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中朝首脳会談、「米韓同盟揺さぶり」で一致 金正恩ともトランプとも組める習近平/ 鈴置高史
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    中国軍が北朝鮮に侵攻

    米国や韓国が飲むのでしょうか。

    鈴置:北朝鮮が本当に核を放棄するなら、在韓米軍の撤収くらいは受け入れるかもしれません。米国では、経済力の伸長が著しい韓国に米国の陸空軍を配備しておく必要があるのかとの疑問が高まっています。

     ことにトランプ(Donald Trump)大統領は選挙戦の最中から「駐留経費をちゃんと支払わないのなら、韓国や日本から軍を撤収する」と主張しています(「トランプとオバマの間で惑う朴槿恵」参照)。

     韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も米軍撤収に反対しないと思われます。この政権は「米韓同盟こそが民族の内部対立の元凶だ」と考える左派の集団です(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」参照)。

     米国との同盟を破棄すべきだ、と堂々と主張する青瓦台(韓国大統領府)の高官も登場しました(「『米韓同盟破棄』を青瓦台高官が語り始めた」参照)。

     大状況から言えば、朝鮮半島の非核化――つまり、北朝鮮の核武装放棄と在韓米軍撤収の交換は十分に起こり得るのです。

    近未来小説『朝鮮半島201Z年』の展開ですね。

    鈴置:朝鮮半島を巡る各国の思惑と実力を組み合わせると、そういう予想になります。

     ただ現実には、本当に北朝鮮が核を放棄するか、信用できないから話が進まないのです。『朝鮮半島201Z年』でも人民解放軍が北朝鮮に侵攻し、実力で核を取り上げるという筋立てにしました。

    ワラにもすがる金正恩

    北朝鮮が核の放棄を約束しても誰も信じない……。

    鈴置これまで何度も騙してきましたからね。そこで今度は中国の保証を取り付けて米朝首脳会談に臨む作戦でしょう。

     トランプ大統領に「核武装を放棄しろ」と言われれば「そうする」と金正恩委員長は答える。横からボルトン(John Bolton)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が「証拠を見せろ」と迫れば「核関連施設に中国の査察を受け入れる。中国なら信用できるだろう」と言い返す。

    トランプ政権はそれで納得するでしょうか。

    鈴置:納得しないでしょうが、時間稼ぎにはなる。

    「時間稼ぎ」を許すでしょうか、米国は。

    鈴置:新たに大統領補佐官に就任したボルトン氏も、国務長官に指名されたポンペオ(Mike Pompeo)氏も北朝鮮の手口は知りつくしています。容易には騙されないでしょう。

     そもそも北朝鮮が時間稼ぎに利用してきた6カ国協議も、中国が主導しました。中国も「時間稼ぎ」の共犯者なのです。

     中国を巻き込んだ「朝鮮半島の非核化」で米国を騙せるとの自信は北朝鮮にもないでしょう。軍事的な圧迫と経済制裁が強化される中で、最後のカードを切ったということと思います。ワラにもすがる気持ちで。

    メンツを保った習近平

    中国は米国が「時間稼ぎするな」と怒り出してもいいのでしょうか。

    鈴置:別段、中国は困らないでしょう。北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」で共闘してくれ、と頼んできたからそれを受け入れた。金正恩が頭を下げてきたのですから、まずは自分のメンツも保てた。

     前回紹介した「Global Times」の記事が指摘したように、中国は外交ゲームで外されたと見なされていた。それが突然、すべての動きの黒幕であるかのように振る舞えるようになったのです。

     米国が「時間稼ぎ」に怒り出しても中国に損はない。米国は北朝鮮を先制攻撃するか、あるいは金正恩暗殺を実行するでしょう。ただ、北朝鮮に地上軍を本格的に派遣するつもりはない。

     中国は米国の攻撃・暗殺後に人民解放軍を北朝鮮に派遣し、核施設を破壊すればよいのです。米国に協力するわけです。ついでに北朝鮮に傀儡政権を押し立てる。

     さらには韓国をも手に入れることが可能です。韓国の左派政権は「北朝鮮の核の脅威がなくなったのだから米国との同盟はもう不要だ」と言い出すでしょう。

     米国もそれを期に半島から兵を引く可能性が高い。米軍を失った韓国は、今以上に中国の言いなりになるのは確実です

    トランプも「韓国は中国の一部」

     トランプ大統領は、中国が韓国を自らの勢力圏に組み込むことを暗に認めています(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。

     2017年4月の習近平主席との会談後、WSJに「彼(習近平主席)は中韓の歴史に話を進めた。北朝鮮だけではなく朝鮮半島全体についてだ。数千年の間……多くの戦争があった。そして韓国は事実上、中国の一部であったのだ」と語っています。原文は以下です。

    • He then went into the history of China and Korea. Not North Korea, Korea. And you know, you're talking about thousands of years …and many wars. And Korea actually used to be a part of China.

     「中国が北朝鮮の非核化に協力するなら、引き換えに韓国を渡す」という習近平主席との約束を、メディアを通じて担保したと受け止められました。

     中国はどちらに転んでもいいのです。米朝が野合しない限りは。北朝鮮と組んで米国を騙せるなら、在韓米軍の撤収を実現できる。騙すことに失敗したら、今度は実力で北朝鮮の非核化に協力すればいい。やはり在韓米軍の撤収を実現できる。

     どう転ぼうが北も南も――朝鮮半島全体が中国の傘下に入ることを期待できるのです。



    株式日記と経済展望ブログより

    朝鮮半島の問題は非常に厄介な問題であり、歴史的に見れば朝鮮半島は南端部を除けば中国の一部であり、中国は緩衝地帯として朝鮮半島を属国として扱ってきた。アメリカも、中国やロシアとの防波堤として日本を属国化していますが、アメリカと日本との間には広大な太平洋があり、日本から米軍を追い出せばアメリカは太平洋を失うことになる。

    それに比べると在韓米軍は、韓国から撤退してもさほどの痛手は受けない。当初から韓国はアチソンラインの外側にあり、韓国はどうでもいい土地なのだ。だからムンジェイン政権の登場は、在韓米軍撤退のきっかけになるかもしれない。在韓米軍が撤退すれば韓国は自動的に北朝鮮に併合されることになるだろう。

    それを一番望んでいるのは中国であり、だから中国やロシアは北朝鮮に対して、第三国を通じてミサイル技術や核爆弾技術などを提供しているのだろう。北朝鮮のICBMのエンジンの技術は明らかにロシアのものであり、移動式ミサイルの発射台のトレーラーは中国のものだ。

    中国やロシアにとっては在韓米軍がいなくなれば、朝鮮半島がまるごと手に入るのだから北朝鮮をバックアップするのが当然だ。今から思えばアメリカが朝鮮戦争をする必要があったのかと思うのですが、ロシアのスターリンにすればアメリカがまさか反撃してくるとは思わなかったのだろう。

    朝鮮半島は地政学的には中国のものであり、早かれ遅かれ韓国は中国のものになって行くだろう。ただし例外的に日本が強大化した場合には朝鮮半島や中国東北部は影響を受ける。このように見れば北朝鮮がやりたい放題できるのは日本が無力化しているからであり、日本が強国に再びなれば朝鮮半島は日本の影響下に置かれるだろう。

    長期的戦略に立てば、アメリカは日本から朝鮮半島と台湾を取り上げて独立させましたが、朝鮮と台湾は独立させても緩やかな日本連邦として存続させるべきであった。そうすればアメリカにとって中国とロシアの太平洋進出は防げることになり、軍事費はそれだけ浮かせることができる。

    大西洋においても、アメリカにとってはイギリスを抑えておけばロシアの大西洋進出は抑えられますが、イギリスが弱体化してしまうとそれが難しくなる。アメリカとしては中国とロシアの台頭は驚異であり、アメリカ単体では単独では防ぎきれなくなっている。

    キッシンジャーあたりは、中国と組めばアメリカは安泰という戦略を取りましたが、中国は明らかにアメリカに敵対しようとしている。最近の北朝鮮問題でもそのことが伺えますが、中国はアメリカを騙してきたのだ。それが端的に現れたのがAIIB加盟問題でありアメリカに従った国は日本だけになってしまった。英国もアメリカを裏切った。

    孤立しているのはアメリカ外交であり、それがトランプ政権を生んだ背景になっている。アメリカはキッシンジャーの戦略に従って中国とは融和的にやってきましたが、それがアメリカ外交の孤立化を招いている。EUはドイツを中心にしてアメリカとは一線を画して来るようになった。だからアメリカは北朝鮮にも馬鹿にされるような国になってしまった。

    posted by: samu | 政治認識/中国韓国 | 11:51 | - | - | - | - |