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今のところ「トランプ弾劾」はありえない理由/古森義久
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    就任から半年が過ぎた米国のドナルド・トランプ大統領はいまどんな状況にあるのか。

     史上最低の支持率や「ロシア疑惑」での不透明な動き、そして特別検察官らによる責任の追及など厳しい状況にあることは確かである。

     米国議会の一部には、大統領弾劾への動きも起きてきた。日本側でも米国通の識者らによって大統領弾劾が現実に起こり得るかのように語られる。

    「大統領の弾劾が確実」は本当か?

     しかし実際には、現在のワシントンの政治構造の中で、弾劾が行われる見通しは立っていない。堅固なトランプ支持層も相変わらず存在する。日本側としてはトランプ政権への批判だけに目を向けるのではなく、同盟国である米国の国政動向を客観的に読み取る姿勢が必要だろう。

     ワシントン特派員を含む日本の主要メディアや米国通の識者たちは、トランプ政権の誕生から現在に至るまで、常に「トランプ政権は長続きしない」と分析し、報じてきた。

     その理由としては、当初は「史上最低の支持率」が多かった。次に「大統領の無知や未経験」がやり玉にあがった。さらにはここに来て、「ロシア疑惑で弾劾される」という見通しが語られている。予測のゴールポストが次々と動いているのだ。だが、現実は、そのいずれにもなっていない。

    トランプ大統領の言動には確かに欠陥も多い。政策は乱暴で、矛盾もある。それらを日本の国益や国際的な基準を踏まえて批判するのは当然のことである。

     だが、トランプ政権がもうすぐ倒れるという類の予測は、また別である。日本では「大統領の弾劾が濃厚」という見通しが語られるようになってきたが、まずは事実や現実を客観的に正しく把握すべきだろう。

    下院も上院も共和党議員が過半数

     現在の米国のトランプ報道は、実像と虚像の判別がますます難しくなっている。「ニューヨーク・タイムズ」「CNN」などに代表される民主党寄りの主要メディアが、大々的にトランプ叩きの報道を展開するからだ。日本の“識者”がそうした一方的な報道だけをみて判断すれば、大統領弾劾が確実だと捉えても不思議はない。

     だが、弾劾の手続きを知れば、実現の可能性は薄いことがすぐに分かる。

    「大統領弾劾」とは、現職の大統領の犯罪や欠陥を理由に、立法府である議会が検察官と裁判官と両方の役割を果たす手続きである。実際の手続きとしては、連邦議会下院が過半数の賛成に基づいて大統領を訴追する。続いて上院が裁判所の機能を果たし、出席議員の3分の2の賛成で弾劾を決定する。弾劾が決まれば、大統領は罷免される。

     しかし、現在の連邦議会では、共和党側が下院では435議席のうちの241、上院では100議席のうちの52の多数を占める。現時点でトランプ大統領の弾劾に賛成することを公式に表明した共和党議員は1人もいない。

    一方、民主党側ではすでに下院で2議員が連名で弾劾の手続きをとった。だが、それに同調することを表明した議員はいない。下院の民主党議員は全体でも194人だから過半数の218には24人も足りない。まして弾劾に3分の2の賛成が必要な上院では、民主党は単純過半数も得ていない。

     過去に行われた大統領弾劾への動きの実例としては、1974年の共和党ニクソン大統領の辞任がある。議会が弾劾の手続きを進め、その成立の見通しが確実となった時点で、ニクソン大統領は自ら辞任した。この時の議会は上下両院ともニクソン氏を攻める側の民主党が多数を占めていた。

     1998年から99年にかけては、民主党のビル・クリントン大統領が弾劾の対象となった。下院では訴追が成立したが、上院では有罪としない表決となった。だが、このときも攻める側の共和党が上下両院で多数を占めていた。

     一方、現在の連邦議会は上院も下院も共和党が多数を占める。議員の顔ぶれは2018年11月の中間選挙までは変わらない。つまりトランプ大統領を支持する共和党議員が多数を占める状況は、少なくとも1年以上は変わらないのだ。

    ワシントン・ポストも「当面は弾劾はない」

     共和党議員たちの間でも、トランプ大統領への批判や不満は存在する。トランプ大統領弾劾が間近だと予測する日本の識者たちは、共和党議員の間で造反が起きると述べる。だが現段階では、実際に弾劾手続きの表決を変えるほどの造反の兆しは見られない。

     それどころか民主党寄りのワシントン・ポストも、「当面は弾劾はない」とする認識を明らかにしている。

    たとえば、同紙の7月14日付の紙面に、「なぜトランプ氏はいかに状況が悪くなっても今年中に弾劾されることはないのか」という見出しの解説記事が掲載された。筆者はベテラン政治記者のフィリップ・バンプ氏だった。記事の要旨は以下のとおりである。

    ・トランプ大統領はロシア疑惑などでいかに不利な状況になっても、今年中に弾劾措置を受ける可能性はまずない。

    ・弾劾には共和党議員のトランプ氏への造反が不可欠である。だが、これら議員は来年の中間選挙に向けて党内の予備選に臨む。予備選は、共和党有権者の中で特に保守派の投票率が高い。

    ・ギャロップ世論調査などによると、共和党保守派のトランプ大統領への支持率は約90%ときわめて高い。だから共和党下院議員はトランプを非難しない。非難すると、来年の選挙で自らの墓穴を掘ることになるからだ。

     このように、バンプ氏の理屈はきわめてシンプルだ。

     もちろん政治の世界では明日なにが起きるか分からない。来年の中間選挙で共和党側が大敗する可能性も排除できない。だが現実をみると、トランプ政権の誕生から半年の間に全米4州で実施された下院特別補選では、4州とも共和党候補が勝利した。民主党が「トランプ大統領への信任投票」と宣伝し、全国規模の資金、人材の動員をかけての戦いを挑んだにもかかわらず、である。

     要するに、今のところ米国の国政の場で、トランプ大統領の弾劾、ましてその弾劾の成立というシナリオは決して現実の議論の対象にはなっていないのである。

    posted by: samu | 政治認識 | 18:05 | - | - | - | - |
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