリス氏のこうした鋭い批判に対し、中国側が同氏の家族背景を理由に非難したことは広く知られている。新華社通信や環球時報といった国営メディアは、「ハリスが反中的な発言を続けるのは彼の血や出自が原因だ」という趣旨の論評を繰り返した。ハリス氏の母が日本人であることを反中と結びつける民族差別的な反日攻撃だった。

             だが、トランプ大統領の厚い信を得たハリス氏は、この5月に韓国駐在の大使に任命された。同氏が北朝鮮や中国について表明してきた認識はオバマ前政権時代から一貫しており、議会でも超党派の同調を得てきた。今後、活動の拠点を朝鮮半島へと移すハリス氏の言動は日本外交にとっても意味ある基準となるだろう。

             韓国駐在の米国大使となるハリス氏が、日韓関係に関して韓国側を批判するような発言をして、韓国メディアなどから「ハリス氏の母親は日本人だから」などという民族差別的な反響が起きないことを願いたいところである。

             

            posted by: samu | 政治認識 | 22:13 | - | - | - | - |
            韓国は「重要な隣国」消えた!! ついに「格下げ」…外交青書が映す他国との関係性/産経新聞
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              政府が5月の閣議で了承した平成30年版「外交青書」の韓国に関する記述で、29年版まであった「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」の表現を削除し、扱いを“格下げ”にした。各国の項目では、このような日本との関係性を端的に表した「枕詞(まくらことば)」のような表現を付すことが多い。その変遷を見ると、対象国との距離感が浮かび上がってくる。

              ■表現の変化激しい韓国

              韓国の枕詞は、ここ数年の“上げ下げ”が激しい。26年版は次の通りだった。

              「自由、民主主義、基本的人権などの基本的な価値と、地域の平和と安定の確保などの利益を共有する日本にとって、最も重要な隣国」

              この表現は「価値の共有」「利益の共有」「最も重要」の3要素で構成されている。27年版は「最も重要な隣国」だけになり、価値と利益の共有が消えた。産経新聞ソウル支局長を長期間にわたり出国禁止とするなど、民主国家とは言い難い朴槿恵(パク・クネ)政権(当時)の対応を受けた措置だった。

              28年版は「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」となった。29年版も踏襲したが、30年版は3要素がすべて消えた。価値観も違い共通利益もなく、関係が重要でもない−とは言わないにしても、突き放すニュアンスであることは確かだ。

              ■戦略的利益は共有できる中露

              ほかの国はどうか。外務省のサイトで21世紀(14年版)以降の推移を調べた。

              中国とロシアは日本と政治体制が異なり、自由や民主主義、基本的人権などの「価値を共有」とは言えないが、共通の利益を追求するウィンウィンの関係を構築することは不可能ではない。枕詞にもそうした関係性が見て取れる。

              中国はほとんどの年で「最も重要な2国間関係の1つ」とある。加えて「切っても切れない関係」(27、28年版)、「古今の歴史を通じ日本が最も大切にしてきた国の1つ」(18年版)との表現もあった。

              安倍晋三首相(63)が第1次政権の18年に当時の胡錦濤国家主席と合意した「戦略的互恵関係」も、以降の青書で必ず登場する。「戦略的」の表現は「単なる2国間関係を超え、より広い地域の課題にともに取り組める」(外務省幹部)関係を指すという。価値観はさておき、地域や世界規模の課題について協力関係を築き、共通の利益を追求していこう−とのメッセージ性が見えてくる。

              ロシアは18年版まで明確な枕詞はなかったが、19年版以降で「様々な問題について日本と利害を共有する大事(大切)な隣国」との表現が登場。21年版以降は協力・連携の強化が「両国の戦略的な利益に合致」と記述し、26年版で「アジア太平洋地域のパートナー」と位置づけた。30年版は「最も可能性を秘めた2国間関係」との前向きな表現を採用した。北方領土問題の解決と平和条約の締結に意欲を燃やす首相の姿勢を強く反映したといえる。

              ■格上げ続きの豪印

              豪州とインドは、もとより日本と「基本的価値を共有」する関係にある。両国は日本が進める「自由で開かれたインド太平洋戦略」の中核パートナーであり、近年では安全保障など戦略的な利益の共有も強調するようになってきた。

              豪州は15年版で「基本的価値を共有する重要なアジア大洋州地域のパートナー」とした。17年版で「地域の政治・安全保障上の問題について多くの問題意識を共有」が加わり、21年版から「基本的価値と戦略的利益を共有する」に格上げした。最近は「特別な関係」(27、28年版)、「特別な戦略的パートナーシップ」(29、30年版)との表現が冠される。

              インドは19年版で「基本的な価値を共有する重要なパートナー」となり、24年版から戦略的な利益の共有も併記。26年版からは「最も可能性を秘めた2国間関係」と位置づけている。

              ■国交なくても「大切な友人」台湾

              そっけない書きぶりから、親しみのこもった表現へと変化したのが台湾だ。昭和47年の日中国交正常化で、日本が中国を「唯一の合法政府」と承認したことに伴い日台は断交。以降、日本政府は台湾を「地域」として扱い、交流は民間団体を窓口に行われている。

              14年版は「非政府間の実務関係として、民間および地域的な往来を維持してきている」と記した。15年版以降は「緊密な経済関係を有する重要な地域」となったが、貿易相手としての重要性を記しただけだった。

              しかし、25年版は「重要な地域」の部分が「重要なパートナー」に昇格。28年版は「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり、大切な友人である」となった。

              「大切な友人」との表現は、他の国には見られない。首相が自身のフェイスブックや演説で用いた言葉を反映したとみられる。東日本大震災で200億円を超える義援金を寄せてくれた台湾の人々への感謝と配慮を示したといえそうだ。

              「全体の書きぶりを見てほしい」と外務省幹部が語るように、枕詞が関係をすべて言い表しているわけではない。北朝鮮対応で韓国との連携も重要となった今年の状況は31年版に記述される。「韓国は価値観と利益を共有する重要な隣国」に立ち返れば、それに越したことはないが、果たして…。 (政治部 千葉倫之)

              posted by: samu | 政治認識 | 21:38 | - | - | - | - |
              「 米国はリビア方式を貫けるか 」櫻井よしこ
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                『週刊新潮』 2018年5月31日
                日本ルネッサンス 第804回

                約3週間後に予定されている米朝首脳会談を前に、朝鮮労働党委員長の金正恩氏が、またもや恫喝外交を展開中だ。北朝鮮の得意とする脅しとすかしの戦術に落ち込んだが最後、トランプ大統領はこれまでのブッシュ、オバマ両政権同様失敗するだろう。いま大事なことは二つである。国家安全保障問題担当大統領補佐官、ジョン・ボルトン氏のいわゆる「リビアモデル」の解決策を貫くことと、「制裁解除のタイミングを誤れば対北交渉は失敗する」という安倍晋三首相の助言を忘れないことだ。

                北朝鮮の恫喝は米中貿易摩擦に関する協議が行われるタイミングで発信された。5月16日、北朝鮮第一外務次官の金桂冠氏が、米国が一方的な核放棄を強要するなら、米朝首脳会談開催は再考せざるを得ないと言い、ボルトン氏を、「我々は彼に対する嫌悪感を隠しはしない」と名指しで批判した。ボルトン氏はホワイトハウス内の対北朝鮮最強硬派と位置づけられている。

                翌日、トランプ氏は大統領執務室でこう反応した。

                「北朝鮮の核廃棄についてのディール(取引)ができれば、金氏はその地位にとどまることができるだろう。そうでなければ、『完全崩壊』の運命を覚悟すべきだ」

                同時に、ホワイトハウスのサンダース大統領報道官もトランプ氏も、リビア方式は考えていないとのメッセージを発信した。サンダース氏は、「リビアモデルではなくトランプモデルだ」とも語った。

                ここで見逃せないのは、「リビアモデル」という言葉を用いながらも、その正確な意味をトランプ氏が理解していないと思われることだ。トランプ氏は北朝鮮へのリビア方式の適用は考えていないとして、次のように語っている。

                「米国は(リビアの)カダフィを存続させるなどというディールはしなかった。しかし、米朝で合意が成立すれば、金氏は米国による安全の確約と十分な保護を得て彼の国を統治し続けるだろう。彼の国はとても豊かになるだろう」

                日朝会談にも負の影響

                この他にもトランプ氏は、米軍はカダフィを滅ぼすためにリビア入りした、などとも語っている。しかしカダフィ氏は核を廃棄したから殺害されたのではない。反対に、彼は核廃棄によってクビをつないだのだ。8年間生き延びた果てに2011年に、リビア国民に殺害されたのである。

                ここは大事な点だ。この点の理解なくしては米朝会談にも、いずれ開かれるであろう日朝会談にも負の影響が及ぶだろう。

                03年12月、地下の穴蔵に潜んでいたイラクのサダム・フセイン大統領が米軍に発見された。それを見てカダフィ氏は震え上がった。3日後、カダフィ氏は英国政府経由で米国政府に「これまで行ってきた核開発をすべて止める」と伝えた。

                米英両国は中央情報局(CIA)と秘密情報部(MI6)の要員を直ちにリビアに送り込んで、秘密の核開発施設など全ての拠点を開示させた。その上で翌年1月に米空軍がリビア入りし、濃縮ウラニウムやミサイルの制御装置などを米国に運び出した。3月には艦船を送り、遠心分離機をはじめ核開発に関する装置のすべてを搬出したのである。

                一連の作業は3か月で終了した。すべてが終わった時点で初めて米国はリビアに見返りを与え始めた。米国とリビアの国交正常化は06年5月。カダフィ氏は核放棄を伝えてから8年後に殺害されたが、これは核放棄とは無関係だ。

                10年から中東に吹き荒れた民主化運動、「アラブの春」がカダフィ氏の惨めな死の直接的な原因である。リビア国民が民主化運動に触発されて、長年続いたカダフィ家による専制支配に抗して立ち上がったのだ。その結果、カダフィ氏も子息達も、殺害された。これが11年10月だった。

                日本でも、ボルトン氏の主張するリビア方式と、アラブの春での殺害を混同してとらえる向きがある。しかし両者は無関係である。トランプ氏の先述の発言は、氏がその違いを理解していないことを示している。

                理解していなければ、トランプ氏は正恩氏に、「米国は北朝鮮の体制転換を考えているわけではない。従ってリビアモデルはとらない」と言い続けるだろう。そこに浮上するのが、「段階的核廃棄と、段階ごとにそれに見合う経済援助を北朝鮮に与える」という方式だ。これこそ北朝鮮と中国が主張する方式で、元の木阿弥である。アメリカは失敗し、トランプ氏が日本のために発言し続けている拉致問題も解決されないだろう。だからこそ、03年からのリビア方式による核問題解決と、11年のカダフィ氏殺害の背景の相違をまずトランプ氏に、次に正恩氏に認識させることが非常に大事なのである。

                対北政策で微妙な違い

                トランプ氏の下で、米国の北朝鮮政策を担っているのがボルトン氏とマイク・ポンペオ国務長官である。両氏の間には対北政策で微妙な違いが見てとれる。5月9日、2度目の平壌訪問で米国人3人の身柄を取り戻してワシントンに連れ帰ったポンペオ氏は、その直後の11日、「正しい道を選べば北朝鮮には繁栄があるだろう」と語った。非核化の成果が何も見えていないにも拘わらず、制裁緩和に言及するのは早すぎる。同じ日、ボルトン氏は対照的な発言をした。

                「完全、検証可能、不可逆的な核廃棄(CVID)だけでなく、ミサイル、生物化学兵器の廃棄が実行され、日本人と韓国人の拉致被害者問題も解決されなければならない」と語ったのだ。

                北朝鮮との交渉でどちらの方針が失敗するか、過去の事例から、ポンペオ氏の方針であることが明らかだ。成功はボルトン方式の中にしかない。

                トランプ氏はこうも語っている。「中朝首脳の2回目の会談以降、(正恩氏の側に)大きな変化が起きた」「習(近平)主席が金正恩に影響を与えている」と。そのとおりである。

                北朝鮮の態度の豹変は米中貿易摩擦を巡る高官級協議の時期に重なる。中国が有利な条件を勝ちとるために北朝鮮を取り引き材料に使おうとしたのが見てとれる。そうした中、トランプ氏は「自分のように強い貿易圧力を中国に加えた大統領はいない」とも語っている。中国に対米貿易黒字を1年で約20兆円も削減せよと迫り、それができなければ大幅に関税を引き上げるという強硬策を突きつけたことを誇っているのだ。圧力には圧力を、力には力を以て対抗するという姿勢である。そうでなければ、中国も北朝鮮も動かない。その点で揺るがなかったからこそ、トランプ外交はここまで辿り着けたといえる。

                しかし、リビア方式についての誤解に見られるように、トランプ外交には危うさがつきまとう。その危うさを修正するのが安倍首相であろう。

                posted by: samu | 政治認識 | 21:50 | - | - | - | - |
                ◆野党とマスコミは「モリ・カケ」を延々とやり続けよ/ 門田隆将
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                  5月30日、国会で1年半ぶりに党首討論がおこなわれた。財務省によって先週、明らかにされた森友学園との「交渉記録」をもとに、立憲民主党の枝野幸男代表は、安倍昭恵氏が夫人付きの谷査恵子氏を通じて「財務省側に働きかけた」と追及した。

                  枝野氏はこう質問した。「金品の流れ等があったのか、なかったか。それはこの問題の本質なのでしょうか。公務員である谷査恵子さんを通じて(昭恵氏は)財務省に問い合わせをかけています。優遇を得られないかと照会があり、問い合わせたのですから、受けられるなら受けたいという働きかけにほかならない。それはいいことだと思っていらっしゃるんですか」

                  昨年、散々国会で聞いた質問である。これに対して、安倍首相はこう答えた。「いま、すでに枝野さんに言われたことは、もう何回も御党、あるいは他の党の委員の皆様から質問されたことです。(籠池氏から)谷氏に対して手紙が来たわけでございます。それに対して谷氏から、こういう制度がこういう法人に対して当てはめることができないかという、政策的な制度的な答えを求めたのでございます」

                  これも昨年、国会で何度も耳にした回答である。つまり、安倍首相は、谷氏が財務省に制度的な問い合わせをおこなっただけであって「問題はない」との考えを、昨年と同様、答弁したのである。

                  やりとりを聞いて、国民はどう思ったのだろうか。溜息を洩らしたのは、私だけだろうか。これだけの膨大な「時間」と国民の貴重な「税金」を費やして、延々と野党とマスコミは、同じ追及を続けてきた。

                  そのモリ・カケ問題で、こともあろうに野党の代表が「金品の流れ等があったか、なかったか。それはこの問題の本質なのでしょうか」という問いを「いまだに」しているのである。

                  私は、枝野氏の質問を聞きながら、いつまでも「本質」がわからないなら、永遠に同じ質問をやり続けなさい、と心から思った。好きなだけ「やれ」と。そして、国民の不興を買ったあの18連休のようなボイコットも「是非、やりなさい」と。(中略)

                  野党とマスコミは、これを安倍首相が「籠池氏のために国有地を8億2千万円も値下げさせて売却した」というストーリーをつくり上げて追及したが、その証拠は現在に至るまでどこからも出てこない。

                  そして、ついに、枝野代表が「金品の流れ等があったのか、なかったか。それはこの問題の本質なのでしょうか」――つまり、安倍首相の不正があったのかなかったのかは、「この問題の本質ではない」とまで言うに至ったのである。

                  一方の加計問題の論点は、もっと明白だ。このほど出てきた愛媛県の新文書の問題で、2015年2月25日に加計氏と安倍首相が本当に面会していて、獣医学部新設の考えに対して「いいね」と安倍氏が言ったのなら、それを証明して欲しいと思う。

                  各紙の「首相動静」記事をすべて網羅すると、国会開会中のこの日の首相の動きは分刻みで明らかになっており、「15分」の会談がどこでおこなわれたのか、是非、教えて欲しい。

                  そして、「首相動静」に何度も前後に登場している加計氏が、なぜ「この日だけ」首相動静に登場していないのか、その合理的な理由を説明して欲しい。まだ獣医学部のことが何も問題になっていないこの時期に、敢えて、そんな「隠密行動」をとらなければならなかった理由を併せて説明して欲しいと思う。

                  首相が「加計学園のために動いた」のなら、実際にどんな動きをしたのか。国家戦略特区ワーキンググループの八田達夫座長が、首相官邸からの圧力はなかったが、日本獣医師会からの圧力が存在したことを国会で証言しており、もし、「そうではない」というのなら、その根拠を示して欲しいと思う。

                  そして、当時の地方創生大臣である石破茂氏が「誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした」と語っていた、いわゆる「石破4条件」がなぜ安倍内閣によって閣議決定されたのかを教えて欲しい。

                  この石破氏の言葉は、石破氏とは当選同期の元自民党代議士であり、日本獣医師政治連盟の北村直人委員長によって、「平成27年度日本獣医師会第4回理事会」の会議報告の中で明らかにされたものだ。ちなみに石破氏(自民党鳥取県第一選挙区支部)には、2012年度に日本獣医師政治連盟から「100万円」の政治献金がなされている。

                  安倍首相がそれほど加計孝太郎氏のために獣医学部を設置させることに熱心だったというのなら、石破氏が「誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした」と言ったとされる4条件が「なぜ閣議決定されたのか」私には理解できない。

                  それは、安倍首相にとっては、愛媛県と今治市の国家戦略特区指定など、そもそも意識すらしないほどの問題に過ぎず、「必要なら指定される」だろうし、「不必要なら指定されない」という程度のことだったからではないのか。

                  「加計孝太郎氏のために、安倍氏は首相権限を発揮して行政を歪めたのだ」と思うのは、自由だ。しかし、その証拠もないまま、いつまでこんな不毛なことに、国会という国権の最高機関の時間とカネを浪費し続けるのか。

                  そこで、私は提案したい。証拠もなく、不正を叫ぶことも、「言論が自由」な日本では許される。だから、延々とやりなさい。野党も、マスコミも、延々と「モリ・カケ」をやり続ければいいと思う。

                  政権サイドも、気にすることはない。延々と答え続ければいい。彼らが気の済むまでやらせればいい。“情弱”以外の国民は、とっくに野党や、それを煽るメディアを見限っているので、いつまでも「やってもらえばいい」のである。

                  そして、政府与党には、激動する東アジア情勢下で、拉致被害者の即時一括帰国をはじめ、国民の生命・財産、そして国土を守るために精一杯の闘いを展開して欲しい。

                  モリ・カケを追及する側の野党六党の支持率は減りつづけ、時事通信の調査では、六党合わせてついに「8・2%」(5月調査)にまで落ち込んでいる。できれば、野党六党には国会をボイコットしてもらって、また、どこかに「消えてもらえばいい」と思う。

                  好きなだけ「寝て」もらえばいいし、また、好きなだけ「叫んで」もらえばいい。それを煽るドリーマー・メディアも、それを続けていけばいいのではないかと思う。

                  政治的中立を謳った「放送法4条」を無視したテレビの偏向報道も、それでいいのではないのかと思う。安倍首相は「放送法4条」の撤廃を言い始めた。「好きなように偏向報道をやりなさい。そのかわり、テレビ局の特権もなくなります。国民の財産である電波は、きちんとオークションにかけますから」というわけである。

                  偏向したレベルの低い番組を延々と観させられるのも、“情弱”でない国民にとっては苦痛だ。しかし、いっときの辛抱である。競争原理が働く中で、見応えのある“まともな”番組が、いつかは登場するだろう。

                  「ドリーマー(夢見る人)」と「リアリスト(現実を見る人)」とのいわゆる“DR戦争”は佳境に入っている。それが端的に出ているのが、昨年来、延々と続くこの“モリ・カケ問題”なのである。私たちは今、産みの苦しみの只中にいる。そんなことを考えながら、私は日本の国会史に汚点として残るだろうこの“モリ・カケ騒動”を見ていこうと思う。



                  株式日記と経済展望ブログより(私のコメント)

                  テレビはモリカケでは視聴率が取れなくなったので、最近では日大のアメフト部の不祥事を朝から晩まで取り上げている。確かに体育会系の体質には問題が有り、特に上下関係の厳しさは異常なほどであり、それが日本企業の年功序列体制に影響を及ぼしている。

                  しかし上に対してものが言えない体質では、情報の風通しが悪くなり変化の激しい現代社会について行けなくなる。会社のトップと現場との距離が遠くなれば、トップの判断はずれたものとなりやすい。最近の日本企業は創業社長が少なくなりサラリーマン社長が多くなり、現場の事が分からない社長が増えた。

                  国会でも、世襲の二世議員が多くなり、それは与党も野党も同じであり、そうなると国民世論とはかけ離れた議員も多くなるということだ。選挙は親の七光りで楽に当選ができるし、年功を重ねれば大臣や総理へと出世もしやすくなる。そうなるのは選挙制度に問題があるからですが、どうしても現職有利な制度になってしまう。

                  その国会では、1年半近くモリカケ問題で終始していますが、最近では視聴率が取れなくなってきたようだ。財務省からの4000ページに及ぶ内部資料が出てきても、総理の不正が明らかになるわけでもなく、最初から全部資料を出していれば長期化する事もなかったのではないだろうか。

                  佐川理財局長が、資料は破棄して無いと言ってしまったから疑惑が深まりマスコミや野党が疑惑追及に走ってしまった。佐川局長は何故決済文書を改ざんさせて、4000ページの内部資料を隠してしまったのだろうか。それは近畿財務局の籠池氏に対する対応のミスが明らかになってしまうからだろう。

                  もともと小学校用地は、空港の近くで騒音被害が有り、しかもゴミ処理場でもあり高層ビルも建てられない土地であり、タダ同然でないと引き取り手のない土地だった。公開で入札していればもっと高く売れることもあったのだろうが、近畿財務局のミスで随意契約にしたから籠池氏につけ込まれてしまった。

                  籠池氏はなかなかの癖者であり、当初は安倍総理に頼ろうとしたが、昭恵夫人には面識があっても総理は面識がなっかった。そこで今度は野党やマスコミを味方につけて反安倍総理になり、マスコミや野党もこれに同調した。森友では安部総理を退陣させられないとみるや、今度は加計学園問題に焦点が移りました。

                  しかし加計学園問題も、賄賂のやり取りや便宜供与などの証拠がなくては総理を辞任に追い込むのは無理なことは「株式日記」では当初から書いてきた。こうなると胡散臭いのは財務省であり、マスコミや野党を背後で操っていたのは財務省のようだ。一連の文書のリーク元は大阪地検のようですが、女検事が朝日新聞に垂れ込んだ。

                  一連の追求は、思わぬ財務省の文書改ざんや文書隠蔽問題まで波及しましたが、財務省の隠蔽体質が浮かび上がってきた。門田氏の記事でも『、私以外にも「なぜ」「どうしてなのか」と声を上げたい国民は多いだろう。野党とマスコミが、ありもしない疑惑をでっち上げ、常軌を逸したヒステリックな追及をつづけ、公文書が改竄されたり、虚偽の答弁が国会でおこなわれるという「行政組織の劣化」が白日の下に晒された。そして、ついには、近畿財務局の職員の中に「自殺者」という犠牲まで出た。』という事になった。

                  モリカケ問題の黒幕は、財務省でありマスコミと野党を動かしてきた。しかし財務省の自殺者まで出す騒ぎになったのは、自業自得であり野党やマスコミは財務省には寛大だ。検察も佐川氏は起訴しないと決めた。日大もアメフト部と財務省は体質がよく似ていて監督や上司には逆らえない体質のようだ。

                  監督や上司から、不法な事でも「やれ」と言われればやらなければならないのは、年功序列社会では従わざるを得ない。逆らえば組織を抜けなければなりませんが、組織から抜ければ脱落者となり冷や飯を食うことになる。それよりかは実力主義の社会となって、組織を渡り歩いて出世できるようにすべきなのだ。財務省も日大もそのように改革する必要がある。

                  posted by: samu | 政治認識 | 21:42 | - | - | - | - |
                  神道はなぜ「敵役」にされたのか/平川祐弘
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                    ◆天正遣欧使節は宣伝用だった

                     キリスト教の西洋と神道の日本の関係を巨視的に眺めたい。

                     ザビエルが来日した1549年から三代徳川将軍、家光の鎖国までの100年を「キリスト教の世紀」と西洋人は呼んだ。宣教師たちは極東の島国の改宗に成功したと大宣伝を本国向けにしたが、その赫々(かっかく)たるローマの戦勝祝賀報告のだしに使われたのが天正遣欧使節で、四人の少年は法王グレゴリウス13世に謁見、歓待を受け、ティントレットの息子ドメーニコが伊東鈍満所の肖像を描いた。

                     世間は麗々しく遣欧使節と呼ぶが実体は違う。少年が各地で書き残した礼状は同行イエズス会士が口授した文章で個性はない。イタリア語の理解力は低く、客観的な判断ができたわけではない。ボローニャへの途次、イーモラで休んだとき、日本の地名に似ている「井村だ、井村だ」とはしゃいだ。その程度だ。彼らは日本における宣教成果の西洋向け宣伝用の見世物(みせもの)使節だったのである。

                     新井白石は『西洋紀聞』巻下にイエズス会士が九州で「いとけなき子を携来て」ローマへ連れて行こうとしたことにふれ、漢文が達者な利瑪竇ことマッテオ・リッチについても元東洋の穎悟(えいご)な少年をマカオあたりから連れ去り、西洋で教育した上で宣教にまた中国へ派遣したのでないかと疑った。

                    日本開国は宣教師たちにとって「夢よ、もう一度」の好機と思われた。1865年、大浦天主堂の門前に浦上の農民があらわれ「サンタ・マリヤの像はどこ?」とたずねた。プチジャン神父は、厳しい徳川の禁教下でキリシタンの信仰は続いた、と知り驚倒した。

                     しかし隠れキリシタンは、古野清人が調べたように、信仰のために死んだ祖先を神として敬う「家の宗教」と化しており、彼らの多くはカトリックに戻らない。プチジャンはいらだって帰国、ナポレオン三世に日本改宗のためのフランス軍による占領を進言し皇帝を苦笑させた。

                     ◆「新宗教」が布教を妨げる?

                     明治7年、横浜でパークス、ヘボン、ブラウン、サトウ、チェンバレンら西洋人日本通が一堂に会して神道について初めて議論し、祖先を祀(まつ)る土着の信仰は「空虚で人の心を動かさない」「文明開化とともに消滅する」と結論した(後にハーンだけがその見方に反対した)。

                     だが神道が国家主義の風潮に乗り勢いづくと、チェンバレンはそれを大正元年「新宗教の発明」と断じた。一部宣教師も同調し、今の日本でキリスト教徒が人口の1%を超えないのは、神道が天皇崇拝の国教として、布教を妨げるからだと言い出した。

                    それに反し中国はキリスト教宣布の希望の土地で、蒋介石夫妻も入信した。そんなパール・バックも描く中国の良き大地を悪しき日本軍が侵略する、と非難を強めた。宣教師の意見を代弁する米国の『ライフ』誌も親中反日をあおり、世論や米国外交を動かした。

                     私は戦争中に「八紘一宇」は「世界のすみずみまでが一つの屋根の下で仲良く暮らす」「人類みな兄弟」という趣旨で習った。宮城遥拝などの儀礼はあったが、神道を教える宗教のクラスはない。そんなだから「国家神道」という言葉を聞いたことがない。

                     だが、米国側は神道を熱狂的な日本愛国主義のバックボーンと目し、神風特攻隊の必死の攻撃は天皇を神とする宗教的狂信のゆえとした。それを粉砕すべく米空軍は意図的に明治神宮を爆撃、火炎は天に沖(ちゅう)した。

                     ◆人種偏見と結びつく宗教文化論

                     昭和20年12月、占領軍総司令部は神道指令を出し、国家(神社)神道の政治的影響力の排除を命じたが、その際、State Shintoの訳語として国家神道は日本語に定着した。翌年元旦、昭和天皇はGod−Emperorは「架空ナル観念」であると宣言した。

                    ユダヤ・キリスト教では創造主は人を創る全能のゴッドだが、日本の天皇は違う。神道では人が死んで神になり、神棚に先祖は祀られる。日本では人は死ねば「神去ります」。その神道の神をGodなどと訳すから、誤解は生じた。

                     だが「天皇は日本人のゴッドだ」と言い出したのは、日本兵の強固な戦意におびえた人々の解釈で、それがまた米英人の敵愾(てきがい)心を強めた。宗教文化論は人種偏見と結びつきやすい。神道脅威論は黄禍論の一変形かもしれない。

                     安倍晋三首相が先進7カ国首脳会議を伊勢志摩で2016年に開催したときも奇妙な批判が出た。しかし神道をこうして敵役(かたきやく)に仕立てたのはおかしくないか。今では米国大統領も明治神宮に参拝する。クリントン国務長官はお祓(はら)いも受けた。

                     軍部が日本を泥沼に引きずり込んだ戦争は愚かだが、それでも「日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ス」と教えられたことはない。八紘一宇はそんな意味だとする米国側解釈こそ「架空ナル観念」だったのではなかろうか。宗教文化史的誤解はやはり解いておきたい。(東京大学名誉教授・平川祐弘 ひらかわ すけひろ)

                    posted by: samu | 産経正論 | 09:54 | - | - | - | - |
                    米中貿易100年戦争の号砲が鳴った 習近平氏の野望を潰す2000億ドル削減/田村秀男
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                       中国の膨張主義に対し、覇権国家の米国が対峙(たいじ)する。習近平政権に対するトランプ政権の対米貿易黒字2000億ドル削減要求は、米中貿易「100年戦争」の号砲である。

                       米中間の通商協議は、まず5月初旬に北京で開かれ、米側は今年6月から12カ月の間に対米貿易黒字を1000億ドル、19年6月から12カ月の間にさらに1000億ドルを削減するよう求めた。知的財産権侵害や米企業に対するハイテク技術提供強要の中止などを迫った。

                       5月17、18日の米ワシントンでの2回目の協議の後、中国側は農産物やエネルギーなどの輸入拡大を表明した。米側は対中制裁関税の適用を棚上げし、とりあえず米中は「休戦」した。そんな駆け引きからすれば、「100年戦争」とは大げさと思われるかもしれないが、中国の国際収支と米中貿易収支に関するグラフを見ていただきたい。

                      中国は輸出を通じて巨額の経常収支黒字を生み出してきた。これと日米欧など海外企業による対中投資で外貨が流入する。発券銀行の中国人民銀行は外貨を吸い上げて外貨準備とし、外準の増加に見合う人民元を発行し、商業銀行を通じて融資を拡大させる。それこそが改革開放路線以降の中国高度成長の方程式だ。

                       特に2008年9月のリーマン・ショックは中国の膨張加速のきっかけになった。米連邦準備制度理事会(FRB)は米国が5年間でドルの発行額を約4倍、3兆ドル以上増やした。中国には貿易黒字や海外からの投資を通じてほぼ同額のドルが流入し、人民銀行は米国と同じ規模で金融の量的緩和を行い、2桁台の経済成長率を取り戻した。

                       12年秋に党総書記に就任した習氏は、14年11月にユーラシアから中近東、アフリカまでの陸海を結ぶ現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」をぶち上げた。軍拡を背景に、東南アジア各国に有無を言わせず南沙諸島を占拠する。それを支えるのがマネーパワーだ。

                      とどのつまり、流入外貨が経済・軍事両面に渡る膨張の原動力といえるわけだが、中国は致命的とも言える脆弱(ぜいじゃく)な構造を内包している。グラフが示すように、対米貿易黒字は経常収支を一貫して上回る。対米貿易で巨額の黒字を稼げなければ、通貨も金融も拡大させられないのだ。

                       トランプ政権として、その急所を突く意図があったかどうかは確認できないが、米側統計で昨年3750億ドルに上った米国の対中貿易赤字に着目した。中国の経常収支黒字は縮小する傾向にあり、昨年は1200億ドルにとどまった。2000億ドルもの対米黒字を減らせば、中国の対外収支は大幅な赤字に転落し、習政権の対外膨張戦略は頓挫しかねない。

                       今や中国のマネーパワー自体、見かけだけだ。外準は3兆ドルを超え、世界ではダントツだが、中身はおみやげの菓子箱によくあるような上げ底だ。中国の場合、外国企業の直接投資、海外市場での債券発行、銀行借り入れなど、負債によって入る外貨も人民銀行が最終的に吸収するので、外準として数える。グラフが示すように、負債の増加額が外準の追加分をはるかに超える。

                      貿易などの経常黒字に加えて負債が大きく増えても、外準は前年をかろうじて上回る程度である。中国から巨額の資本逃避が絶えないのだ。

                       資本逃避の規模は15年後半で年間1兆ドルに上った。当局が輸出競争力強化のために踏み切った人民元切り下げを嫌って、中国国内の投資家や富裕層が闇ルートを通じて資金を海外に移したためだ。

                       その後、当局が人民元相場をやや高めに誘導したことで資本逃避は減ったが、昨年でも2000億ドル前後の水準だ。そんなお寒い外準事情ならなおさらのこと、習政権は2000億ドルどころか、その半分であっても対米黒字削減に応じるはずはない。

                       シンガポールでの開催が予定されていた米朝首脳会談は中止となったが、米中摩擦には当面、北朝鮮情勢の成り行きが影響する。トランプ大統領はかねてから、北朝鮮の金正恩労働党委員長に対する習氏の影響力に期待してきた。習氏はそれを逆手にとって、通商交渉で譲歩を迫るが、長き攻防のほんのひとコマだ。

                      トランプ後の米政権にとっても、中国の脅威の増大を食い止めるために最も効果的な方法が、中国の対米黒字大幅削減なのは火を見るよりも明らかだ。これに対し、終身国家主席の座を確保した習氏は絶対に譲らないだろう。2000億ドル削減は一帯一路に賭ける野望をくじくばかりか、共産党主導の経済モデル自体が崩壊危機にさらされるのだ。

                      (編集委員)

                      posted by: samu | 経済認識 | 09:39 | - | - | - | - |