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書評『日本人にリベラリズムは必要ない』(KKベストセラーズ)田中英道
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    書評/宮崎正弘/

     

    平明に、しかし強烈な田中版の「反革命宣言」 リベラリズムを根源的に徹底的に批判した爆弾

     

    本書は痛快極まりない、壮烈な風のような読み物である。「リベラリズムの悪」を根底から暴き、的確に批判しているからだ。
    リベラリズムの残党がまだ日本にいることは嘆かわしいが、だからといって寛容であるわけにはいかない。この悪を日本から追い出そうとする意味で、本書は田中英道版の「反革命宣言」だ。
    しかも難解な語彙、晦渋な表現を一切はぶいてやさしく論じられているから、高校生でも理解できる内容である。。
    そもそも日本の哲学、思想は世界的に高いレベルにあった。文学、音楽、芸術、絵画においても、むしろ西洋人が模倣したのだ。江戸の春画、美人画に衝撃を受けてゴッホもゴーギャンも模倣から入った。「源氏物語」は世界初の恋愛小説、三島は世界的文豪だ。
    日本人が忘れていた伊藤若沖を発見し、戦後その作品を大量に収集していたのはアメリカ人の富豪だった。独特で伝統的な日本美の価値を西洋のほうが見いだしたのだ。
    日本刀の芸術をひそかに尊敬して戦後のどさくさに買い集めたのは欧米人。そういえば幕末に日本からメキシコ銀と等価交換などと詐欺の手口で大量の小判を持って行ったのはアメリカ人だった。
    戦後、左翼が意図的に否定した人々に音楽家の信時潔、画家の藤田嗣治、作家の中河與一、文芸家の保田輿重郎、ジャーナリストの徳富蘇峰らがいる。同時に左翼リベラルは福沢諭吉を意図的な誤解で評価し(近代化の祖などと持ち上げたが、福沢はナショナリトであり『文明論之概略』は自衛、軍隊強化を説いているのである)、原節子は、周囲の左翼が馬鹿に見えて映画にでることを辞めた。保田は奈良の故郷に引き籠もり、長く沈黙した。いま保田は全集がでたうえ、個々の作品は文庫版となって広く読まれ始めた。
    田中氏は言う。
    「西欧の思想を有りがたがるな」「マルクスやフロイトやフランクフルト学派にコンプレックスを抱くのは馬鹿である。
    そもそもリベラルとは『破壊思想』なのだ。
    それが分からないからグローバリズムを受け入れ、日本の経済金融政策はリベラル左翼の本質を隠した『新自由主義』とかの面妖な理論がまかり通る。悪質で詐欺的で他人をたぶらかす、国家を破壊するのがリベラリズムである。
    日本に本当のインテリが少ないのは、リベラリズムへの譲歩をしているからで、そんな必要はないのだ。
    そしてリベラルと訣別する時代がやってきた。
    米国にトランプ大統領が出現した。日本でも安倍首相がいる。延時潔の「海道東征」が大阪で東京で演奏会を開くと超満員の人出が見られるようになってきた。藤田嗣治への評価は熱風のごとし。
    正常に正統に復帰しようとする風潮がようやく本格化してきたのは心強い。
    田中氏は最後に、このトランプの出現を単なる「現象」とは捉えず、本流の流れと見る。
    「トランプ大統領はそうした少数派インテリの批判に動ぜず、本当の社会の現実を知っている者たちに語り始めた」
    それがともすれば粗野に見えても「大多数の国民にはわかりやすい」。
    だから左翼メディアやリベラルは論客らがトランプをポピュリズムと呼んで、侮蔑・軽蔑したが、トランプを「攻撃する彼らこそ、今は少数派インテリというただの『反対勢力』になっていることを知らない」のである。

    posted by: samu | 書評 | 10:55 | - | - | - | - |
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