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EUが中国と組んで打ち出す、強力な「反トランプ作戦」の中身/川口マーン恵美
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    EUが中国と組んで打ち出す、強力な「反トランプ作戦」の中身 6月2日 川口マーン恵美

    ドイツの完全なる方向転換

    さて、ちょうどその頃、前日はベルリンでオバマ氏とともに上機嫌だったメルケル首相は、シチリアのタオルミーナにいた。トランプ氏との対決と言われていたG7サミットの会場である。

    サミットは2日にわたって行われたが、ドイツの報道はいつものことながら、トランプ大統領の悪口ばかり。結局、終了後、サミットは大失敗と評価が決まり、失敗の原因はすべてトランプ氏に押し付けられた。サミット後のメルケル首相のコメントも、「非常に不満の残る話し合いだった」と容赦ない。

    問題としてあげられたのが、ドイツの輸出超過や温暖化防止対策における意見の不一致。とはいえ、アメリカが他国と強調しないのは、何も今に始まったことではない。

    1980年代、アメリカに日本車が溢れたときは、アメリカは凄まじいジャパンバッシングに熱中したし、1997年の温暖化防止に関する京都議定書は批准せず、挙げ句の果て、離脱。それどころか、2009年のコペンハーゲンの気候変動防止の条約案には、オバマ大統領は署名さえしなかった。

    ちなみに、現在、問題になっているパリ協定も、目標は立派だが、中身はかなり空疎。アメリカが署名しようが、しまいが、それほど効果に影響はないだろう。ドイツだって、目標の数値はどのみち守れそうにない。しかし、メルケル氏はもちろん、そんなことはおくびにも出さない。

    ドイツに戻ってすぐ、彼女は、「他国をすっかり信用できた時代は、ある部分では終わった。(略)ヨーロッパ人の運命は、ヨーロッパ人として、我々自身の手で勝ち取っていかなければならない」というセリフを、いつになく苦々しい表情で、吐き捨てるように言った。今までなるべく目立たないように振舞ってきたドイツの完全なる方向転換か?

    もう一つ、ドイツのG7報道で気になったのは、安倍首相の話題が一切なかったこと。日本のニュースは、初日の昼食会で安倍氏がリードスピーカーだったとか、G7の結束を訴えたなどと報じたが、ドイツで見ている限り、安倍首相の姿は集合写真で認められただけ。やはり同じ境遇だったのがイギリスのメイ首相で、こちらも存在感ゼロ。

    ドイツメディアは、イギリスや日本がもう重要ではないと言いたいのか、あるいは、安倍首相もメイ首相も、トランプ陣営とみなされて故意に無視されているのか、そこらへんのところはわからない。

    今回のサミットの前、安倍首相は、トランプ大統領とEUの橋渡し役を自認していたが、ヨーロッパの首脳たちはわざとトランプ大統領との不仲を演出した。橋渡し役など、最初から誰も必要としていなかったのだろう。羽田に降り立った安倍首相、および昭恵夫人の表情がいつになく硬かったのが気になった。

    中国、ロシア、インドを巻き込んで

    いずれにしても明らかになったのは、EUが今、強烈な反トランプ作戦を打ち出したこと。作戦の最終目的はおそらく、中国と結んで英米に対抗する新たな覇権を構築することだ。先頭に立っているのは、もちろんドイツ。

    EUはその覇権下にロシアとインドも引き入れるつもりなのか、30日、マクロン仏大統領はプーチン大統領をベルサイユ宮殿に招いて「率直な意見交換」をし、メルケル首相はモディ首相をベルリンに招き、これから毎年、インドに10億ユーロの援助をすることを決めた。両方ともわざとらしいほどの友好ムード。さらに翌31日は、李克強総理がベルリンを訪れた。

    どの首脳も海千山千。トランプ大統領にかけられた網が、どんどん縮まっていく。

    G7サミットの険悪な雰囲気や列強のヘゲモニー争いとは無関係に、29日、ヴィッテンブルクでは素晴らしい夏日の下、教会デー最後の野外礼拝で、満面の笑みを湛え、高揚した人々が世界平和を祈っていた。ドイツの二つの異なった風景。

    それにしてもメルケル氏は、EUをどこへ引っ張っていこうとしているのだろう?



    (私のコメント)

    戦略的に見て一番大雑把な分け方としては、大陸国家と海洋国家の利害対立だ。大陸国家としてはロシア・中国・EUなどのユーラシア大陸国家であり、海洋国家としてはアメリカ・カナダ・イギリス・日本などの島国国家がそれにあたる。アメリカ・カナダは北米大陸国家だが、太平洋と大西洋に囲まれた島国と見ればいい。

    大陸国家と海洋国家では、考え方も異なるし文化も経済構造も異なってくる。イギリスはヨーロッパに属しているが、大陸とは隔てられており大西洋に浮かぶ島国国家だ。日本もアジアに属していいるが太平洋に浮かぶ島国国家であり、軍備などもアメリカ・日本・イギリスは海軍国家であり、ロシア・中国・EUは陸軍国家である。

    経済においても海洋国家では海運が輸送の主力であり、大陸国家では鉄道やトラックが輸送手段になる。海運を守るためには大海軍力が必要になるし、鉄道やトラック輸送を守るには大陸軍が必要だ。だから経済構造も軍事構造も異なってくる。それに伴って考え方にも違いが出てくる。

    古代から近世にかけては陸運が主力であり、海運は木造船しかなく風まかせで輸送能力が限られていた。アメリカという大海洋国家の台頭は船舶の飛躍的な進歩によるものであり、鋼鉄製の船体にタービンエンジンを搭載して、巨大タンカーや巨大コンテナ船もできて、飛躍的な輸送力増大が可能になったからだろう。

    大陸国家では、大陸に豊富な資源が埋蔵されているから領土の拡大は不可欠であり、食料も広大な農地を確保することが必要になる。それにたいして海洋国家は必要な物資を海上輸送すればよく、世界で一番安い物を買い付けて輸入すればいいと考える。日本などは鉱物資源も食料資源もないが、世界から輸入して成り立っている。

    戦前の日本の間違いは、海洋国家でありながら自前で鉱物資源や食料を確保しようとしたことであり、それに伴って大陸に進出して大陸軍を作ってしまったことだ。そのために国防予算を陸軍に取られて、アメリカとの海軍同士の戦争で敗れてしまった。海洋国家の海軍が敗れてしまえば物資が入らず万事休すだ。

    ソ連が滅亡したのも、大陸国家でありながら大海軍を作ろうとしたためであり、経済的に破綻してソ連は自滅した。G7も最初から日米英加の海洋国と独仏伊欧の大陸国で構成されており、これに影の主役としてロシアや中国がある。ドイツのメルケル首相の考えていることは、ユーラシア大陸国家が主導権をとることであり、アメリカは弾かれることになる。

    トランプ大統領は、アメリカが覇権国家の座を降りてアメリカの利益を優先することですが、国際協調体制からの離脱を目指している。パリ協定からの離脱もその一環ですが、そのことがアメリカの影響力の低下に直結することになる。アメリカの影響力の低下はアメリカの利益にプラスになるのだろうか?

    中国が世界第二位の経済力を生かして、アメリカの覇権国家の座を虎視眈々と狙っている。AIIBや一帯一路構想も、中国が主導権を持って推進していますが、いわばユーラシア大陸同盟であり、アメリカと日本は加わってはいない。それにたいして積極的なのがドイツであり、ユーラシア大陸諸国からアメリカの影響力を排除しようとするものだ。

    このようなメルケルの構想に相乗りしてアメリカの影響力を排除しようと中国がドイツに接近している。トランプは何も知らないからTPPからいち早く離脱しましたが、TPPこそ海洋国家同盟の主軸になるはずだった。まさにトランプ大統領はメルケルから見れば飛んで火に入る夏の虫なのだ。

    アメリカがこのような状態だからこそ、日本の安倍総理が海洋国家を主導してまとめあげる機会なのですが、安倍総理はアメリカとEUとの仲介役として行動してしまった。むしろメルケルの構想をぶち壊すくらいの策を練るべきであり、中国とEUとの分断を図らなければならない。でなければ中国に主導権が行ってしまうだろう。

    トランプも外交戦略の誤りに早く気がついて欲しいものですが、メルケルの構想にはまるだけだ。アメリカはユーラシア大陸に築いた橋頭堡を次々と失いつつある。大英帝国の没落もシンガポールや香港などのリムランドの橋頭堡を失ったことが原因であり、アメリカはEUを失い、中東を失い、ASEANを失い、韓国も失うだろう。

    トランプ大統領はまさに暗愚の帝王であり、アメリカの没落を早めるものになるだろう。その片鱗は今回のサミットでも見られましたが、レーガン大統領とは真逆の大統領になりアメリカを滅ぼす大統領になりかねない。トランプ大統領にはこれといった外交スタッフがおらず、娘婿が大統領首席補佐官になっている。

    posted by: samu | 政治認識 | 10:05 | - | - | - | - |
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