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「議論の本位」定め大事を論ぜよ/渡辺利夫
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    維新が成って間もない明治4年、新政府は岩倉具視を特命全権大使、木戸孝允、大久保利通、伊藤博文などを副使とする総勢107人の「岩倉使節団」を欧米に派した。維新政府の要人中の要人が実に1年9カ月をかけて米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、その他全12カ国を訪問し、スエズ運河、インド洋、マラッカ海峡を抜けて帰国した。新政府そのものがユーラシア大陸を長駆一巡したかのごとき壮図であった。

     文明を「体得」した岩倉使節団

     後に維新三傑といわれた大久保、木戸、西郷隆盛のうち、日本に残ったのは西郷のみであった。西郷の傑出した存在感に期待しての出帆だったのであろう。実際、西郷なくして廃藩置県が成功したとは思えない。西郷は薩摩、長州、土佐3藩の藩兵を解き、これを新政府直属の御親兵として組織、その頂点にいた。西郷は信望と人物の器の大きさを備えた最高権力者であった。政府は西郷に「留守政府」を任せ、西郷もその任に辛うじて耐えた。

    しかし、使節団の派遣はある種の「政治的ギャンブル」であった。使節団の出航は明治4年11月、同年7月に断行された廃藩置県により幕藩体制というアンシャンレジームが廃絶され、家禄と地位を失った旧武士は各地で新政府に反抗の刃を研いでいた。この時期、旧武士の新政府に対する憤懣(ふんまん)は一触即発の域に達していた。実際、使節団の帰国後、不平士族により、明治7年には佐賀の乱、明治9年には神風連の乱、秋月の乱、明治10年には西南戦争が勃発している。いずれも廃藩置県が誘った既得権益者層による不満の暴発であった。

     改めて、なぜ新政府はこのように大きなリスクを賭してなお使節団を派遣したのか。維新が成ったとはいえ、新政府には国づくりの方法論がない。文明国に抗するには、文明化に邁進(まいしん)し自ら文明国とならねばならないが、そもそも文明国とはいかなる存在か、文明国の文明国たる所以(ゆえん)を指導者自身が「体得」するより他に手段はなかったのであろう。

    近代化遂行し世界に並ぶ国家に

     幕末に強圧的に結ばされた不平等条約の撤回を求めることも、使節団の目的であった。しかし、最初の訪問国の米国で不平等条約改正は時期尚早であることに早くも気づかされる。条約改正には、国内統治をまっとうする法制度の拡充、生産力と軍事力の増強が不可欠である。欧米列強と対等な文明国にならなければ、条約改正は困難だと悟らされたのである。

     大陸横断鉄道、造船所、紡績工場、水道、博物館、図書館、ガス灯、ホテル…総じて産業発展の重要性を悟らされ、さらには共和制、立憲君主制、徴兵制、議会制度、政党政治など、ありとあらゆる文明の諸側面について学び、これが久米邦武の膨大にして精細な『米欧回覧実記』に記された。

    この使節団の実感を一言でいえば、文明国のもつ文明の圧倒的な力であったといっていい。その後の富国強兵・殖産興業政策が、さらには憲法と議会制度が次々とあきれるほどの速さで実現されていったのには、使節団の体得した知恵があったからだといっても過言ではなかろう。明治前半期の富国強兵・殖産興業、すなわち軍事、鉄道、電信、鉱山、造船など近代産業の育成政策の遂行には躊躇(ちゅうちょ)というものがなかった。

     明治27年の日清戦争、明治37年の日露戦争、新政府が生まれてそれほど経過していないこの時期に、清国、ロシアという往時の世界の大国に勝利するまでの力量を日本は身につけたのである。岩倉使節団の派遣という冒険主義的な意思と行動の意味を、私どもはもう一度真剣に見つめなければなるまい。

    「事の軽重」を見誤ってはならぬ

     東アジアの地域秩序が大変動期に入った。朝鮮半島情勢の帰趨(きすう)によっては日本が存亡の縁(ふち)に立たされる危険性がある。「小事」に淫(いん)する国会議論、ジャーナリズムの大衆迎合が日本の「大事」を失することにはならないか。

     福澤諭吉の信念は「西力東漸」の帝国主義時代にあって日本が亡国を免れるには、文明開化以外に道なし、であった。いかにすれば日本の文明開化は可能か。3度の洋行での知見と数多くの欧米文献を渉猟して執筆された福澤畢生の大作が『文明論之概略』である。第1章が「議論の本位を定る事」であり、その文頭にこうある。

     「軽重、長短、善悪、是非等の字は相対したる考より生じたるものなり。軽あらざれば重あるべからず、善あらざれば悪あるべからず。故に軽とは重よりも軽し、善とは悪よりも善しと云うことにて、此(これ)と彼と相対せざれば軽重善悪を論ずべからず。斯の如く相対して重と定り善と定りたるものを議論の本位と名(なづ)く。…都(すべ)て事物を詮索するには枝末(しまつ)を払てその本源に遡(さかのぼ)り、止(とどま)る所の本位を求めざるべからず。斯の如くすれば議論の箇条は次第に減じてその本位は益(ますます)確実なるべし」

     国人よ、現下日本の「議論の本位」を見誤ることなかれ。(拓殖大学学事顧問・ 渡辺利夫 わたなべとしお)

    posted by: samu | 政治認識 | 17:52 | - | - | - | - |
    「 お家騒動の真っ只中にある文藝春秋 論壇の中心を形成する日はくるだろうか 」櫻井よしこ
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      『週刊ダイヤモンド』 2018年6月9日号
      新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1234
       

      月刊「文藝春秋」は「中央公論」と共に輝くような雑誌だった。物書きを目指す者たちが、その両方に毎月でも記事を書きたい、書かせてもらえる力量を身につけたいと願っていたはずだ。

      私はいま、物書きの端くれに連なっているが、私の物書き人生は文藝春秋から始まっている。初めて記事を載せてもらったのは34年前の1984年だった。「微生物蛋白について」という記事である。それ以前、私は英語で海外新聞用に記事を書いていたため、微生物蛋白の報告は日本語で書く最初の大型記事だった。

      微生物蛋白は元々、日本の技術で生まれ、海外で家畜の飼料として本格的に生産されていた。だが、日本では「石油蛋白」として報道されたために、印象も評判も悪く、各方面で集中砲火を浴び製品化には至らなかった。

      なぜ、この記事を書いたのかといえば、当時私は米ボストンを本拠地とする月刊新聞の仕事をしており、その編集会議がルーマニアで開かれた。チャウシェスク専制政治の下にある社会主義国に初めて行くのであれば、何かこの国について記事を書こうと考え調査したら、日本と社会主義国間の合弁事業の第一号がルーマニアにあった。それがこの微生物蛋白だったのだ。

      結論からいえば、先述のように日本発の技術はルーマニアでは活かされていたが、日本では潰された。潰したのは、「朝日新聞」だった。松井やより氏の記事を発端として、反微生物蛋白のキャンペーンが展開されたのだ。

      私は日本での取材に加えてルーマニアの現地取材を行い、当時シンガポールの特派員になっていた松井氏にも電話で話を聞いた。幅広く網をかけ、読み込んだ資料は大きな山となっていた。

      それらを元に私は80枚の原稿を書いた。文藝春秋の当時の編集長は岡崎満義氏だ。彼は原稿をバッサバサと切り60枚に縮めた。赤の入った原稿を、私はまじまじと読んだものだ。あの詳細もこの描写も切られている。この情報はとても苦労して確認したのに、跡形もなく消されている……。

      しかし、ゲラになった文章を読んで深く反省した。スラスラと読める。読み易くなっている。全体の4分の1が削除されたが、言いたいことは見事に全部入っている。私の文章が下手だっただけのことなのだ。

      大いに反省した後、題について納得できない言葉があった。「朝日新聞が抹殺した“微生物蛋白”」という題の、「抹殺」は強すぎると言って、私は抗議した。

      だが、編集長は「その言葉がこの記事の本質なんだ」と言って譲らない。私は編集長を説得できずに引き下がったのである。

      その後、堤堯氏など名編集長と呼ばれた多くの編集者に多くのことを教えてもらって、私は今日に至る。文藝春秋という媒体と、そこで知り合った編集者諸氏はいわば本当の友人だ。

      その文藝春秋がお家騒動の真っ只中だ。現社長は松井清人氏で、6月に退任するらしい。松井氏が後任に選んだ社長はじめ役員に対して、文藝春秋の幹部たちが異を唱えている。

      人間関係の詳細については、私より詳しい人に任せたい。ただ松井氏に対する批判が社内にあるのは当然だと思う。松井氏の下で文藝春秋はかつての大らかな総合雑誌であることをやめ、イデオロギー色の強いつまらない雑誌になってしまったからだ。

      このところどの号を見ても反安倍政権を謳う記事ばかりだ。安倍晋三氏を「極右の塊」と呼んで「打倒安倍政権」を目指すと、会合でのスピーチで語ったのも松井氏だ。文藝春秋が左右の論客を大らかに抱えて日本の論壇の中心を形成する日はくるのだろうか。6月末に文藝春秋の株主総会が開かれる。そのとき彼らは新しい出発点に立てるのだろうか。

      posted by: samu | 政治認識 | 15:29 | - | - | - | - |
      解散「あすの会」が闘い続けた“真の敵”/門田隆将
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        私は、昨日6月3日午後1時過ぎから始まった会の一角に座りながら、さまざまな感慨に捉われていた。「あすの会」の解散式(第16回全国犯罪被害者の会=あすの会=最終大会)である。

        東京千代田区九段北にあるアルカディア市ヶ谷3階「富士の間」には、上川陽子法相をはじめ、被害者の会のメンバーや一般支援者、そして報道関係者など、数百人が詰めかけていた。

        会の冒頭、挨拶に立った上川法相は、自ら「犯罪被害者等基本法」の成立に東奔西走した政治家である。上川法相は、ひとことも言葉を発することができない犯罪被害者のためにいかに「あすの会」が凄まじい闘いを展開したか、そして夫人を犯罪で喪った「あすの会」顧問・岡村勲弁護士の功績がいかに大きかったかを語った。

        その岡村勲顧問も挨拶に立ち、この18年間の活動に対する万感胸に迫る思いと共に「あすの会が解散しても被害者問題は終わったわけではない。では、今後は誰が担うのか。それは国であり、国民である」と会場全体に語りかけた。

        母親を惨殺されて遺体をバラバラにされ、今も身体の一部しか見つかっていない被害者遺族の女性が「私たち娘は、人間不信に陥り、引きこもりになりました。しかし、(あすの会が創設に努力した)被害者参加制度で救われました」と感謝を述べるなど、登壇した犯罪被害者ご遺族は、あすの会と岡村弁護士への感謝を述べていった。

        スピーチを聴きながら、私は今から18年前、この会が発足した時のことを思い出していた。当時、私は、現役の週刊新潮デスクだった。この会ができた時、世の中は「加害者の人権」が“すべて”であり、被害者の権利など“皆無”で、法廷においても遺族の被害感情をわかってもらうだけの単なる「証拠物」としてしか扱われていなかった。

        すなわち被害者や遺族は“石ころ同然”だったのである。しかし、この会が発足してから、世の中は猛然と変わっていった。司法の世界だけではない。「世の中」自体が変わっていったのだ。

        専門的な司法の分野で言えば、前述の「犯罪被害者等基本法」の成立をはじめとして、犯罪被害者のさまざまな権利や公訴時効の撤廃など、多くの制度を勝ち取っていった。だが、この会が存在した「意義」はそれだけにはとどまらなかった。

        マスコミに巣食うエセ・ヒューマニズム、すなわち「偽善」と真っ正面から闘い、そして、それに「勝った」ことである。朝日新聞をはじめとする偽善メディアにとってもまた、当時、人権といえば「加害者の権利」にほかならなかったからだ。

        朝日新聞紙面に連載され、書籍化もされた神戸・酒鬼薔薇事件の『暗い森』が代表的だった。彼らにとっては、人権とは加害者である「酒鬼薔薇聖斗」のものであり、殺された土師淳くん(当時11歳)や、その家族のためのものではなかった。

        週刊新潮は、淳くんのお父さんである土師守さんの告白手記を掲載し、加害者の権利を過剰に擁護することを「人権」と勘違いしている本末転倒した幼稚なジャーナリズムと闘った。

        光市母子殺害事件が起こってからは、遺族の本村洋さんが犯人の少年を「実名告発」した手記も掲載し、「真の人権とは何か」を世に問うた。

        全国犯罪被害者の会(のちの「あすの会」)が発足したのは、そんなさなかのことだった。飯田橋の駅に隣接して建つビルの一室でおこなわれた発足の時のシーンは、今も忘れられない。

        「犯罪被害者は訴える」と題されたこの発足式でスピーチに立ったのは、まだ23歳に過ぎない光市母子殺害事件の遺族・本村洋さんだった。本村さんは殺された妻・弥生さんと娘・夕夏ちゃん(生後11か月)の遺影を法廷に持って入ろうとして拒絶され騒動になるなど、真の正義を見失った司法に絶望していた。

        本村さんは、妻子が遭った事件の悲惨さ、裁判で遺影の持ち込みを拒否された時の屈辱、亡き妻と子への思い……等を滔々と語った。会場は、静まり返り、涙する参加者が相次いだ。

        そして、本村さんはスピーチをこう締めくくった。「裁判は加害者に刑罰を与えるだけの場ではありません。被害者が立ち直るためのきっかけとなる場でもあります。われわれの存在を忘れないでほしい。われわれを裁判から遠ざけないでください」と。

        毅然とした本村さんの態度に出席者だけでなく、報道陣も心から感動した。私自身もそうである。本村さんや「あすの会」のその後の凄まじい闘いは、あらためて述べるまでもあるまい。

        こうして犯罪者だけが「人権」を享受していた時代が次第に崩れていった。私は、2003年には『裁判官が日本を滅ぼす』を、そして、2008年には本村洋さんの苦闘と彼を支えつづけた人々の姿を『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』という本にまとめさせてもらった。

        それは、単に「被害者の数」だけで量刑を決める形骸化した刑事裁判、すなわち官僚裁判官との闘いであり、加害者の利益を過剰に擁護することを「人権」だと勘違いした偽善ジャーナリズムとの闘いでもあったのである。

        いま真の正義を見失ったジャーナリズムが叩き落とされつつある最大の要因は、もちろん「インターネット」にある。しかし、2000年1月に発足したこの「あすの会」の闘いと、そして、もうひとつ、北朝鮮による拉致被害者を奪還する闘いを展開した「家族会」が果たした役割はとてつもなく大きかったと思う。

        あすの会が、そのひとつの役割を終えて、解散した。司会は、光市母子殺害事件遺族のその本村洋さんであり、会の議長を務めたのは假谷さん拉致事件の遺族・假谷実さんだった。

        先に書いたように私と出会った時の本村さんは、23歳の青年だった。18年後、本村さんは奇しくも、本村さんと出会った時の私の年齢と同じになった。「ああ、時が経ったなあ……」と思いながら、私は本村さんの司会を見守った。

        会が終わって私は、二次会・三次会と、あすの会のメンバーたちと遅くまでこの18年間の闘いについて話し合った。本村さんと土師さんにも「本当にお疲れさまでした」という言葉をかけさせてもらった。

        私は、時を一にして「北朝鮮拉致問題」が今、ラストチャンスを迎えていることにより感慨を深くしている。そして、正義はいつかは勝つのだ、と思う。

        司法だけでなく、日本のマスコミの「偽善ジャーナリズム」を敵にまわして闘い、正義を実現した人々に深く頭(こうべ)を垂れながら、私自身もその闘いを「今後も引き継がなければ」と誓わずにはいられなかった。

        posted by: samu | 政治認識 | 10:31 | - | - | - | - |
        拉致被疑者解放と慄然とする東アジアの情勢/西村眞吾
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          歴史は、過ぎ去った過去の日付けのところにあるのではなく、
          現在の我らと共にある。
          従って、過去を見ないことは、現在を見ないことである。
          それ故、先に、
          明治維新百五十年を祝いながら、
          明治の日本が遭遇した最大の国難と、それを克服した劇的な日、
          即ち、「陸軍記念日」と「海軍記念日」
          を意識しない明治維新百五十年は「空虚」だと書いた。

          何故、「空虚」なのか。
          その訳は、明治と現在は、切断されて別の国になっていると思っているからである。
          即ち、現在とは違う「明治という国家」があったと思っているので、
          明治に遭遇した国難は、「別の国の国難」だと無意識に思っている。
          これこそ、戦後教育の精華である。
          つまり、「日本国憲法」があるから現在は「明治とは別の国」になった。
          その結果、我が国の西に展開する国々も別の国つまり
          「平和を愛する諸国民」の国になっているという訳だ。

          しかし、言っておく。
          明治維新から、百五十年の円環を経て、改めて気付くことは、
          現在の我が国が遭遇している情勢は、
          明治の日本が遭遇した情勢と同じである。
          従って、現在の我が国も明治と同じように
          この情勢に取り組みこれを克服しなければならない運命にある。
          渡部昇一先生が、
          バルカン半島のことであったと思うが、
          一定の地域には、歴史上、同じことが繰り返し起こる、と書かれていた。
          我が国の西に、海を隔ててある地域、
          朝鮮半島とその背後の地域も歴史上同じことが起こる。

          そこで、改めて、明治に遭遇した我が国の西のユーラシア、
          つまり、北からロシア、朝鮮そして支那を見つめてみたい。
          そうすれば、古代ローマ以来の、
          「平和を望むならば、戦いに備えよ」
          という鉄則が現在も生きていることが分かる。

          <ロシア>
          ロシアは、モスクワの小さな土公国だったが
          織田信長と同年代のイワン雷帝の時代に版図を固め、
          以後我が国の徳川時代全期に渡って東に拡大し、
          一八五八年のアイグン条約と一八六〇年の北京条約によって、沿海州を獲得し、
          西のバルト海と東の日本海にまたがるユーラシア大陸の帝国となった。
          この東の海に出たロシアが、直ちに、沿海州に立って海を眺め、
          この太平洋に通じる海洋を支配するために両手を広げて掴もうとしたのが、
          北の樺太と南の対馬である。
          まずロシアは、一八五三年に樺太に上陸して日本人を追放して砲台を築いた。
          次に、北京条約の翌年の一八九六一年、
          太平洋への通路を確保するために
          対馬の浅茅湾芋崎にに軍艦ポサドニック号を侵入させ、兵舎を建設して半年間も駐留した。その間、抗議に来た対馬藩士二人を射殺した。
          このように、陸を制覇したロシアは直ちに海洋制覇に乗り出した。
          従って、明治維新後もロシアの圧力は減じることなく、
          我が国はロシアに樺太を奪われる(千島樺太交換条約)。
          次に、さらに、十九世紀後半から二十世紀にかけて
          沿海州の南の満州を奪い朝鮮半島を伺うロシアの対日姿勢は、
          次のような驚くべきものであった。
          防衛大学前教授の平間洋一氏の発掘したロシア側資料、
          ロシア海軍軍令部が作成した「露日海戦史」によれば、
          ロシアは、
          極東で絶対優位を確立せんとすれば須く日本を撃破し、
          日本の艦隊保持権を喪失せしめねばならない。
          さらに、
          対日戦争では、朝鮮半島の馬山浦を前進根拠地として、
          日本人を撃破するのみにては不十分で、
          更にこを撃滅しなければならない。
          との方針を明確にもっていた(同氏著「日露戦争が変えた世界史」)。
          そして、この飽くなき南下と東の海洋への進出という帝政ロシアの意図は、
          スターリンに受け継がれ、
          現在のプーチンに引き継がれている。
          つまり、我が国の意識は、
          第二次世界大戦前後で断絶しているが、ロシアに断絶はないのである。
          プーチンは、
          ゾビエト国家のメロディーに新しい歌詞をつけたロシア国歌を作った。
          それには、
          「おお、南の大海原から、北の大森林まで、
          これらすべて、ロシアの聖なる大地」
          とある。
          では、その「南の大海原」とは何処か。
          それは、日本周辺の海、西太平洋である。

          以上、ロシアの拡大の歴史を概観した訳は、
          ウラジーミル・ウラジーミロビッチ・プーチンが背負っている
          「ロシア」のスターリンと同じ覇権主義的衝動を理解すべきだからである。
          プーチンは、
          ソビエト共産党に対する反革命・テロ・サボタージュ取り締まりの為の国家機関である
          KGB(国家保安警察)で出世してのし上がり、
          この「ロシア」の覇権主義的衝動に基づいて
          四年前の三月八日にウクライナのクリミアを武力で併合したのだ。
          これによって、プーチンは、
          武力で国境線を変更させないという第二次世界大戦後の秩序を欧州において破り捨てた。
          それ故、欧州のバルト三国において、
          再びロシア軍が出現するということが現実味をもって語られている。

          では、このプーチンは、極東で何をしてきたのか。
          私の記憶するところでは、
          プーチンが朝鮮半島の韓国を訪問し、日露戦争において我が海軍が
          仁川沖でロシア軍艦ワリアークとコレーツを撃沈した仁川沖海戦のロシア軍の戦死者を
          日本の侵略による犠牲者として弔う慰霊碑を韓国と共同で仁川に建設し、
          更に韓国が北朝鮮からソウルまでの鉄道である京義線を開通させたことを歓迎していることである。
          この京義線の開通が意味するものは、
          戦前と同様にシベリア鉄道が直接朝鮮半島南端まで延伸するということだ。
          この前提で、韓国に、釜山から対馬までの約五十キロの海底トンネル掘削の提案が出てきたことの意味が分かるであろう。韓国はロシアを背景にしてこの提案をしている。
          従って、この計画は、
          ロシアがシベリアから直接対馬に現れるということだ。
          では、ロシアにとってこの対馬と一対の地政学的要衝である樺太に関して
          プーチンは何を計画しているのか。
          それは、スターリンが開始し、その死によって中断した
          大陸と樺太間のダッタン海峡・間宮海峡を橋かトンネルで連結し、
          鉄道とパイプラインを通すことである。
          更に、その樺太と北海道間の宗谷海峡四十三キロの海底トンネルを
          日本の資金で建設することを、
          プーチンは、ウラジオストックで安倍総理に持ちかけた。
          世界一の海底トンネルである青函トンネル五十四キロを
          完成させた日本の技術と資金で宗谷トンネルもやってくれと。
          このように、プーチンは、ロシアの大陸から
          南は朝鮮半島から直接対馬まで、
          北はシベリア鉄道とバイカル・アムール鉄道によって
          樺太から直接東京まで結ばれるロシアの鉄道網とパイプライン網を造ろうとしている。
          これは、ロシアのプーチンの経済的動機からではなく、
          地政学的動機、つまり伝統的な覇権的・軍事的動機から発した
          日本を直接勢力圏に取り込む計画である。
          従って、建設資金を日本に出させようとしている。
          これによって、
          ロシアとトンネルによって直結した日本の、
          ロシアに対する、石油、天然ガスというエネルギー依存度を高めて
          日本をロシアの覇権内に引き入れる。
          つまり、プーチンは、かつてソビエト(ロシア)が
          東欧の旧社会主義国家群を縛り付けた同じ手法を我が国に対して仕掛けているのだ。
          このプーチンの予行演習が、
          ウラジーミルと呼ぶのが友好のあかしと思っている日本の首相と政界に実施させている
          日本の資金による「ロシアの北方領土」の経済開発である。

          もう一つ、プーチンがスターリンを踏襲している重要な、
          我が国にとって致命的な一点を指摘しておく。
          それは、スターリンがコミンテルン(国際共産主義運動)の
          「内乱から戦争へ、戦争から革命へ」という方針に基づいて
          中国共産党に日本を革命の手段としての戦争の相手に選びばせ、
          中ソ連携により、
          日本を戦争の泥沼に引きずり込んで目的を達しようとした点である。
          現在、明らかにプーチンは、中共の習近平と連携している。
          安倍首相に、ウラジーミルと呼ばれているプーチンは、
          習近平の仕掛けた対日戦勝利七十周年軍事パレードを習近平と並んで眺めていた。
          そして、中露の海軍は、南シナ海で合同軍事演習をしている。
          また、平成二十八年度の我が国に接近する外国軍用機に対する
          航空自衛隊のスクランブル発進回数は、
          冷戦期の昭和五十九年の年間944回を遙かに上回る1168回に達しており、
          対ロシア軍機301回、対中共軍機851回である。
          これは、中露が南北連携して一日2回から3回、
          軍用機を我が国領空に接近させているということではないか。

          このロシアと中共の軍事的連携は、
          我が国にとってのっぴきならない事態だと思わねばならない。

          以上、今、西のウクライナとシリアで手が一杯で資金のないプーチンが、
          東の極東では、皮を被って、
          シンゾー、ウラジーミルの演出で我が国を安心させているので、
          ロシアとプーチンの本質を
          歴史を振り返って長々と述べた次第だ。
          安心するな、プーチンは、スターリンやブレジネフと同様、
          平気で
          政敵を粛正し、親友を裏切り、武力で領土を拡張するロシアの権力者である、と。

          ロシアに関して長かったので、
          このロシアと連携する中共と、
          伝統的に中露を後ろ盾にする朝鮮に関しては簡潔に述べる。

          <中共>
          無期限の独裁者となった習近平の中共は、
          軍事力を背景とする中華帝国主義国家である。
          その掲げる「一帯一路」とアジアインフラ銀行は、
          かつてのロシアが行った鉄道と銀行による満州侵略を真似たアジア侵略のツールだ。
          これを見破って行動に移したのが、
          マレーシアのマハティール首相による
          シンガポールとマレーシアの高速鉄道計画の廃棄だ。

          中共は、北からのロシアと連携して南から西太平洋の覇権を握らんと
          南シナ海の島嶼を我が物として占領し
          ミサイル基地や海軍空軍基地として南シナ海と東シナ海を「中国の海」にしつつある。
          しかし、ハーグ国際裁判所は、中共の管理権を全面的に否認し、
          アメリカは、「航行の自由作戦」を展開して中共の既成事実化を阻止し、
          この度、イギリスとフランスも、
          「航行の自由作戦」に海軍艦艇を派遣すると表明した。
          もちろん、我が国も、「航行の自由作戦」に艦艇を派遣すべきである。
          南シナ海と東シナ海は、我が国の生命線だからである。
          この「航行の自由作戦」に参加しない総理大臣は、中共の傀儡である。

          以上の、ロシアと中共の情況を見れば、
          これは明らかに、明治二十七年・同三十七年の
          日清・日露戦役前の脅威が我が国に迫っているということであり、
          我が国と国民に、国家存立のために、
          如何なる努力も惜しまないという覚悟と実践がなければ
          滅亡に至る事態であることが明らかであろう。
          そして、その発火点は、
          またしても、朝鮮半島情勢であることも
          明治二十七年・同三十七年と同じである。

          <朝鮮>
          この地域も、昔から驚くほど変わっていない。
          従って、同じことが起こる。
          今、南北は、盛んに一つの朝鮮民族というが
          朝鮮半島は、
          支那の帝国が一千年、日本が三十六年支配していたとき統一していたが、
          ほうておけば三つくらいに分裂していた。
          そして、分裂しながら、
          それぞれ大陸の帝国とのつながりを利用しながらお互いに抗争していた。
          日本も六六三年、朝鮮半島西岸の白村江に拘わらされたことがある。
          そして、現在も北の北朝鮮と南の韓国は、それを繰り返している。

          その現在進行形の、六月十二日といわれる米朝首脳会談に関しても、
          北朝鮮の独裁者は、中共とロシアの背景をちらつかせながら、
          シンガポールに現れることになった。
          その目的は、
          核とミサイル廃絶をの約束を掲げて、
          国際的制裁解除と、
          廃絶に向かう段階ごとに、膨大な見返り資金を獲得することである。
          これに対して、
          アメリカのトランプ大統領側は、
          主目的は、核廃絶の実現であろうが、
          二度あることは、三度あるのだ。
          アメリカは、クリントン大統領とブッシュ大統領の二回、
          北朝鮮に欺されて見返りだけをせしめられてきた。
          よって、トランプ大統領を支えるスタッフの主導権を
          ジョン・ボルトン首席補佐官とフレッド・ライツ氏の北朝鮮の体制変更派か、
          ブッシュ大統領の時のライスとヒルのコンビのような国務省宥和派が握るかで差が出る。
          即ち、欺されにくいか、欺されやすいか、だ。
          前者は、交渉決裂に向かう。後者は、交渉妥結に向かう。
          前者は、拉致被害者救出に熱意があり、後者は、拉致被害者救出を軽視する。

          とはいえ、いずれにしても、シンガポールで、
          アメリカが北朝鮮の核廃絶を実現するのは困難だ。
          何故なら、アメリカは、
          北朝鮮内に、何発の核爆弾が何処にあるのか、ミサイルが何処にあるのか、
          充分に把握していないからだ。
          北朝鮮が30個の核爆弾を廃棄したとして、
          それを保有する全爆弾だと思って莫大なカネを支払い制裁を解除した二年後に、
          実はあと30発の核爆弾が温存されているということもあり得る。
          よって、結局、核での目的達成は、極めて困難。

          つまり、四月二十八日の朝鮮半島板門店での南北首脳の握手と抱擁以来、
          いかにも朝鮮らしく舞い上がったように展開してシンガポールに至る、
          この慌ただしい経過の中では、
          完璧なる北朝鮮の核廃絶の実現は困難といわざるをえない。

          しかし、北朝鮮が誰を拉致しているのかが、
          ほぼ判明している拉致被害者解放問題は、
          単純明快、解放するか、しないのかという問題であり、
          何発の核があるのか不明な核廃絶問題よりも
          シンガポールで一挙に解決できる問題である。
          そして、我が日本にとっては、
          人道上も国家主権上も、核よりも重要な問題である。
          従って、我が国は、
          総理大臣以下全力を挙げて
          トランプ大統領と国際社会に、
          拉致被害者救出の重要性を伝え、
          北朝鮮の独裁者に対する圧力を高めなければならない
          現在、拉致問題顕在化以来、
          最大の重要ポイントに差しかかっている。
          例え、核問題で、欺されたか欺されてないのか、検証不能な合意があっても、
          我が国は、拉致被害者が解放されない限り、
          断固として制裁強化を国際社会と共に続けねばならない。

          posted by: samu | 政治認識 | 09:38 | - | - | - | - |
          「 北をめぐる米中の闘いが激化 」櫻井よしこ
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            『週刊新潮』 2018年6月7日号
            日本ルネッサンス 第805回

            6月12日の米朝首脳会談はどうやら開催されそうだ。劇的な展開の中で、はっきりしなかった展望が、少し明確になってきた。米国が圧倒的優位に立って会談に臨み、拉致問題解決の可能性にも、安倍晋三首相と日本が一歩近づくという見込みだ。

            5月24日夜、トランプ大統領は6月の米朝会談中止を宣言した書簡を発表し、朝鮮労働党委員長、金正恩氏の鼻っ柱を叩き潰した。9日にポンペオ国務長官が3人の米国人を連れ戻してから2週間余り、トランプ氏の考えはどう変化したのか。

            まず、5月16日、北朝鮮の第一外務次官・金桂寛氏が、ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官を個人攻撃し、米国が一方的に核放棄を要求すれば「会談に応じるか再考せざるを得ない」と警告した。

            1週間後の23日、今度は桂寛氏の部下の崔善姫外務次官がペンス米副大統領を「政治的に愚鈍」だと侮蔑し、「米国が我々と会談場で会うか、核対核の対決場で会うか、米国の決心と行動次第だ」と語った。

            トランプ氏は23日夜に暴言を知らされた後就寝し、翌朝、ペンス、ポンペオ、ボルトン各氏を集めて協議し、大統領書簡を作成したそうだ。

            内容は首脳会談中止と、核戦力における米国の圧倒的優位性について述べて、「それを使用する必要のないことを神に祈る」とする究極の恫喝だった。24時間も待たずに正恩氏が音を上げたのは周知のとおりだ。

            首脳会談が開催されるとして、結果は2つに絞られた。➀北朝鮮が完全に核を放棄する、➁会談が決裂する、である。これまでは第三の可能性もあった。それは米本土に届くICBMの破棄で双方が合意し、北朝鮮は核や中・短距離ミサイルなどについてはさまざまな口実で時間稼ぎをする、それを中韓両国が支援し、米国は決定的な打開策を勝ち取れず、年来のグズグズ状態が続くという、最悪の結果である。

            不満だらけの発言

            今回、第三の可能性はなくなったと見てよいだろう。米国は過去の失敗に学んで、北朝鮮の自分勝手な言動を許さず、中国への警戒心も強めた。トランプ氏は22日の米韓首脳会談で語っている。

            「北朝鮮の非核化は極めて短期間に一気に実施するのがよい」「もしできなければ、会談はない」

            トランプ氏は米国の要求を明確にし、会談延期の可能性にも言及しながら、正恩氏と会うのは無条件ではないと明確に語ったわけだ。

            中国関連の発言は次のとおりだ。

            ・「貿易問題を巡る中国との交渉においては、中国が北朝鮮問題でどう助けてくれるかを考えている」

            ・「大手通信機器メーカー中興通訊(ZTE)への制裁緩和は習(近平)主席から頼まれたから検討している」

            ・「金正恩氏は習氏との2度目の会談後、態度が変わった。気に入らない。気に入らない。気に入らない」
             トランプ氏は3度繰り返して強い嫌悪感を表現している。

            ・「正恩氏が中国にいると、突然報道されて知った。驚きだった」

            ・「習主席は世界一流のポーカー・プレーヤーだ」

            北朝鮮問題での中国の協力ゆえに貿易問題で配慮しているにも拘わらず、正恩氏再訪中について自分には通知がなく、米国が求める短期間の完全核廃棄に関して、習氏は北朝鮮同様、段階的廃棄を主張しているという、不満だらけの発言だ。

            この時までに、トランプ氏は自分と習氏の考えが全く異なることを実感し始めていたであろう。中国は国連の制裁決議違反とも思える実質的な対北朝鮮経済援助を再開済みだ。中朝国境を物資満載のトラックが往き交い、北朝鮮労働者は通常ビザで中国の労働生産現場に戻っている。

            こんな中国ペースの首脳会談はやりたくない、だが、米国の対中貿易赤字を1年間で約10兆円減らすと中国は言っている。2年目にはもう10兆円減らすとも言っている。どうすべきか。こうした計算をしていたところに、善姫氏によるペンス副大統領への攻撃があり、トランプ氏はこれを利用したのではないか。

            いま、米国では民主、共和両勢力において対中警戒心が高まっている。米外交に詳しい国家基本問題研究所副理事長の田久保忠衛氏が指摘した。

            「米国の中国問題専門家、エリザベス・エコノミー氏が『中国の新革命』と題して、フォーリン・アフェアーズ誌に書いています。習氏の中国を、『自由主義的な世界秩序の中でリーダーシップを手にしようとしている非自由主義国家である』と的確に分析し、国際秩序の恩恵を大いに受けながら、その秩序を中国式に変え、自由主義、民主主義を押し潰そうとしていると警告しています」

            中国に厳しい目

            エコノミー氏は、習氏の強権体制の下、あらゆる分野で共産党支配の苛烈かつ非合法な、搾取、弾圧が進行中で、米国は中国との価値観の闘いの真っ只中にあると強調する。

            米国は本来の価値観を掲げ、同じ価値観を共有する日豪印、東南アジア諸国、その他の発展途上国にそれを広げよと促している。
            「もう一つ注目すべきことは、米国のリベラル派の筆頭であるカート・キャンベル氏のような人物でさえも中国批判に転じたことです。彼はオバマ政権の、東アジア・太平洋担当の国務次官補で、非常に中国寄りの政策を推進した人物です」

            キャンベル氏は、これまで米政府は中国が米国のような開かれた国になると期待して助力してきたが、期待は裏切られた、もっと中国の現実を見て厳しく対処すべきだという主張を同誌で展開している。

            米国が全体として中国に厳しい目を向け始めたということだ。米中間経済交流は余りに大規模なために、対中政策の基本を変えるのは容易ではないが、変化は明らかに起きている。

            5月27日には、米駆逐艦と巡洋艦が、中国とベトナムが領有権を争っている南シナ海パラセル諸島の12海里内の海域で「航行の自由」作戦を実施した。同海域で、中国海軍と新たに武装警察部隊に編入された「海警」が初めて合同パトロールを実施したことへの対抗措置だろう。

            それに先立つ23日、米国防総省は環太平洋合同軍事演習(リムパック)への中国軍の招待を取り消した。18日に中国空軍が同諸島のウッディー島で、複数の爆撃機による南シナ海で初めての離着陸訓練を行ったことへの対抗措置か。

            中国の台湾への圧力を前に、トランプ政権は3月16日、台湾旅行法を成立させ、米台政府高官の交流を可能にした。トランプ政権の対中認識は厳しさを増しているのである。

            シンガポールで、中国はいかなる手を用いてでも北朝鮮を支えることで、朝鮮半島の支配権を握ろうとするだろう。それをトランプ氏はもはや許さないのではないか。許さないように、最後の瞬間まで、トランプ氏に助言するのが安倍首相の役割だ。

            posted by: samu | 政治認識 | 09:36 | - | - | - | - |
            対馬にて、朝鮮半島とマレーシアを観る/西村眞吾
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              対馬は、天智天皇二年(663年)、
              百済救援の日本軍4万2000と13万以上の唐軍が、
              朝鮮半島西部の白村江で激突した、当時の世界における空前の規模の戦闘以来、
              万葉集に絶唱を遺した防人達が駐屯して城を築き、
              その残された妻達が、夫の身を遙か東国から思った、国境の島であったが、
              現在は、さらに国境の最前線の島となっている。
              何故なら、
              38度線は、既に対馬と朝鮮半島の幅50キロの海峡に南下しているからだ。
              明治維新以来大東亜戦争までに、
              対馬には、三十を越える砲台が造られた。
              ナバロンの要塞を越える世界一の砲台も造られた。
              対馬は、島自体が巨大砲台群であった。
              そして今、再び、対馬は、
              直接侵略と間接侵略の脅威に備える時期に入ったのだ。
              直接侵略に加えて、
              間接侵略を強調する根拠は、
              対馬の人口約三万に対して、
              一年間の外国人(主に韓国)入島数は十倍の三十万人
              であることを指摘するだけで十分であろう。
              対馬と海峡・玄界灘そして日本海の防衛体制強化は、
              我が国政府の急務である。
              森友と加計と日報にかかりきりの国会は、
              「国防に無関心」と言う「不作為の売国」という国家反逆罪を、
              まさに現在、犯し続けている現行犯である。
              戦前なら、帝都の歩兵第一、第三聯隊の将校が間違いなく逮捕している。

              この対馬の北の殿崎の丘で、
              五月二十七日の海軍記念日に
              対馬駐屯陸海空自衛隊幹部、対馬市そして地元の人々が行う
              日露・対馬沖海戦追悼慰霊祭が行われたので
              大阪・東京・京都・四国・九州の仲間三十数名とともに参加し
              東方の海戦海域に向かって「海ゆかば」を二回歌った。

              対馬滞在中の二十六日から二十七日、
              指呼の間の朝鮮半島では、
              三代目が、中共の習近平と二回会談をして気が大きくなり、
              アメリカに悪態をついたら、即座にトランプ大統領から、
              「米朝会談中止、そのかわり何が起こるか覚悟しとけよ」、
              と、凄まれ、震え上がって、
              熱い鉄板の上に乗った豚のように、南北首脳会談をしていた。
              この三代目、後ろ盾が欲しくて、中共のみならずロシアの気も引いている。
              本日、ロシア外相が北朝鮮入りと報じられた。
              やっぱり、血は争えん。
              スイス遊学など無駄の無駄。飢える人民を見下す特権意識を育てただけだ。
              この三代目は、
              唐に頼んで我が国と戦ってもらった白村江以来の朝鮮、
              明に入ってもらって朝鮮という国号と旗をもらい李氏朝鮮となって以来の朝鮮、
              明治三年、我が国外務省の佐田白茅と森山茂が
              「固陋傲頑、これを覚ますも覚めず」と報告した通りの
              「朝鮮をしている」のだ。
              そのうち、朝鮮から、必ず、我が国に、乗り遅れまっせー、と言ってくるから、
              この動きに、一切、関わっては駄目だ。
              我が国は、厳然と動かず、
              拉致した全ての被害者を解放せよ、
              拉致被害者を解放しない金正恩に未来はない、
              この人類共通の人道上当然の事を実施しない如何なる会談も無意味である、
              と、アメリカを始め全世界に主張し続けねばならない。

              目を南に転じる。
              マレーシアのマハティール首相は、就任早々、前首相が引き入れた
              中共の「一帯一路」戦略に基づく
              シンガポールからマレーシアへの高速鉄道計画を中止すると発表し、
              日本とインドの首脳との会談を行う決定をした。
              中共の「高速鉄道建設・高速道路建設・港湾建設・空港建設」と「一帯一路」は、
              かつての帝国主義国によるアジア・アフリカ侵略の現代中共版のツールである。

              昭和三十年代から四十年代(1950年〜60年代)、
              中共の毛沢東と周恩来による東南アジアへの共産主義勢力の浸透を、
              当地では「南下問題」と呼んだ。
              この中共の南下に対抗しようとしたのが、
              マレー語圏のインドネシアとマレーシアだった。
              周恩来の指令によるインドネシア共産党のクーデターと続く熾烈な内戦を克服し、
              スカルノの次に四十二歳でインドネシア大統領となったスハルトは、
              マレーシアとともに東南アジアの共産化を阻止するための国家連合
              ASEAN
              を設立した。
              そのインドネシアは、今、中共による高速鉄道建設を選んでえらい目にあっているが、
              マハティールのマレーシアとともに、
              また日本とともに、
              中共の「一帯一路」という現在版「南下問題」に対抗して欲しい。

              以上の通り、対馬から朝鮮半島と中共とASEANに思いを巡らせた。
              対馬は、有意義だった。
              来年の対馬沖の日本海海戦の日の五月二十七日には、
              大人数でテントをもって対馬に行きましょう。
              テントをもつ理由は、韓国人が殆どの宿泊施設に泊まっていて宿泊の容量が無くなっているおそれがあるからです。

              なお、この頃、時事通信の発信が為されていないので、
              体調が悪いのかとの問い合わせを受けたのですが、体調、極めて良好です。
              ご心配、ありがとうございます。
              ただ、私のワープロが、
              Enterを叩くと原因不明の暴走を始め、
              瞬く間に、せっかく書いた数十字を消去してしまうので、
              けったくそがわるく、敬遠していたのです。
              何時間もかかって、例えば原稿用紙五枚分を書いていたのに、
              エンターを押して気がつけば皆消えていたら、どっと疲れますでぇ。

              posted by: samu | 政治認識 | 17:56 | - | - | - | - |
              北朝鮮の軍事脅威は今も変わらない/小森義久
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                米朝首脳会談の展望をめぐり、北朝鮮情勢に関しての熱い議論がかわされている。つい最近までは世界で最も危険な存在とみられていた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、今では平和の使者のように振る舞っている。そんな北朝鮮を、米国のトランプ政権はどうみているのか。米国に対する北朝鮮の軍事脅威は変わったのか。

                 それらに関する米国側の認識を知るには、今年3月15日に、太平洋統合軍ハリー・ハリス司令官が上院軍事委員会で証言した内容が有力な指針となるだろう。

                 ハリス海軍大将はそれまでの3年間、インド太平洋の広大な陸海空を管轄する米軍全体の最高司令官を務めた。この統合軍の陸軍、海軍、空軍そして海兵隊は、日本や韓国もその守備範囲とする。とくに在韓米軍は長年、北朝鮮の軍事脅威とは正面から対峙してきた。ハリス司令官が指揮する太平洋統合軍には、その在韓米軍も含まれる。

                 ハリス司令官はすでに退役と転進が決まっており、太平洋統合軍司令官として議会で証言するのはこれが最後となる。ハリス司令官は上院軍事委員会の席で、アジア太平洋の域内での軍事情勢、とくに米国とその同盟諸国にとっての脅威や危機の現状を議会に向けて報告し、米軍側がその現状に対してどのような抑止や防衛の態勢をとっているかを説明した。そのなかでも北朝鮮についてはきわめて詳細かつ具体的にその軍事動向を報告していた。このハリス証言は、現在の米国側の北朝鮮への総合的な認識だといえるだろう。

                 

                強大な「非核の通常戦力」も脅威

                 ハリス司令官は北朝鮮の動向の総括として、以下のようなことを述べた。

                「金正恩は長年にわたって、国際的な規則や責任、そして抑制された言動に対する侮蔑を数えきれないほど示してきた」

                 この表現を分かりやすく言い換えれば、金正恩という人物は国際的な無法者だということである。ハリス氏がこの厳しい評価を述べた3月中旬といえば、金委員長がすでに米韓両国への唐突な微笑外交を始めた後である。だがハリス氏は次のようにも証言していた。

                「私は昨年(2017年)、朝鮮民主主義人民共和国こそ私たちにとって最も切迫した脅威だと証言した。その脅威の水準は、この1年でさらに高まった。北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器の能力が、広範な国際的抗議や国連安保理の制裁追加にもかかわらず、高まったのだ」

                 そのうえでハリス司令官は、北朝鮮の核兵器や長距離ミサイルの開発の最近の軌跡を細かく報告した。米国や韓国や日本を脅しつける好戦的な言明の数々も紹介していた。とくに日本や韓国への北朝鮮の軍事脅威についてハリス氏は警鐘を鳴らした。

                「北朝鮮は世界で第4の規模の120万もの軍隊を維持し、長距離ロケット、火砲、短距離弾道ミサイルを多数備え、通常戦力でも韓国や日本への脅威となっている。これらのロケット類は化学兵器や生物兵器も発射することが可能だ。高度に訓練された特殊作戦部北朝鮮は、米国が最大の懸念の対象とする核兵器だけでなく、非核の通常戦力でも異様なほどの規模の軍隊や武器を保有し、いつでも大規模な攻撃をかけられる態勢を整えているというのだ。

                核兵器や弾道ミサイルは今もそのまま

                 ハリス氏のこの報告はトランプ政権の見解であると同時に、米国官民の全体の懸念だともいえる。この懸念がハリス氏によって改めて表明された後、北朝鮮は平和や和解をそれまで以上に大きく打ち出すようになった。

                 その結果、米国、日本、韓国などの北朝鮮の脅威への認識が変わってきたことは事実だろう。ところが北朝鮮は、いくら平和や和解を説いても、この懸念を減らすための実効措置をとっていない。

                 核実験やミサイル発射実験の凍結、核実験施設の爆破といった措置は、大々的に宣伝してみせた。だが、核兵器や弾道ミサイルの破棄は実施していない。核施設の爆破というのも、もうすでに老朽化して使われていない施設の入口を破壊しただけである。実体のある核兵器や弾道ミサイルの削減や破棄はなにも行われていないのだ。

                 そうなると、ハリス司令官が3月中旬に指摘した北朝鮮の軍事脅威は、基本的には現在もまったく変わらない、ということになる。

                 熱心に米朝会談を求める金委員長の背後には、こんな現実が揺らがないまま厳存する。だから、いまこそ北朝鮮の軍事脅威の現状をしっかりと認識しておくことが重要なのである。

                隊は金正恩のさらなる奇習攻撃の手段である」

                 

                中国メディアはハリス氏の「出自」を取り沙汰

                 その北朝鮮は、中国との距離を縮めようとしている。金正恩政権は非核化をめぐる米国との駆け引きのために、中国への依存を強め、あるいは中国を利用しようとする動きも表面化してきた。

                 ハリス司令官は同じ議会証言で、インド太平洋地域では、中国も長期的には最大の脅威だとする認識を率直に述べていた。

                「中国は近隣諸国を脅して屈服させ、自由で開かれた現在の国際秩序を崩すために軍事力と経済力を行使している。米国は、中国の軍事力や強制力の行使に断固反対する」

                 ハリス氏のこうした鋭い批判に対し、中国側が同氏の家族背景を理由に非難したことは広く知られている。新華社通信や環球時報といった国営メディアは、「ハリスが反中的な発言を続けるのは彼の血や出自が原因だ」という趣旨の論評を繰り返した。ハリス氏の母が日本人であることを反中と結びつける民族差別的な反日攻撃だった。

                 だが、トランプ大統領の厚い信を得たハリス氏は、この5月に韓国駐在の大使に任命された。同氏が北朝鮮や中国について表明してきた認識はオバマ前政権時代から一貫しており、議会でも超党派の同調を得てきた。今後、活動の拠点を朝鮮半島へと移すハリス氏の言動は日本外交にとっても意味ある基準となるだろう。

                 韓国駐在の米国大使となるハリス氏が、日韓関係に関して韓国側を批判するような発言をして、韓国メディアなどから「ハリス氏の母親は日本人だから」などという民族差別的な反響が起きないことを願いたいところである。

                 

                posted by: samu | 政治認識 | 22:13 | - | - | - | - |
                韓国は「重要な隣国」消えた!! ついに「格下げ」…外交青書が映す他国との関係性/産経新聞
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                  政府が5月の閣議で了承した平成30年版「外交青書」の韓国に関する記述で、29年版まであった「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」の表現を削除し、扱いを“格下げ”にした。各国の項目では、このような日本との関係性を端的に表した「枕詞(まくらことば)」のような表現を付すことが多い。その変遷を見ると、対象国との距離感が浮かび上がってくる。

                  ■表現の変化激しい韓国

                  韓国の枕詞は、ここ数年の“上げ下げ”が激しい。26年版は次の通りだった。

                  「自由、民主主義、基本的人権などの基本的な価値と、地域の平和と安定の確保などの利益を共有する日本にとって、最も重要な隣国」

                  この表現は「価値の共有」「利益の共有」「最も重要」の3要素で構成されている。27年版は「最も重要な隣国」だけになり、価値と利益の共有が消えた。産経新聞ソウル支局長を長期間にわたり出国禁止とするなど、民主国家とは言い難い朴槿恵(パク・クネ)政権(当時)の対応を受けた措置だった。

                  28年版は「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」となった。29年版も踏襲したが、30年版は3要素がすべて消えた。価値観も違い共通利益もなく、関係が重要でもない−とは言わないにしても、突き放すニュアンスであることは確かだ。

                  ■戦略的利益は共有できる中露

                  ほかの国はどうか。外務省のサイトで21世紀(14年版)以降の推移を調べた。

                  中国とロシアは日本と政治体制が異なり、自由や民主主義、基本的人権などの「価値を共有」とは言えないが、共通の利益を追求するウィンウィンの関係を構築することは不可能ではない。枕詞にもそうした関係性が見て取れる。

                  中国はほとんどの年で「最も重要な2国間関係の1つ」とある。加えて「切っても切れない関係」(27、28年版)、「古今の歴史を通じ日本が最も大切にしてきた国の1つ」(18年版)との表現もあった。

                  安倍晋三首相(63)が第1次政権の18年に当時の胡錦濤国家主席と合意した「戦略的互恵関係」も、以降の青書で必ず登場する。「戦略的」の表現は「単なる2国間関係を超え、より広い地域の課題にともに取り組める」(外務省幹部)関係を指すという。価値観はさておき、地域や世界規模の課題について協力関係を築き、共通の利益を追求していこう−とのメッセージ性が見えてくる。

                  ロシアは18年版まで明確な枕詞はなかったが、19年版以降で「様々な問題について日本と利害を共有する大事(大切)な隣国」との表現が登場。21年版以降は協力・連携の強化が「両国の戦略的な利益に合致」と記述し、26年版で「アジア太平洋地域のパートナー」と位置づけた。30年版は「最も可能性を秘めた2国間関係」との前向きな表現を採用した。北方領土問題の解決と平和条約の締結に意欲を燃やす首相の姿勢を強く反映したといえる。

                  ■格上げ続きの豪印

                  豪州とインドは、もとより日本と「基本的価値を共有」する関係にある。両国は日本が進める「自由で開かれたインド太平洋戦略」の中核パートナーであり、近年では安全保障など戦略的な利益の共有も強調するようになってきた。

                  豪州は15年版で「基本的価値を共有する重要なアジア大洋州地域のパートナー」とした。17年版で「地域の政治・安全保障上の問題について多くの問題意識を共有」が加わり、21年版から「基本的価値と戦略的利益を共有する」に格上げした。最近は「特別な関係」(27、28年版)、「特別な戦略的パートナーシップ」(29、30年版)との表現が冠される。

                  インドは19年版で「基本的な価値を共有する重要なパートナー」となり、24年版から戦略的な利益の共有も併記。26年版からは「最も可能性を秘めた2国間関係」と位置づけている。

                  ■国交なくても「大切な友人」台湾

                  そっけない書きぶりから、親しみのこもった表現へと変化したのが台湾だ。昭和47年の日中国交正常化で、日本が中国を「唯一の合法政府」と承認したことに伴い日台は断交。以降、日本政府は台湾を「地域」として扱い、交流は民間団体を窓口に行われている。

                  14年版は「非政府間の実務関係として、民間および地域的な往来を維持してきている」と記した。15年版以降は「緊密な経済関係を有する重要な地域」となったが、貿易相手としての重要性を記しただけだった。

                  しかし、25年版は「重要な地域」の部分が「重要なパートナー」に昇格。28年版は「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり、大切な友人である」となった。

                  「大切な友人」との表現は、他の国には見られない。首相が自身のフェイスブックや演説で用いた言葉を反映したとみられる。東日本大震災で200億円を超える義援金を寄せてくれた台湾の人々への感謝と配慮を示したといえそうだ。

                  「全体の書きぶりを見てほしい」と外務省幹部が語るように、枕詞が関係をすべて言い表しているわけではない。北朝鮮対応で韓国との連携も重要となった今年の状況は31年版に記述される。「韓国は価値観と利益を共有する重要な隣国」に立ち返れば、それに越したことはないが、果たして…。 (政治部 千葉倫之)

                  posted by: samu | 政治認識 | 21:38 | - | - | - | - |
                  「 米国はリビア方式を貫けるか 」櫻井よしこ
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                    『週刊新潮』 2018年5月31日
                    日本ルネッサンス 第804回

                    約3週間後に予定されている米朝首脳会談を前に、朝鮮労働党委員長の金正恩氏が、またもや恫喝外交を展開中だ。北朝鮮の得意とする脅しとすかしの戦術に落ち込んだが最後、トランプ大統領はこれまでのブッシュ、オバマ両政権同様失敗するだろう。いま大事なことは二つである。国家安全保障問題担当大統領補佐官、ジョン・ボルトン氏のいわゆる「リビアモデル」の解決策を貫くことと、「制裁解除のタイミングを誤れば対北交渉は失敗する」という安倍晋三首相の助言を忘れないことだ。

                    北朝鮮の恫喝は米中貿易摩擦に関する協議が行われるタイミングで発信された。5月16日、北朝鮮第一外務次官の金桂冠氏が、米国が一方的な核放棄を強要するなら、米朝首脳会談開催は再考せざるを得ないと言い、ボルトン氏を、「我々は彼に対する嫌悪感を隠しはしない」と名指しで批判した。ボルトン氏はホワイトハウス内の対北朝鮮最強硬派と位置づけられている。

                    翌日、トランプ氏は大統領執務室でこう反応した。

                    「北朝鮮の核廃棄についてのディール(取引)ができれば、金氏はその地位にとどまることができるだろう。そうでなければ、『完全崩壊』の運命を覚悟すべきだ」

                    同時に、ホワイトハウスのサンダース大統領報道官もトランプ氏も、リビア方式は考えていないとのメッセージを発信した。サンダース氏は、「リビアモデルではなくトランプモデルだ」とも語った。

                    ここで見逃せないのは、「リビアモデル」という言葉を用いながらも、その正確な意味をトランプ氏が理解していないと思われることだ。トランプ氏は北朝鮮へのリビア方式の適用は考えていないとして、次のように語っている。

                    「米国は(リビアの)カダフィを存続させるなどというディールはしなかった。しかし、米朝で合意が成立すれば、金氏は米国による安全の確約と十分な保護を得て彼の国を統治し続けるだろう。彼の国はとても豊かになるだろう」

                    日朝会談にも負の影響

                    この他にもトランプ氏は、米軍はカダフィを滅ぼすためにリビア入りした、などとも語っている。しかしカダフィ氏は核を廃棄したから殺害されたのではない。反対に、彼は核廃棄によってクビをつないだのだ。8年間生き延びた果てに2011年に、リビア国民に殺害されたのである。

                    ここは大事な点だ。この点の理解なくしては米朝会談にも、いずれ開かれるであろう日朝会談にも負の影響が及ぶだろう。

                    03年12月、地下の穴蔵に潜んでいたイラクのサダム・フセイン大統領が米軍に発見された。それを見てカダフィ氏は震え上がった。3日後、カダフィ氏は英国政府経由で米国政府に「これまで行ってきた核開発をすべて止める」と伝えた。

                    米英両国は中央情報局(CIA)と秘密情報部(MI6)の要員を直ちにリビアに送り込んで、秘密の核開発施設など全ての拠点を開示させた。その上で翌年1月に米空軍がリビア入りし、濃縮ウラニウムやミサイルの制御装置などを米国に運び出した。3月には艦船を送り、遠心分離機をはじめ核開発に関する装置のすべてを搬出したのである。

                    一連の作業は3か月で終了した。すべてが終わった時点で初めて米国はリビアに見返りを与え始めた。米国とリビアの国交正常化は06年5月。カダフィ氏は核放棄を伝えてから8年後に殺害されたが、これは核放棄とは無関係だ。

                    10年から中東に吹き荒れた民主化運動、「アラブの春」がカダフィ氏の惨めな死の直接的な原因である。リビア国民が民主化運動に触発されて、長年続いたカダフィ家による専制支配に抗して立ち上がったのだ。その結果、カダフィ氏も子息達も、殺害された。これが11年10月だった。

                    日本でも、ボルトン氏の主張するリビア方式と、アラブの春での殺害を混同してとらえる向きがある。しかし両者は無関係である。トランプ氏の先述の発言は、氏がその違いを理解していないことを示している。

                    理解していなければ、トランプ氏は正恩氏に、「米国は北朝鮮の体制転換を考えているわけではない。従ってリビアモデルはとらない」と言い続けるだろう。そこに浮上するのが、「段階的核廃棄と、段階ごとにそれに見合う経済援助を北朝鮮に与える」という方式だ。これこそ北朝鮮と中国が主張する方式で、元の木阿弥である。アメリカは失敗し、トランプ氏が日本のために発言し続けている拉致問題も解決されないだろう。だからこそ、03年からのリビア方式による核問題解決と、11年のカダフィ氏殺害の背景の相違をまずトランプ氏に、次に正恩氏に認識させることが非常に大事なのである。

                    対北政策で微妙な違い

                    トランプ氏の下で、米国の北朝鮮政策を担っているのがボルトン氏とマイク・ポンペオ国務長官である。両氏の間には対北政策で微妙な違いが見てとれる。5月9日、2度目の平壌訪問で米国人3人の身柄を取り戻してワシントンに連れ帰ったポンペオ氏は、その直後の11日、「正しい道を選べば北朝鮮には繁栄があるだろう」と語った。非核化の成果が何も見えていないにも拘わらず、制裁緩和に言及するのは早すぎる。同じ日、ボルトン氏は対照的な発言をした。

                    「完全、検証可能、不可逆的な核廃棄(CVID)だけでなく、ミサイル、生物化学兵器の廃棄が実行され、日本人と韓国人の拉致被害者問題も解決されなければならない」と語ったのだ。

                    北朝鮮との交渉でどちらの方針が失敗するか、過去の事例から、ポンペオ氏の方針であることが明らかだ。成功はボルトン方式の中にしかない。

                    トランプ氏はこうも語っている。「中朝首脳の2回目の会談以降、(正恩氏の側に)大きな変化が起きた」「習(近平)主席が金正恩に影響を与えている」と。そのとおりである。

                    北朝鮮の態度の豹変は米中貿易摩擦を巡る高官級協議の時期に重なる。中国が有利な条件を勝ちとるために北朝鮮を取り引き材料に使おうとしたのが見てとれる。そうした中、トランプ氏は「自分のように強い貿易圧力を中国に加えた大統領はいない」とも語っている。中国に対米貿易黒字を1年で約20兆円も削減せよと迫り、それができなければ大幅に関税を引き上げるという強硬策を突きつけたことを誇っているのだ。圧力には圧力を、力には力を以て対抗するという姿勢である。そうでなければ、中国も北朝鮮も動かない。その点で揺るがなかったからこそ、トランプ外交はここまで辿り着けたといえる。

                    しかし、リビア方式についての誤解に見られるように、トランプ外交には危うさがつきまとう。その危うさを修正するのが安倍首相であろう。

                    posted by: samu | 政治認識 | 21:50 | - | - | - | - |
                    ◆野党とマスコミは「モリ・カケ」を延々とやり続けよ/ 門田隆将
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                      5月30日、国会で1年半ぶりに党首討論がおこなわれた。財務省によって先週、明らかにされた森友学園との「交渉記録」をもとに、立憲民主党の枝野幸男代表は、安倍昭恵氏が夫人付きの谷査恵子氏を通じて「財務省側に働きかけた」と追及した。

                      枝野氏はこう質問した。「金品の流れ等があったのか、なかったか。それはこの問題の本質なのでしょうか。公務員である谷査恵子さんを通じて(昭恵氏は)財務省に問い合わせをかけています。優遇を得られないかと照会があり、問い合わせたのですから、受けられるなら受けたいという働きかけにほかならない。それはいいことだと思っていらっしゃるんですか」

                      昨年、散々国会で聞いた質問である。これに対して、安倍首相はこう答えた。「いま、すでに枝野さんに言われたことは、もう何回も御党、あるいは他の党の委員の皆様から質問されたことです。(籠池氏から)谷氏に対して手紙が来たわけでございます。それに対して谷氏から、こういう制度がこういう法人に対して当てはめることができないかという、政策的な制度的な答えを求めたのでございます」

                      これも昨年、国会で何度も耳にした回答である。つまり、安倍首相は、谷氏が財務省に制度的な問い合わせをおこなっただけであって「問題はない」との考えを、昨年と同様、答弁したのである。

                      やりとりを聞いて、国民はどう思ったのだろうか。溜息を洩らしたのは、私だけだろうか。これだけの膨大な「時間」と国民の貴重な「税金」を費やして、延々と野党とマスコミは、同じ追及を続けてきた。

                      そのモリ・カケ問題で、こともあろうに野党の代表が「金品の流れ等があったか、なかったか。それはこの問題の本質なのでしょうか」という問いを「いまだに」しているのである。

                      私は、枝野氏の質問を聞きながら、いつまでも「本質」がわからないなら、永遠に同じ質問をやり続けなさい、と心から思った。好きなだけ「やれ」と。そして、国民の不興を買ったあの18連休のようなボイコットも「是非、やりなさい」と。(中略)

                      野党とマスコミは、これを安倍首相が「籠池氏のために国有地を8億2千万円も値下げさせて売却した」というストーリーをつくり上げて追及したが、その証拠は現在に至るまでどこからも出てこない。

                      そして、ついに、枝野代表が「金品の流れ等があったのか、なかったか。それはこの問題の本質なのでしょうか」――つまり、安倍首相の不正があったのかなかったのかは、「この問題の本質ではない」とまで言うに至ったのである。

                      一方の加計問題の論点は、もっと明白だ。このほど出てきた愛媛県の新文書の問題で、2015年2月25日に加計氏と安倍首相が本当に面会していて、獣医学部新設の考えに対して「いいね」と安倍氏が言ったのなら、それを証明して欲しいと思う。

                      各紙の「首相動静」記事をすべて網羅すると、国会開会中のこの日の首相の動きは分刻みで明らかになっており、「15分」の会談がどこでおこなわれたのか、是非、教えて欲しい。

                      そして、「首相動静」に何度も前後に登場している加計氏が、なぜ「この日だけ」首相動静に登場していないのか、その合理的な理由を説明して欲しい。まだ獣医学部のことが何も問題になっていないこの時期に、敢えて、そんな「隠密行動」をとらなければならなかった理由を併せて説明して欲しいと思う。

                      首相が「加計学園のために動いた」のなら、実際にどんな動きをしたのか。国家戦略特区ワーキンググループの八田達夫座長が、首相官邸からの圧力はなかったが、日本獣医師会からの圧力が存在したことを国会で証言しており、もし、「そうではない」というのなら、その根拠を示して欲しいと思う。

                      そして、当時の地方創生大臣である石破茂氏が「誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした」と語っていた、いわゆる「石破4条件」がなぜ安倍内閣によって閣議決定されたのかを教えて欲しい。

                      この石破氏の言葉は、石破氏とは当選同期の元自民党代議士であり、日本獣医師政治連盟の北村直人委員長によって、「平成27年度日本獣医師会第4回理事会」の会議報告の中で明らかにされたものだ。ちなみに石破氏(自民党鳥取県第一選挙区支部)には、2012年度に日本獣医師政治連盟から「100万円」の政治献金がなされている。

                      安倍首相がそれほど加計孝太郎氏のために獣医学部を設置させることに熱心だったというのなら、石破氏が「誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした」と言ったとされる4条件が「なぜ閣議決定されたのか」私には理解できない。

                      それは、安倍首相にとっては、愛媛県と今治市の国家戦略特区指定など、そもそも意識すらしないほどの問題に過ぎず、「必要なら指定される」だろうし、「不必要なら指定されない」という程度のことだったからではないのか。

                      「加計孝太郎氏のために、安倍氏は首相権限を発揮して行政を歪めたのだ」と思うのは、自由だ。しかし、その証拠もないまま、いつまでこんな不毛なことに、国会という国権の最高機関の時間とカネを浪費し続けるのか。

                      そこで、私は提案したい。証拠もなく、不正を叫ぶことも、「言論が自由」な日本では許される。だから、延々とやりなさい。野党も、マスコミも、延々と「モリ・カケ」をやり続ければいいと思う。

                      政権サイドも、気にすることはない。延々と答え続ければいい。彼らが気の済むまでやらせればいい。“情弱”以外の国民は、とっくに野党や、それを煽るメディアを見限っているので、いつまでも「やってもらえばいい」のである。

                      そして、政府与党には、激動する東アジア情勢下で、拉致被害者の即時一括帰国をはじめ、国民の生命・財産、そして国土を守るために精一杯の闘いを展開して欲しい。

                      モリ・カケを追及する側の野党六党の支持率は減りつづけ、時事通信の調査では、六党合わせてついに「8・2%」(5月調査)にまで落ち込んでいる。できれば、野党六党には国会をボイコットしてもらって、また、どこかに「消えてもらえばいい」と思う。

                      好きなだけ「寝て」もらえばいいし、また、好きなだけ「叫んで」もらえばいい。それを煽るドリーマー・メディアも、それを続けていけばいいのではないかと思う。

                      政治的中立を謳った「放送法4条」を無視したテレビの偏向報道も、それでいいのではないのかと思う。安倍首相は「放送法4条」の撤廃を言い始めた。「好きなように偏向報道をやりなさい。そのかわり、テレビ局の特権もなくなります。国民の財産である電波は、きちんとオークションにかけますから」というわけである。

                      偏向したレベルの低い番組を延々と観させられるのも、“情弱”でない国民にとっては苦痛だ。しかし、いっときの辛抱である。競争原理が働く中で、見応えのある“まともな”番組が、いつかは登場するだろう。

                      「ドリーマー(夢見る人)」と「リアリスト(現実を見る人)」とのいわゆる“DR戦争”は佳境に入っている。それが端的に出ているのが、昨年来、延々と続くこの“モリ・カケ問題”なのである。私たちは今、産みの苦しみの只中にいる。そんなことを考えながら、私は日本の国会史に汚点として残るだろうこの“モリ・カケ騒動”を見ていこうと思う。



                      株式日記と経済展望ブログより(私のコメント)

                      テレビはモリカケでは視聴率が取れなくなったので、最近では日大のアメフト部の不祥事を朝から晩まで取り上げている。確かに体育会系の体質には問題が有り、特に上下関係の厳しさは異常なほどであり、それが日本企業の年功序列体制に影響を及ぼしている。

                      しかし上に対してものが言えない体質では、情報の風通しが悪くなり変化の激しい現代社会について行けなくなる。会社のトップと現場との距離が遠くなれば、トップの判断はずれたものとなりやすい。最近の日本企業は創業社長が少なくなりサラリーマン社長が多くなり、現場の事が分からない社長が増えた。

                      国会でも、世襲の二世議員が多くなり、それは与党も野党も同じであり、そうなると国民世論とはかけ離れた議員も多くなるということだ。選挙は親の七光りで楽に当選ができるし、年功を重ねれば大臣や総理へと出世もしやすくなる。そうなるのは選挙制度に問題があるからですが、どうしても現職有利な制度になってしまう。

                      その国会では、1年半近くモリカケ問題で終始していますが、最近では視聴率が取れなくなってきたようだ。財務省からの4000ページに及ぶ内部資料が出てきても、総理の不正が明らかになるわけでもなく、最初から全部資料を出していれば長期化する事もなかったのではないだろうか。

                      佐川理財局長が、資料は破棄して無いと言ってしまったから疑惑が深まりマスコミや野党が疑惑追及に走ってしまった。佐川局長は何故決済文書を改ざんさせて、4000ページの内部資料を隠してしまったのだろうか。それは近畿財務局の籠池氏に対する対応のミスが明らかになってしまうからだろう。

                      もともと小学校用地は、空港の近くで騒音被害が有り、しかもゴミ処理場でもあり高層ビルも建てられない土地であり、タダ同然でないと引き取り手のない土地だった。公開で入札していればもっと高く売れることもあったのだろうが、近畿財務局のミスで随意契約にしたから籠池氏につけ込まれてしまった。

                      籠池氏はなかなかの癖者であり、当初は安倍総理に頼ろうとしたが、昭恵夫人には面識があっても総理は面識がなっかった。そこで今度は野党やマスコミを味方につけて反安倍総理になり、マスコミや野党もこれに同調した。森友では安部総理を退陣させられないとみるや、今度は加計学園問題に焦点が移りました。

                      しかし加計学園問題も、賄賂のやり取りや便宜供与などの証拠がなくては総理を辞任に追い込むのは無理なことは「株式日記」では当初から書いてきた。こうなると胡散臭いのは財務省であり、マスコミや野党を背後で操っていたのは財務省のようだ。一連の文書のリーク元は大阪地検のようですが、女検事が朝日新聞に垂れ込んだ。

                      一連の追求は、思わぬ財務省の文書改ざんや文書隠蔽問題まで波及しましたが、財務省の隠蔽体質が浮かび上がってきた。門田氏の記事でも『、私以外にも「なぜ」「どうしてなのか」と声を上げたい国民は多いだろう。野党とマスコミが、ありもしない疑惑をでっち上げ、常軌を逸したヒステリックな追及をつづけ、公文書が改竄されたり、虚偽の答弁が国会でおこなわれるという「行政組織の劣化」が白日の下に晒された。そして、ついには、近畿財務局の職員の中に「自殺者」という犠牲まで出た。』という事になった。

                      モリカケ問題の黒幕は、財務省でありマスコミと野党を動かしてきた。しかし財務省の自殺者まで出す騒ぎになったのは、自業自得であり野党やマスコミは財務省には寛大だ。検察も佐川氏は起訴しないと決めた。日大もアメフト部と財務省は体質がよく似ていて監督や上司には逆らえない体質のようだ。

                      監督や上司から、不法な事でも「やれ」と言われればやらなければならないのは、年功序列社会では従わざるを得ない。逆らえば組織を抜けなければなりませんが、組織から抜ければ脱落者となり冷や飯を食うことになる。それよりかは実力主義の社会となって、組織を渡り歩いて出世できるようにすべきなのだ。財務省も日大もそのように改革する必要がある。

                      posted by: samu | 政治認識 | 21:42 | - | - | - | - |