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◆陸上型イージス:「イージス・アショア」とは /海国防衛ジャーナル
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    北朝鮮の核・ミサイル開発の進行に対処するため、ミサイル防衛システムを強化する一環として陸上型イージス・システムの配備を検討するという報道がありました。

    イージス艦はその名の通り、海に浮かんだイージス・システムです。それゆえ、艦載イージスBMDを「イージス・アフロート(Aegis Afloat)」と呼んだりもします。このイージス・システムを陸上で使おうという計画が、現在着々と進められています。陸に揚がったイージスBMDのことを「イージス・アショア(Aegis Ashore)」といいます。これまでにもイージス・アショアについて何度か取り上げてきたので、本稿では過去記事をまとめる形でメモしておこうと思います。

     

    欧州ミサイル計画

    イージス・アショアは、欧州に配備される計画のもとで開発が進められてきました。弾道ミサイル防衛はNATOにとって集団安全保障上の "核心的要素"とされ(2010 Strategic Concept)、かねてからNATOは将来イランが大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有することになれば大変な脅威になるとみなし、米国の GBI(地上配備型迎撃ミサイル)配備を検討していました。

    しかし、ロシアの強い反発とイランのICBM開発がそれほど進んでいないことを受けて計画を変更。イランが現時点で保有する短距離・準中距離弾道ミサイルなどの喫緊の脅威に対応すべく、2009年に「
    欧州ミサイル防衛構想(European Phased Adaptive Approach:EPAA)」を発表しました。EPAAは28カ国が参加するNATO首脳会議で合意されたもので、NATOの総意としてミサイル防衛を本格的に運用するものです。段階は3つ(当初は4つでした)で、以下の通りです。
     

    • フェイズ1(〜2011年)
      AN/TPY-2 レーダーを配備し、現行の海上配備型SM-3ブロック1Aで欧州の同盟国に対する短距離・準中距離弾道ミサイルの脅威に対応する。
    • フェイズ2(〜2015年)
      準中距離弾道ミサイル脅威への対処能力向上のために、海上配備型と陸上配備型SM-3ブロック1Bを配備。イージス・アショアをデベセル(ルーマニア)に建設予定。
    • フェイズ3(〜2018年)
      SM-3ブロック2Aを配備予定。短距離、準中距離、中距離弾道ミサイルへの対処として、2つめのイージス・アショアをレジコボ(ポーランド)に建設予定。
      地図を見ると、将来、イランがベルリン、パリ、そしてロンドンを攻撃可能な5,000km級弾道ミサイルを保有した場合に備えて、イージス・アショアが配置されていることが分かります。

      EPAAのフェイズ1は初期運用能力に達しており、トルコのクレシクにAN/TPY-2レーダーが、そしてドイツのラムシュタインに指揮統制センターが配備されました。2011年にはSM-3ブロック1Aを搭載したUSSモンテレーが地中海に配備され、2014年からは米国やスペインが、イージス艦×4隻(ドナルド・クック、ロス、ポーター、カーニー)をスペインのロタに展開させています。

      フェイズ2もすでに着手され、2013年10月に、陸上発射型SM-3ブロック1Bのイージス・アショアの建設がルーマニアで開始(
      過去記事)。2014年4月23日には海上発射型SM-3ブロック1Bを搭載した米軍艦が配備されています。
    フェイズ3の2基目のイージス・アショア建設も、ポーランドのレジコボにて2016年3月から着工しています。

    イージス・アショアとは?

    イージス・システムは、海上でさんざん実験を重ねた信頼性の高いシステムということもあり、SPY-1レーダーやC4Iシステム、Mk 41ミサイル垂直発射システム(VLS)、ディスプレイ、電源・水冷装置などアーレイ・バーク級イージス艦の設備がそのまま陸上でも使用されます。

    ルーマニアとポーランドのイージス・アショアには、8セルのMk 41VLSが3基配備されるので、24発のSM-3ブロック1B/ブロック2Aを配備予定ということになります。

    また、イージス・アショア施設の特徴のひとつが、移設可能("removable")な設計であるという点です。実際にイージス・アショアの設備は、まず初めにニュージャージー州・ムーアズタウンのロッキード・マーチン社敷地内でテストされ、その後にモジュール化されたコンポーネントを分解してハワイのカウアイ島に送り、試験施設(Aegis Ashore Missile Defense Test Complex(AAMDTC))として運用されています。

     

    イージス・アショアの価格は?

    ポーランドのイージス・アショアのために2017会計年度で米議会が計上した予算は6億2,140万ドルです。この額は施設建設、ウェポン・システムのアップグレード、SM-3ブロック2Aを含めたものです。これに加えて、2016会計では装備調達費(Aegis Ashore Equipment)として約3千万ドル、施設建設費(Construction of Aegis Ashore)として1億6千900万ドルが計上されているので、計8億2千万ドルほどかかっています。

    システムの維持管理や人件費などの差もあるので、一概にコストを試算するのは適切ではありませんが、日本が有償援助調達(FMS)でイージス・アショアを調達するとなると、このあたりが目安になると思われます。

     

    すでに迎撃実験にも成功済

    2015年12月9日、イージス・アショアによる標的ミサイルを用いた初の迎撃実験「FTO-02イベント1a」が実施され、成功を収めました。

    実験の概要は、以下の通りです。

    ハワイ・カウアイ島沖にて、空軍のC-17から準中距離弾道ミサイル標的が発射され、AN/TPY-2レーダー(前方配備モード)がこれを探知、追跡データをC2BMCシステムへ送信。イージス・アショアのイージス・ウェポン・システムがデータを受信し、AN/SPY-1レーダーを用いて標的を追跡、交戦のための火器管制を行い、イージス・ウェポン・システムがSM-3ブロック1Bを発射、標的を直撃し、運動エネルギーによって破壊に成功。

     

    日本に配備すると迎撃範囲はどうなる?

    現行のブロック1Aの射程が1,200kmであるのに比べて、ブロック2Aは2,000km。舞鶴や横須賀にいる海上自衛隊のイージス艦が1隻で日本全国をカバーできるようになります

    イージス・アショアを2基設置してみます。設置場所は迎撃に適した場所や政治的に問題を招かないなど様々な要因を考慮したアセスメントを経て決定されますが、ここでは仮に新潟の佐渡分屯基地と鹿児島の下甑島に置いてみました。いずれも航空自衛隊の運用するFPS-5レーダーが設置されている場所です。

    日本列島を十分にカバーします。もちろんここに海上自衛隊のイージス艦のSM-3ブロック2Aも射手として待ち構えることになります。ブロック2Aの射程を最大化するためには、早期警戒監視レーダーや前方配備レーダーなどの
    リモートセンシング・ノードがネットワーク化されてローンチ・オン・リモートおよびエンゲージ・オン・リモートが可能になっていること前提ではありますけども。
     
    (※佐渡からだと迎撃できないとの指摘があったようなので以下追記します)。

    シミュレーションの一つとしてノドンが北朝鮮・元山から東京に向けて発射されたとします。
    元山から東京までは約1,150kmです。ノドンのバーンアウト速度を秒速3,234m(マッハ9.5)とします。佐渡分屯基地の山地から発射されるSM-3ブロック2Aのバーンアウト速度を秒速4,410m(マッハ13)とします。SM-3ブロック2Aのブースターの加速度やノドンの加速度など他の要素もだいたい伝えられる諸元のとおりとしておきます。

    この場合、ノドン発射から298.5秒後、SM-3ブロック2A発射から175.4秒後に元山から水平に542km、高度358kmの日本海上空・大気圏外で迎撃に成功します。SM-3ブロック2Aはマッハ15を超えるともされているので、実際にはもっと余裕をもって迎撃できるでしょう。ノドンの条件を変えずにSM-3ブロック2Aを青森の車力から発射しても、やはり337秒後に迎撃できました。

    これらは文字通り机上の計算ではありますが、イージスBMDはすでに実際の迎撃試験でこれらを成功させてきているので、否定するにはよほどの裏付けが必要となります。

    EPAAにおいてイージス・アショアがイランから数千km離れたところに配置してあるのは、それくらい離れた所でしか迎撃できないからではなく、そもそもEPAAは米本土に向かうイランのICBMを迎撃することを最終的な目的(SM-3ブロック2Bによる「フェイズ4」、現在は凍結)として発足したからであり、SM-3ブロック2Aの技術的理由からではありません。

     

    イージス・アショアの対地攻撃能力は?

    イージス・アショアのランチャーはタイコンデロガ級やアーレイ・バーク級イージス艦と同じMk 41VLSですので、対地巡航ミサイル「トマホーク」が収まります。イラクやシリアを攻撃したあのトマホークです。北朝鮮に対する敵基地攻撃論が沸き起こっている中でのイージス・アショア導入となれば、当然敵も味方も第三者も日本が対地攻撃能力を保有することに踏み切った、と考えるかもしれません

    しかし、同じイージスBMDでもソフトウェアにさまざまなバージョンがあり、"イージス・アショアのベースライン9Eは巡洋艦・駆逐艦とはソフトウェア、火器管制ハードウェアなどが異なり、対地攻撃はできない"(大西洋評議会におけるブライアン・マケオン筆頭国防副次官代行(政策)の
    インタビュー)とのことです。これは、米国がINF条約を順守する姿勢をロシアに示し、EPAAに反発するロシアを説得するために必要な措置であるようです。

    ベースラインの書き換えによって対地攻撃は可能になるでしょうが、日本の場合もルーマニア、ポーランドと同じ仕様で対地攻撃できないイージス・アショアを導入すると思われます。とはいえ騒ぐ勢力はどのサイドにも現れそうです。

    迎撃面での拡張性としては、SM-6が発射でき、
    NIFC-CAが運用できるようになると面白いかな、と思いますが、、、。
     
    ◇ ◇ ◇

    EPAAのフェイズ3が計画通りに進むと、2018年には海上発射型ブロック2AがイージスBMD5.1システム搭載艦に、陸上発射型がポーランドのイージス・アショアに配備される計画です。海上自衛隊のブロック1Aも2021年にはブロック2Aに更新予定です。

    イージス・アショアを含めたEPAA全体の今後の課題としては、レーダーの能力向上、費用問題、大気圏外迎撃体(EKV)の開発ペースといった点がGAO(会計検査院)やDSB(国防科学委員会)などから指摘されています。また、ミサイル防衛局は、ミサイル弾頭とデコイ(おとり)の識別能力が将来の技術的なハードルになるという認識を持っています。ただ、「将来の」と表現したとおり、現在の "ならずもの国家" による弾道ミサイル脅威に対しては十分な能力があるというのが、MDAやGAOの大筋で一致している見解です。

     

    日本全土及び北朝鮮と中国主要部をカバーできる!

     


    株式日記と経済展望ブログより(私のコメント)

    北朝鮮問題は、なかなか不可解な面を持っており、一種のヤラセみたいなものを感じます。アメリカも中国もその気になれば北朝鮮をいつでも潰せるのに、潰さずに生かさず殺さずで来ている。狙いとしてはMD開発予算を獲得するためであり、NATO諸国や日本に買わせることで採算を取ろうというのでしょう。

    イランや北朝鮮は「悪役」として十分な働きをしていますが、アメリカの本当の敵はロシアであり中国だ。MDは防衛的な兵器であり、非常に高価であり開発費もべらぼうにかかる。日本にとっては核武装するのが一番手っ取り早い防衛手段ですが、一番安上がりな防衛手段になる。北朝鮮が核武装したのも一番安上がりだからだ。

    アメリカは北朝鮮の核武装やミサイル開発を放置しているのは、防衛予算獲得のためだ。ミサイル防衛システムは非常に開発に金がかかるものであり、ロシアや中国ではまだ無理だろう。何しろマッハ15で飛ぶミサイルを打ち落とすのだから、非常に優れたレーダーシステムと迎撃用ミサイルを開発しなければならない。その根幹をなすのがコンピューターソフトであり、実験を重ねないとできない。

    ミサイルや核弾頭などはそれほど金をかけずに開発ができる。北朝鮮でも出来るくらいだから、多くの国は核武装もミサイル開発も可能だろう。問題はミサイル迎撃システムであり、それが出来るのはアメリカと日本くらいだろう。ロシアには金がなく中国には技術がない。

    私自身は防衛評論家ではなく、軍事オタクでもないので最先端の防衛技術についてはよくわからない。中東での戦争がなかなか終わらないのは、ロシアやアメリカにとっての格好の新兵器の開発現場だからであり、報道されないだけでいろんな新兵器が試されている。兵器は実戦で使ってみないことには価値がわからない。

    イージス艦にしても、大型の護衛艦程度の知識しかありませんでしたが、ミサイル迎撃システムをまるごと載せたものであり、それをさらに改良して陸上でも使えるようにしたイージス・アショアはTHAADよりも高性能らしい。一隻のイージス艦で日本全土が防衛できるほどのものであり、二ヶ所に設置すれば日本のみならず中国主要部も射程圏内に入るようだ。

    中国にしてみれば、北朝鮮が核やミサイルでアメリカを刺激するので、アメリカが本格的な迎撃ミサイルシステムを開発してしまう。これが完成して日本がこれを実戦配備されると中国は打つ手がなくなってしまう。日本は二重三重のミサイル防衛網を配備して、飽和攻撃に対しても飽和防御されれば意味がない。

    「株式日記」でも以前にレールガンを紹介しましたが、レールガンはミサイルではなく超高速砲弾であり200キロ先のミサイルを迎撃できる。砲弾だからミサイルに比べれば安価であり数百発の砲弾を短時間に発射できる。これではミサイルの飽和攻撃もお手上げだろう。

    ミサイルが単発小銃ならレールガンは機関銃のようなものであり、火薬を使わない電磁砲だから完成すればミサイルよりもコストも安い。プラズマやレーザー兵器はまさに未来の兵器ですが、アメリカは実用化を目指していますが、これが完成すればミサイル攻撃は無用の長物になる。しかし非常に電気を食うので原子力発電でないと対処できない。

    韓国へのTHAAD配備を中国が嫌うのは、MDの威力を中国は認識しているからだろう。せっかく韓国や日本に対する中距離ミサイルを開発して配備してきたのに無力化する恐れがある。もしミサイルが全部撃ち落とされて日本から反撃されたら最悪の事態になる。中国は南シナ海の岩礁を埋め立てて軍事基地を建設していますが、最新の軍事技術から見ればあまり意味がないのだろう。防御手段がないからだ。

    posted by: samu | 頑張れ日本 | 21:59 | - | - | - | - |
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