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書評/『世界が地獄を見る時』(ビジネス社)門田隆将 vs 石平
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    宮崎正弘/書評
    日本は米国と電撃的に台湾を国家承認せよ
    トランプは本気で中国に経済戦争を仕掛けると予測する

    意外な顔合わせ、しかも熾烈なボキャブラリーを駆使しての激突対談。つぎつぎと機関銃の連射のように発射される「門田砲」に対して「石砲」は爆発的火力で応酬する。
    連続パンチ、アッパーカットのあとの結論がまた素晴らしい。
    日本と米国は一緒になって台湾を電撃的に外交承認せよ、と外務省が聞いたら腰を抜かすような提言で締めくくられている。
    むろん北京は青筋立てておこり台湾にミサイルを撃ち込むだろうが、本書の副題が「日米台の連携で中華帝国を撃て」だから、さもありなん。

    さて、戦後の「世界秩序」を白昼堂々と無視して強盗のように、傍若無人にふるまう習近平の中国だが、その行動原理の基礎にあるのは華夷秩序、中華思想という、中国人以外には絶対に理解できない思い上がった意識がある。
    結局、いまの国際秩序なるものは中国人から言えば西洋列強の帝国主義の結果であるとしか認識していないことである。
    中国を最初に侵略したのは大英帝国。そして「最後にきた大日本帝国は、力で華夷秩序に致命的な一撃を与え、完全に崩壊させてしまった。そして、ようやく大日本帝国が沈んだと思ったら、こんどは米国の帝国主義がアジアで幅を利かせ、アジアの覇権を握った」とする石平氏は、この認識から中国は力への信仰が進んだと総括する。
    「中国がこれからやることは、近代以降、西欧列強帝国主義によって、西洋あるいは米国から押しつけられた秩序を破壊するのは、むしろ正義であり、当然である、ということになります。つまり、これを破壊したうえで、中国本来の意味での理想的な秩序を取りもどす。経済の意味に於いても、政治の意味に於いても、もう一度、華夷秩序を作り上げるのが、中国の歩むべき道だ」
    という単純で短絡的で、原始的な発想に繋がる。元中国人の石平氏だからこそ断定できる中国のパラノイア発想の源泉だ。

    しかしながら門田氏は、そうして時代錯誤の中国を次のように論駁する。
    「列強の帝国主義時代が終わりを告げたことを受けて、世界は戦後の国際秩序の構築を目指しました。東西冷戦がありながれも、基本的には力による現状変更、要するに領地や了解を奪い合いにいく『侵略』は許されない土壌が出来た。ところが、あろうことか、国連常任理事国の中国が、二十一世紀を迎えて、おおっぴらに現状変更に乗り出してきた。それが許されると思っているところが驚き」であるという。
    そして門田氏は、こう続ける。
    「華夷秩序を主張する神経は、ほかのどの国にも理解されません。中国にかかれば、人類の英知とも言える国際司法裁判所の判断や海洋法の条文も『紙くず』に過ぎません。俺たちは力をつけたのだから、そんなものには従わない、と平気で踏みにじる。しかも、そうした見解を中国の殆どの人がもっています」
    この現実は驚異的な時代錯誤だが、中国人は気にしている気配がない。

    石平氏は、この背景に流れる、もうひとつの中国人の危機意識に「生存空間」があるという。
    つまり「民族が生存していく上で、ひとつの空間が必要である、それは国土、水、空気、海など全部含めての『生存空間』というものです。エリート達はいまの中国は生存空間の危機に陥っていると思っています。人口の膨張により、中国の伝統的な国土だけでは、いまの中国人民を養うのは物理的に不可能だと捉えている」からだと、ちょっと日本人の発想にはない、見えない理由を付け加える。

    ○◎○ □▽◎ ○◎○
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    宮崎正弘/書評
    いま西側社会を揺らす難題は、難民をいかに扱うかである。
    クルド族もロヒンギャもすでに日本に這入り込んでコミュニティを形成


    大家重夫『シリア難民とインドシナ難民』(青山社)
    @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

    シリア難民が世界を揺らしている。
    シリアからトルコ経由で地中海へ漕ぎ出したボロ船には、定員オーバーの難民が公海上で救助を求める。国際法にもとづき、近くの船は救助に向かわなければならず、そうやって助かった人々はギリシア領や、イタリアに帰属する島々にいったん収容される。
    しかし悪質な密輸業者に騙されたり、航海中に嵐に遭遇して海の藻屑ときえた犠牲者の数も夥しい。
    数百万とも見積もられる難民がシェンゲン協定の穴を狙って、西欧を目指し、最終的にはドイツへ這入り込もうとする。
    このためメルケル政権は人気急落。ネオナチ、ドイツのための選択肢が台頭し、ドイツ社会はガタガタになった。
    あたかもゲルマンの大移動、欧州政治が根底から揺らぎ、ドイツでフランスでオランダで、ナショナリズム運動が勃興し、英国はEUから脱出し、いずれEU解体、ユーロ崩壊という近未来が展望されるまでに暗いシナリオが提示された。
    さて、この難民問題、日本も例外ではないのである。
    埼玉県蕨市。クルド族の難民集落ができて、ワラビスタンと言われているという。その数二千人。いやはや、知らなかった。日本は何時の間に、この厄介なクルド族を難民認定したのか?
    ミャンマーを追われたロビンギャ。日本が期待して祭り上げたスーチー政権も、このロヒンギャ弾圧という政策には変わりがない。
    スーチー政権をヒューマニズムに溢れると言ったのは誰だ?
    このロヒンギャ族が、230人、すでに日本に上陸し、しかもこのうちの200名が群馬県舘林市でコミュニティを形成しているという。
    この話も知らなかった。
    嘗てベトナムから大量のボートピーポルが輩出し、日本も米国の圧力に根負けして、数千名を受け入れ、大村の収容所に保護した。このうち日本への定住を望んだのは少数で、大概はフランスへ出て行った。
    「ボートピーポル」なんて名ばかりで、殆どがベトナム華僑だった。
    フランス植民地時代に支配者に追従し、ベトナム人を弾圧してきた層であり、ベトナム人から恨まれていた。
    ベトナム戦争で米軍が負けたとき、米軍傀儡政権側の人々は、とうに米国へ亡命していた。
    あまつさえボートピーポルを偽装した中国人が大量に紛れ込んだが、日本の当時の取り締まり側にはベトナム語と広東語の区別が出来なかった。
    「結局、偽装難民の上陸者は、平成元年か五月から平成二年四月末までに23隻の船舶で、2830人にのぼった」(136p)のである。
    偽装の嘘がばれるに手間取ったが、究極には「強制送還」した。
    本書は、こうした難民問題の基本を考えるテキストでもあり「入国管理および難民認定法」「国籍法」「外国人登録法」など法律、これらの判例。そして国際条約の「難民条約」「地位議定書」などが一連掲載されている。

    日本は難民に冷たいという国際非難がある。
    冗談だろうとおもいきや、国連でも批判され、80年代に米国の『難民大使』だったダグラス氏と評者(宮崎)も米国で会ったことがあるが、『日本は人道上、もっと難民を受け入れるべきである』と非難めいた口調だったので反論した。
    「日本は朝鮮半島から二百万。中国から百万の難民を受け入れてきた。合計300万人の、いわゆる難民は日本各地にコミュニテイィを形成し、多くが日本社会に溶け込んでいる」。
    溶け込めないのは日本語を学ぼうとせず、単にカネ稼ぎにやってきて、当てが外れ犯罪行為に走る輩なのだと答えたことがある。
    本書は現場で難民対策に従事してきた筆者ならではの体験的実態報告と、これから日本はいかにしてこの難民対策にあたるべきか有益な提言をしている。
    とくに行政を一本化し『外国人庁』の設置が必要と説かれている。
    ほかにも上陸前の日本語教育、エンジニアの認定。亡命希望への対応など、礒がなければならない問題点が整理され、日本では稀有の提言書となっている。
     

    posted by: samu | 書評 | 18:12 | - | - | - | - |
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